大阪市解体の協定書 市民には百害あって一利なし 大阪市議会 山中市議の反対討論 |
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13日の大阪市議会本会議で日本共産党の山中智子議員(党市議団幹事長)が行った、大阪市を廃止・分割する協定書議案についての反対討論要旨を紹介します。
この協定書は昨年10月27日、本市会で手続き的に無効なら中身も市民に百害あって一利なしとして、多数により否決されたもの。ヤミ取引によってよみがえらせたうえ、否決されたものと寸分たがわぬものを再び出してくる。民主主義のルールなどなきに等しい。 同時に「都構想」とは名ばかりで、大阪市廃止・分割プランと呼ぶにふさわしい。 財源を取り上げ第一に、1889年、明治22年以来の文化と伝統のある大阪市が、文字通り消えて無くなってしまう。267万市民は、大阪市民ではなくなり、それぞれ五つの特別区民になる。 「広域行政の一元化」といううたい文句の下に、大阪市をつぶして、財源、権限を府に取り上げようとしている。 府に移管させようとしている大学、病院、消防、下水、動物園等269の事業の中で、広域行政、広域事業といえるものは35の事業。残り234の事業は、大阪市として市民ニーズに沿って、当然実施すべきもので二重行政とのそしりを受けるものではない。 特別区の赤字増第二に、五つの特別区に分割されてニアイズベターどころか、くらしの予算がカットされ、市民サービスは悪くならざるを得ない。 市税の根幹である固定資産税、法人市民税、都市計画税などが府税となって、府に召し上げられてしまう。特別区に残る自主的な税源は、個人市民税、軽自動車税、たばこ消費税だけで、今の4分の1に激減する。大都市局の低い見積もりでも、庁舎建設など初期コストが600億円、ランニングコストが20億円覆いかぶさってくる。長期財政シミュレーションによれば、特別区は、5年間で320億円赤字が増えて、1387億円の収支不足となる見通し。市民サービスを良くするなどできようはずがない。 そのうえ、100を超える事業を一部事務組合として、共同処理する。ニアイズベターに逆行するとともに、国民健康保険などは特別区間の保険料収入と滞納額のアンバランス等どう調整するのか。 まさに中核市どころか、半人前の自治体にすぎない。 白紙委任を迫る第三は、1人の指揮官でムダな大型開発に突き進もうとしている。 橋下市長が、「1人の指揮官になれば、地下鉄を売ってでも淀川左岸線延伸部やります」と宣言して、のち「都構想」なるものを打ち上げた。大阪市の財源、権限を府に吸い上げ、大阪府知事の権限を併せ持った1人の指揮官で、なにわ筋線の鉄道建設や、カジノを中核とする統合型リゾートの誘致などにまい進しようということ。 この協定書を住民投票にかけることは、市民に白紙委任を求めるに等しい。財政調整、町名、庁舎問題、肝心なことが明確にされていない。すべて住民投票後に先送りで、市民は何をもって賛否の判断をすればいいのか。無責任にも程がある。 大阪市廃止・分割は市民にとって百害あって一利なし。文化と伝統の息づく大阪をなくしてはならない。 政令指定都市としての権限や財源を生かしつつ、区政会議などの一層の発展で、都市内分権を拡充し、市民の声が反映される大阪市にしていくことこそ求められると申し上げ、反対討論とします。 (2015年3月17日付しんぶん赤旗) |