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またも大阪市廃止構想―法定協設置

“制度いじり”不毛だ やめよ

【解説】

 維新・公明は、26日の大阪市議会本会議で、大阪市を廃止・解体して複数の特別区に再編する「大阪都」構想を蒸し返し、再び設計図をつくる法定協議会の設置議案を賛成多数で可決しました。2年前の住民投票で「都」構想は否決され決着済みです。再挑戦は。“ノー”を突きつけた市民の声を踏みにじり、民主主義を否定する暴挙であり、断じて許されません。

 「大阪都」構想とは、政令市である大阪市を廃止し、府に従属するいくつかの特別区に分割する構想で、府は市から多くの権限と財源を吸い上げます。また、市の廃止に伴い、大阪市議会も解体されます。要するに、「都」構想とは、府知事という「1人の指揮官」が、やりたい放題にできるようにしていく仕組みづくりです。

 府は、取り上げた税金で、カジノを核とする続含型リゾート(IR)や高速道路、鉄道などの不要・不急の大型開発をすすめようとしています。

 今回、吉村洋文市長は、公明党の要望を受けて、法定協設置の規約をいくつか修正しました。その中には、公明党が導入を主張している総合区制度も協議できるようにしましたが、「総合区」は統治機構の問題ではなく、大阪市を残し、住民自治を拡充していくための自治の在り方の新しい選択肢であり、「特別区」(「都』構想)は、大阪市を廃止し、府の内部団体にしてしまう統治機構です。全く次元が違うものを無理やり比較して、市民に二者択一を迫るものです。

 いま大阪市がやることは、住民投票での否決を受けて、「制度いじり」ではなく、都市内分権・住民自治の拡充に努めつつ、政令市としての権限・財源を活用して、くらし、福祉、教育、中小企業を応援する市政へと政策の中身を変えることであり、「都」構想などという不毛な制度いじりは「百害あってー利なし」です。

 (大阪府・生島貞治)

(2017年5月27日付しんぶん赤旗)