2000年8月29日

大阪市長 磯村 隆文 殿

                           
本共産党大阪市会議員団                    
                                 団長 姫野 浄

「敬老月間」にあたっての申し入れ

 今年も9月1日から「敬老月間」が始まります。周知のように、憲法は国民の生存権と社会保障への国の責任をうたい、老人福祉法は「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、健全で安らかな生活を保障されるものとする」と定めています。この理念の実現に向かって全力をつくすことが、今日ほど求められているときはありません。
 この4月からスタートした介護保険のもとで、高すぎる利用料負担のために、従来受けていた介護サービスをやむなく制限する高齢者が多数でています。大阪市においても、4月から6月までの介護報酬給付は予測の64%という水準にとどまっています。まさに、危惧されていた「保険あって介護なし」が、現実のものになっているのです。
 加えて、10月から第一号被保険者への保険料の徴収が開始されます。その通知に対して、住民の抗議や苦情、相談が殺到しています。この8月から大阪市が実施した老人医療費一部負担金助成制度の改悪への怒りの声も多数寄せられ、各区役所窓口はパニック状態です。
 老人いじめはこれにとどまりません。この秋の臨時国会には、70歳以上の患者負担について、外来・入院とも現行の定額負担から1割定率負担へ、平均で1.5倍もの負担増となる医療制度改悪案が提出される予定です。
 こうしたもとで、大阪市には、社会保障制度の拡充を大阪府・国に求めるとともに、介護保険料・利用料の市独自の減免をはじめ、住民の福祉に責任をもつ地方自治体本来の役割を発揮することが強く求められており、その財源は、大型公共事業のムダと浪費を改めれば、十分に可能です。
 このような立場から、今年の「敬老月間」にあたり、以下の要望をおこなうものです。

1、介護保険については、制度の改善を国に求めるとともに、大阪市の独自施策 の推進をはかる。
 @ 保険料、利用料の減免にふみきる。
 A 特別養護老人ホームなどへの入所待機状況を掌握するとともに、基盤整備の拡充につとめる。
 B ヘルパー派遣事業を民間まかせにせず、大阪市社会福祉協議会の常勤ヘルパーを主体にすすめる。
 C 介護認定を、高齢者の生活実態が反映するものに改善し、認定等に対する苦情処理のための第3者機関(オンブズパーソン)を設置する。
 D 施設での日常用品リース代など、過大な自己負担の実情を調査し、是正の措置を講じる。

2、高齢者保健福祉計画にもとづく大阪市独自の福祉施策を充実させる。
 @ 介護認定で「自立」とされた高齢者にも、希望があればヘルパーを派遣する措置を取る。
 A 宅老所やグループホーム、デイハウス、給食サービスなど、地域での高齢者支援事業への助成を拡充する。
 B 入浴サービスの拡充をはかるとともに、公衆浴場の入浴料金割引事業を拡大する。
 C 「在宅老人日常生活用具給付事業」で給付の対象とされた品目に、シルバー車(外出や買い物にも役立つ歩行車)、補聴器、瞬間湯沸かし器を加え、利用者の負担軽減制度を作って給付事業を継続する。
 D 「ペンダント式緊急通報システム」の協力者は行政の責任で配置する。昼間、長時間、事実土「独居老人」となる老人も対象とするなど必要なすべての人に貸与する。
 E 地下鉄・市バスの敬老優待パスの交付年齢を「65才から」に改善する。
 F 寝たきり老人と家族への励ましとして、在宅老人介護手当を大阪市でも当面月5万円で実施する。また、敬老祝金を復活する。

3、老人医療費助成制度、および老人医療費一部負担金助成制度の復活を大阪府に求めるとともに、大阪市独自にも実施し、国に対しては医療制度改悪の中止を求める。
                    
                                                以上