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橋下氏の大阪市解体構想

テレビ討論で破綻くっきり

山中議員「壊すより生かして変えよう大阪市」


 維新の会が「大阪都」構想と称する、大阪市解体案をめぐる、橋下徹大阪市長と反対派議員のテレビでの討論番組が4月29日(読売テレビ)、5月1日(テレビ大阪、NHK大阪放送局)と相次いで放映され、17日の住民投票を前に橋下氏の理屈の破綻ぶりが改めてはっきりしました。


 1日のテレビ大阪番組。「反対派は大阪市がなくなると言うが、なくなるのは、大阪市役所と大阪市という住所表記だけだ」。こう言い張る橋下氏に対して、自民党の柳本顕市議団幹事長があきれ顔で切り返しました。

 「明らかに詭弁(きべん)ですよね。政令市でもある大阪市がなくなるんですから」

 焦点となったのが市の廃止と五つの特別区への分割で住民サービスがどうなるかです。

 「上がるんです」と吹聴する橋下氏に対して日本共産党の山中智子市議団幹事長と柳本氏は、低下せざるをえないと指摘しました。

 大阪市が特別区になると、市税の柱であった固定資産税などが府税となり、直接得られる税収は4分の1に激減します。府に集められた財源の一部は交付金として特別区に配られますが、配分割合は決まっていません。最終的な決定権は府にあり、特別区は府に依存した団体となります。同時に特別区には、三つの庁舎建設(30年間の借金で約555億円)をはじめとする分割のコストだけは確実にのしかかってきます。

 柳本氏は「結果として大阪市が単費でやっていた事業がなくなってしまう可能性が非常に高い」と指摘。山中氏は「コストも余分にかかるわけで、サービスが変わらないとか良くなるというのは偽り」と批判しました。

 橋下氏は「600億円の初期費用を差し引いたとしても17年間で2700億円が積み上がる」「住民サービスが下がることは絶対ない。上がるんですよ」などと語りました。

 これに対して山中氏は、橋下市政ではすでに、水道料金福祉減免などの制度や、市民のための施設などを次々と廃止してきたことを批判。「2700億円」も、今後の住民サービス削減や公営交通の民営化などを織り込んではじき出した数字だと指摘しました。

 橋下氏は結局、直後に出演したNHK番組で「大阪市のままなら大阪はもう衰退していきます。市民の暮らしも、もうこれからは守ることはできないでしょう。守られません」などと開き直りともとれるような市民への脅しに走りました。

 4月29日の読売テレビ番組では、橋下氏が過去の市の開発の失敗例を挙げ、大阪市役所には「大きな仕事ができないよう特別区役所につくり直したい」と主張したのに対し、山中氏が政策の誤りを仕組みの問題にすり替えていると指摘。「大阪市をつぶして府に取り上げる財源で、カジノ誘致だとか、関空から梅田まで5分早くなるだけの『なにわ筋線』とか同じことを繰り返そうとしている」と批判しました。

 山中氏は「壊すより生かして変えよう大阪市」と呼びかけました。

(2015年5月3日付しんぶん赤旗)