「都」構想 |
本会議は、府議会過半数の野党側57氏が提出した岡沢健二議長に対する不信任決議案、法定協など議会の外部機関への議員の派遣は会派の議員数に応じて割り当てるとする府議会会議規則の一部改正案、「協定書」案の無効を宣言し、正常な法定協の速やかな開催を求める「決議案」の本会議上程と即決をめぐり、「維新」が多数を占める議会運営委員会での調整が難航。本会議でそれぞれ上程される予定です。 解説 手法も中身も承認に値しない 大阪府の松井一郎知事が25日、大阪市を廃止し、五つの特別区を設置する「協定書」議案を府議会に提出し承認を求めたことで、「維新の会」が押し付ける「大阪都」構想を食い止めるたたかいは、新たな局面を迎えました。 「都」構想の実現には府・市両議会での協定書議案の承認と大阪市民対象の住民投票での賛成多数が必要で、市議会でも橋下徹市長が10月1日に同議案を提出する予定です。 「協定書」は、270万人が暮らす大阪市を解体し、府組織も変質させる重大な内容であるにもかかわらず「維新」が法定協議会から他会派を締め出し、単独で決めたものです。協議会正常化のために野党が求めた議会招集を市長・知事が拒否するという「明らかな法律違反」(新藤義孝前総務相)や脱法行為、ルール違反を重ねて作られました。市議会でも「無効」が宣言されたように何の正当性もありません。府市両議会では野党が多数を占めており、審議の上、否決される見通しです。 橋下氏は、議案が否決された場合の対応として「一事不再議」の規則が問題になる再提出に言及。議会の意思を無視して首長だけで決める「専決処分」にも含みを持たせています。しかし、専決は「議会を招集する時間的余裕がない」ときなどに限られています。これ以上、ルール違反を重ねることは許されません。「協定書」議案の「専決」については市解体の実務を担う府市大都市局の山口信彦局長も「ありえない選択だ」と述べています。 「都」構想は、大阪市を廃止し、府に従属する特別区に分割することで、知事という「一人の指揮官」がやりたい放題にできる仕組みをつくるものです。 当初打ち上げられた毎年4000億円の財政効果は強いて試算しても7億円程度。来年4月の「都制」移行時期も2年後に先送りされています。造らないといっていた特別区の新庁舎の建設のために555億円ものコストがかかります。特別区は、国保や介護など100以上とみられる実務を、住民の意思が反映しにくい巨大な一部事務組合で共同処理することも明らかになっています。こんな構想の「協定書」が手法面でも内容面でも住民に責任を負う議会の承認に値しないことは明らかです。 (藤原直) (2014年9月26日付しんぶん赤旗) |