title


廃止あかん 大阪市<5.17住民投票>

「市民寄付の城」府に没収させぬ

元大阪城天守閣館長・渡辺武さん


 橋下徹大阪市長が文化を敵視する“歴史なんかカネにならんものはどうでもいい”いうようなやり方を見るに見かねています。

 「大阪都」構想なるものは、大阪市の権限と財源の多くを大阪府に吸い取ってしまう。「大阪市の権限、力、お金をむしり取る」という橋下市長の下品な発言通りのことがやられようとしています。

 大阪城天守閣は、大阪一の観光施設で中身は豊臣秀吉と大阪城、大阪の歴史を取り扱う歴史博物館施設です。今年は「大坂夏の陣」からちょうど400年。慶長20年5月7日に徳川の大軍が攻めてきて、大坂城は落城し、大城下町も壊滅しました。そのあと徳川幕府がつくり直した大坂城の2代目の天守も雷が落ちてわずか39年でなくなりました。

 明治以降、近代社会をめざす大阪市民が、かつての繁栄を取り戻したいという熱望のもとに、シンボルとして今の大阪城天守閣を1931年に復興させました。大阪市の公費を一銭も使わない。完全に市民の寄付金のみです。

 秀吉の天守も徳川時代の天守も権力のシンボルでしたが、今の天守閣は市民がつくった市民の城です。

 この天守閣が大阪府に没収されるなんてことは、かつて寄付をされた市民のみなさんに申し訳が立たん。たくさんの歴史資料、美術資料が多くの市民から寄付され、大阪市の予算で莫大(ばくだい)な貴重な資料を購入して今日に至っています。このこと一つをとっても、大阪市をつぶすことは許されることではありません。

(2015年5月1日付しんぶん赤旗)