「都」構想 橋下氏の手法 まともな議論を封殺 帝塚山学院大学 薬師院仁志(やくしいんひとし)教授に聞く |
「大阪都」構想をめぐる現状では、まともな議論を封殺し、事実を隠したまま住民投票に持ち込もうとしている維新の態度が一番問題だと思います。 学者や記者脅す 住民投票で賛成多数でも、大阪は「都」にはなりません。市が解体されるだけなのです。学者がこうした事実を指摘すれば、公権力をもつ橋下氏に罵倒され、討論会を求められ、国会質疑までちらつかせて大学にまで圧力がかけられる。新聞が社説を書けば「じじいの論説委員を突きあげろ」と記者が詰められる。テレビでコメンテーターが「都」構想について「分からない」ということまで攻撃される。分かるように説明するのが市長の責任です。それなのに市職員には勝手なことを言うなとかん口令です。 公人である橋下氏がどんな暴言や虚言を吐こうとも大阪のマスコミも慣れっこになっていてほとんど垂れ流しにしています。 民主主義でない 「都」構想の協定書は総務省に出す書類です。それだけでは一つひとつの市民生活がどうなるのか具体的なことはわからない。それなのに今のやり方は大阪市で生きている人間をまったく無視しているとしか思えません。 昔、市内の東区と南区を合区して中央区にする行政区の再編だけでもかなりの年月がかかり、職員もすごくたいへんだった。住民投票から2年弱で市を五つの特別区に再編するのは、準備に使う労力だけでも大変な問題です。その負担だけを考えても「住民サービスは低下しない」なんて言え、るはずがありません。 生身の人間を考えず単にカタチだけの書式をそろえて、多数票を取れば何でもできるというのは民主主義ではありません。民主主義とは全員による統治であり、合意形成です。 ただ、住民投票が実施されるなら、反対の人も、不安を感じている人も、投票で意思を示さないと取り返しのつかないことになります。棄権は危険です。 (2015年2月26日付しんぶん赤旗) |