大阪市 14年度当初予算案をみる 「骨格予算」といいながら「都」構想を先取り 市民サービス削減は実行 |
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大阪市の2014年度当初予算案は、橋下徹前市長の大義も道理もない「出直し市長選」が予定されるもとで、人件費や義務的経費などを中心に編成された「骨格予算」といいながら大阪市を解体し、市民向けサービスの財源を圧縮する「大阪都」構想を先取りする内容となっています。 (大阪府・生島貞治)
3年間で約393億円の市民向け施策・事業の削減をすすめる「市政改革プラン」(12年7月策定)のもと14年度は211億円の削減を予算に盛り込みました。 国民健康保険料は、府内自治体並みの水準をめざすとして2年連続の2%の値上げ。大阪市の国保料は所得200万円の40代の夫婦と子ども2人世帯で38万円となり、所得の19%を占め、家計に負担が重くのしかかっています。 全国に誇れる無料の制度だった市営地下鉄・バスの敬老パスは昨年から3000円に有料化したばかりで、続いて今年は1回乗車ごとに50円の利用者負担(8月から)が始まります。 市が廃止した赤バス(コミュニティーバス)の代替として13区で昨年4月から運行している小型バスも、市民の拡充と存続の願いに応えず、7区(都島、此花、港、大正、城東、阿倍野、平野)で廃止の方向が出されました。 塾代の助成増額市民の生涯学習、生きがいの場となっている市立生涯学習センターの弁天町、城北の2館を廃止し、2億5600万円の削減効果を見込んでいます。国内唯一の自治体直営の吹奏楽団で評価も高い市音楽団を3月末で廃止し、劇団員を解雇します。 地下鉄・バス料金の値上げや水道料金値上げなど4月からの消費税増税による値上げを行い、住民票など各種証明書の手数料、使用料を値上げしています。 こうした市民サービスを切り捨てる一方で、少人数学級には背を向けながら橋下前市長肝いりのバウチャー(クーポン券)方式での塾代助成事業拡充のため約6・9億円を増額しました。 ムダな開発継続ムダな開発事業もあいかわらずです。超大型コンテナ船に対応した水深・広さを持つ港湾施設をつくる「国際コンテナ戦略港湾」づくりに31億7341万円、従来関西財界やゼネコンが求めてきた「阪神高速淀川左岸線2期事業」に10億9415万円など不要不急の大型開発にしっかり巨費を計上しました。 この当初予算では計上を見送るなどした「都」構想の関連で橋下前市長が実施を主張しているのは、「『都』構想の試金石」というカジノ誘致や、大阪から関西空港まで1分短縮に400億円かかる鉄道新線「なにわ筋線」(2000億円前後)の整備、関空リニアの整備促進などで、まるで無駄な大型開発のオンパレードです。 「成長戦略」といいながら府市に巨大な借金を残した過去の開発事業の失敗を繰り返し、府民・市民の懐に目を向けずに大阪経済を落ち込ませてきた誤りを際限なく繰り返す内容です。
(2014年3月5日付しんぶん赤旗) |