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大阪市 生活保護抑制の動き

「就労支援」強化を口実に

決定30日にし却下も

 貧困が拡大するなか、生活保護受給者が急増している大阪市で、「就労支援」の強化で生活保護受給者を抑制する動きが起こっています。関係者から、画一的な就労指導が強められ、排除されるのではないか、との懸念が出され、最後のセー フティーネットである生活保護行政の改善を求めるたたかいがいっそう重要になっています。

(大阪・生島貞治)

 昨年12月に大阪市がつくった「保護申請時における就労にかかわる助言指導のガイドライン(案)」(「ガイドライン(案)」)では、▽08年9月のリーマンショック以降、失業が原因の保護開始が多く、就労指導の必要な者が増加▽30歳代などの若年層も増加▽申請段階など早い時期からの就労指導で、自立しやすい状況にある−などとして、「申請時に助言指導を適切に行い、自立支援や就労支援の一層の推進を図る」としています。

 安堵した途端

 こういう立場から、申請は受け付けるが、申請後に、市の就労支援施策の活用など就労の「助言・指導」を徹底。応じなければ、申請後14日以内と定められている保護の決定を30日に引きのばし、その上、申請を却下することもあるとしています。

 生活保護申請を「稼働能力を活用すれば最低生活維持可能」と、却下されたのは違法だとして大阪地裁で争っている岸和田市の夫婦は、一昨年7月に大阪府に不服審査請求し、棄却されましたが、その時の裁決書は「3日に1日の求職活動では真摯(しんし)に仕事を探しているとはいえない」というひどいものでした。

 全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎事務局長は、「今回の『ガイドライン(案)』を機械的に行えば、岸和田のような事件が多発し、やっとの思いで生活保護の申請ができたと安堵(あんど)し た途端、機械的に『却下』され、申請者が精神的に受けるダメージははかり知れない」と危惧します。

 非正規なくせ

 「職と住まいを失った人には、まず、生活保護を開始し、最低生活を保障したのち、自立をめざすのが本来の生活保護の趣旨」と指摘しました。「雇用情勢が厳しいなか、行政自身による仕事の創出、企業に働きかけて、仕事の場づくりが大切になっています。根本には、働き方の問題があり、非正規の雇用をなくすよう、国に働きかける必要があります」と語りました。

(2011年1月19日付しんぶん赤旗)