title


大阪の異常事態

民主主義破壊の暴挙許さない


 国政では集団的自衛権の行使容認をめぐって安倍晋三首相による「憲法破壊のクーデター」がすすめられるなか、大阪府と大阪市では、橋下徹大阪市長と「大阪維新の会」によって、「地方自治と民主主義破壊のクーデター」というべき異常事態がすすんでいます。

 「大阪都」構想を論議している「法定協議会」(知事・市長と府・市議各9人で構成。定数20人)で橋下市長らがみずからの意に沿わない野党委員を次々と排除して「維新独占」で開催を強行しています。連休明けにも「協定書」を「議決」し、来春の「住民投票」を強行する構えです。


違法、脱法行為積み重ね

 今回の事態は、橋下市長らが何重もの違法、脱法行為を積み重ねた結果です。もともと「法定協議会」を中断し混乱させたのは、橋下市長と「維新の会」です。

 ことし1月の第13回協議会で、「大阪都」の「制度設計案」を一つに絞って作業するという橋下市長の提案が、「維新の会」以外のすべての会派によって否決されました。行き詰まった橋下市長は、「野党は法定協つぶしにでた」と難くせをつけ、「出直し大阪市長選」(3月)の挙にでました。それ自体異常な民主主義破壊です。

 しかも「次回は2月」と宣言していた浅田均法定協会長(「維新の会」府議)は野党の開催要求も拒否し、5カ月間協議会を開きませんでした。「出直し市長選」のきびしい結果にもかかわらず、橋下市長は「法定協委員をさしかえる民意は得た」と強弁。その意を受けた浅田会長が野党委員に「規約違反」という文書を送り付け、「維新の会」がたまたま多数を握る府議会議会運営委員会で二度にわたり「維新の会」委員へのさしかえを強行したのです。

 「維新」は府議会で過半数割れしています。議会運営委員会ではなく本会議で公正に委員を選出すべきだとして、府議会多数の57人が連名で、臨時議会招集を松井一郎知事に求めました。議会の4分の1を超える議員が要求すれば臨時議会を開かなければならない地方自治法の決まりにもかかわらず、松井知事は開催を拒否しました。新藤義孝総務相が「明白な違法」と断じ、「いまの協議会は正常な状態とは思えない」と発言したように、橋下市長と「維新の会」の無法ぶりは誰の目にも明白です。

 橋下市長と「維新の会」の、法定協の常軌を逸した運営は、「大阪都」構想の破たんがいよいよ激しくなり、正面から論議することさえできなくなったことを示しています。橋下市長は「大阪都」なら大黒字と宣伝していたのに、そのペテンが指摘されると、「財政効果なんていうのは、あまり意味ない」といいだす始末です。「特別区」の「区割り」も「町名変更」も、思いつきで議決しようとしています。


地方自治守る共同のとき

 橋下市長は、来春の「住民投票」の実現へ、「専決処分」を含むあらゆる選択肢をはずさない構えです。しかし、違法行為を積み重ねた「決定」に何の効力もありません。

 日本共産党大阪府委員会は声明を発表し、各界への申し入れと懇談をすすめています。「法とルールにそって法定協議会を正常化せよ」「さもなくば『維新』退場へ、府民的に包囲する世論とたたかいを」。地方自治と民主主義破壊を許さない共同が求められます。

(2014年7月20日付しんぶん赤旗・主張)