「大阪都」構想批判を「うそ」と非難 橋下市長が“反論”するが… ◆実は自主財源4分の1に◆実は膨大なコスト負担が◆実は既にサービスは削減 |
従属的立場に 「市民の税金は、誰にも取られません」。1月31日、橋下氏は週末恒例となった大阪維新の会の街頭タウンミーティングでこう語気を強めました。 今の協定書の「都」構想は、大阪市を廃止して五つの特別区に分割する計画です。市が特別区になると、現在の主要な市税である固定資産税や、法人市町村民税などが府税となり、府の取り分を抜いた上で各特別区に交付金を配る仕組みになります。 野党側は、特別区になれば自主的に調達できる財源が4分の1に激減し、交付金を配る府に対して従属的な立場とならざるをえないと警鐘を鳴らしてきました。維新幹部も「直接入ってくるお金が4分の1になる」(同13日の法定協議会)ことは認めています。 ところが橋下氏は、この間の演説で「大阪市民の税金が大阪府に取られるというのはウソ」(同17日)などと言い切ってきたのです。 市議会つぶし 橋下氏は、「都」構想で大阪市の仕事のうち、彼の言う「大阪全体に関わるような仕事の分についての2300億円」の財源が、権限とともに府に移ることは「みなさんが選んだ議員や知事が仕事をするのだから、みなさんにとって不利益になることではない」(同31日)と言います。 しかし、特別区になれば、市民として持っていた住民の自治権が縮小することは明らかです。橋下氏自身が、大阪市で進める反市民的な「改革」が市議会によって阻まれていることにいらだち、それを進めるためには「都」構想で「市議会をつぶさないとダメだ」と語っているのですから、狙いははっきりしています。 橋下氏は「いま大阪市が提供している住民サービスに必要なお金は6200億円。これはぜんぶ特別区にいくのでサービスのレベルが下がることはいっさいない」(同24日)とも語っています。 ここにもいくつものごまかしがあります。 まず府から特別区にどのくらいの交付金を配るかを算定する率は協定書で明記されておらず、6200億円が確保される保証はありません。 借金までして また、特別区には、再編に伴う余計なコストものしかかってきます。府市大都市局の控えめな計算でも、特別区の新庁舎建設費など約600億円とされる初期コストと維持コスト(年約20億円)の大半を特別区が負担することになっているからです。 同局が発表している特別区の長期財政推計では、設置後の5年間で計1071億円の収支不足が生じ、当面、市が持っていた土地を売り、基金を崩し、新たな借金までしてしのぐという見通しです。推計には住民サービスの削減も、最初から「再編効果」として織り込まれています。 これで、どうして「まったく今の住民サービスが減ることはない」(同31日)と言い切れるのでしょうか。 そもそも、橋下市政では、「都」構想を前提とした「市政改革プラン」で、敬老パスの有料化や上下水道料金の福祉減免措置の廃止など、数々のサービス切り捨てが行われてきたのが実態です。 (2015年2月3日付しんぶん赤旗) |