公共の福祉なげすて、

銀行・大企業のもうけを保障 

99年10月19日 下田敏人議員が交通・水道決算に反対討論

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、98年度大市交通水道両事業会計決算の認定に、反対の討論を行いたいと思います。
 申しあげるまでもなく、交通・水道事業など地方公営企業の目的は、公共の福祉の増進に寄与することにあります。ところが、両事業とも、経済性、効率性を追求する余り、その本来の目的、役割というものが、後景に押しやられているのであります。到底認めることはできません。
 以下、具体に指摘したいと思います。

  交通事業は1,532億円もの剰余金

 先ず、交通事業でありますが、第1に、当局は、口を開けば経営が厳しい、危機的であると強調いたしますが、しかし、特に地下鉄財政は、危機的どころか、むしろ優良なのであります。たしかに、98年度末、2343億円の累積欠損金がありますが、その実、3875億円もの資本剰余金があって、差し引き1532億円の剰余金が生じているのであります。
 又、資金面でも、本当に危機的であるならば、資産をとり崩したり、建設改良も控えざるをえないのでありますが、そのようなことま全くありません。関西電力は、1546万株もチャント保有しておりますし、交通事業基金も345億円もっております。その上、90年度以来、251億円もの企業債繰り上げ償還まで行っているのであります。まさに、ここに地下鉄の経営実体が示されているのであります。自治省をして、大阪市営地下鉄は、優良であると言わしめたゆえんであります。

        膨大な建設費にあてた企業債の利払いが赤字を累積

  それでは、なぜ、収益収支上で多額の赤字が累積することになるのでありましょうか。1つは、膨大な建設費にあてた企業債の利払いによるものであります。
 今、建設補助制度が改善されたとは言え、インフラ部分の24%は、なお企業債に頼らなくてはなりません。ましてやそれ以前は、補助金が直接建設費にあたらなかったために、全額、企業債を発行して地下鉄を掘ってまいりまして、その利子が増高したものなのであります。
 しかしながら本来、地下鉄は、都市生活に必要な、言わば都市施設の一つでありまして、道路などと同じように、隧道などのインフラ整備は、国や一般会計など、公共で行い、運営経費については、料金すなわち地下鉄事業でまかなうというようにすべきなのであります。
 つまり、この多額の企業債の利子は、基本的には地下鉄事業の責任ではないのであります。又、いま1つは、この利子の中に、特例債を発行して支払ったものまで計上されている点であります。
 特例債は言うまでもなく、地下鉄事業における利子の負担を軽減することを目的に発行が認められたもので、この元金償還は、一般会計から、又。その利子は、国と一般会計から補助金が出されているのであります。したがって、この特例債で支払った企業債の利子というものは、何ら地下鉄事業で支弁いたしません。ですので、この当該利子を、地下鉄会計収益収支上の費用に計上することは、明らかにまちがいであります。70年度以来、発行の認められた特例債の総額は、98年度末で2185億円余にのぼるのでありまして、これだけで、当局が累積欠損金と称している2343億円のほとんどが消えることになります。

         98年度の地下鉄事業は159億円の営業利益

  私は、この会計処理について、改善するよう求めておきますが、そういう意味では、地下鉄事業のよしあしをみる場合、先ず営業利益が出ているかどうかが大きなポイントになるのであります。98年度をみてみると営業収益1663億円、営業費用1504億円、その中には443億円もの減価償却費が含まれておりますが、差し引き159億円の営業利益が生じているのであります。つまり、地下鉄、ニュートラムあわせて毎日、平均262万人の乗客をお運びして、159億円の利益と443億円の減価償却費あわせて、実に、602億円もの資金剰余を生み出していることになります。立派なものだと申し上げておきたいと思います。
 いずれにしても、地下鉄財政を支援するために設けられている国、一般会計からの補助金が不十分ながらあるということを考慮の上、財政状況というものを判断すべきものであります。つまり、今の会計システムの中で、これら補助金が大半、資本剰余金に積まれている以上、地方公営企業法施行令24条の3で認められているように、累積欠損金を資本剰余金でうめるための手続きをとるべきであります。
 そうすれば、文字通り経営実体と会計上の数値がマッチすることになります。
 ところが、我が党委員が、この事を求めたにもかかわらず、、当局はこれを拒否したのであります。何が何でも欠損金を残したいとの意図がみえみえではありませんか。

       財政危機をふりかざし、ニュートラムの無人化へ強行策

  第2に、容認できないことは、このように財政危機をふりかざしながら、いよいよニュートラムの無人化を強行しようとしていることであります。
 ニュートラムには、あの事故以来、莫大な金を入れまして、鳩がぶつかっても止まるような改良工事を行いましたが、それとて、絶対暴走事故が起こらないという保証はありませんし、何よりも、市民の安心感、信頼感というものを損ねることになるのであります。ところが交通局は、市長選挙が終われば、わずか年間2億七千万円の添乗員の給与を浮かすために、これを無人にする。そうして、ラッチ数が多くて非効率だとする阿波座などの駅務職員を現職からOBにかえて、このニュートラムの添乗員をあてようとしているのであります。

 ズサンな土地信託事業(資産運用)で、市民の貴重な財産が台無し

 第3には、一方でたいへんズサンな資産運用が行われて、市民の貴重な財産が台無しにされようとしている問題であります。
 フェスティバルゲートやオスカードリームの、いわゆる土地信託事業であります。
 浪速区霞町の市電車庫跡地23,496uもの土地を信託に供しているフェスティバルゲートでは、肝心の賃料収入が、前年10ヶ月分で19億6千万円であったものが、98年度、5億2千万円と実に14億4千万円も激減しているのであります。そのために、スパーワールドに売却した8600uの土地代34億円のうち、20億円余りの売却益を事業費の支払いにつぎこんで、しかも、それでもなお、4億8千万円もの赤字を計上いたしまして、つごう、98年度末の繰り越し欠損金は14億円を超えてしまいました。結局のところ、売却した土地代のうち、信託元本として留保している14億円と一致するのでありまして、開業1年と10ヶ月にして、8600uもの市民の貴重な土地がすっかり消えてしまったことを意味するのであります。
 ちなみに、借金は、238億円にものぼっておりますが、今年も更に厳しい営業状況が続いていることから、一層ふくらむことは間違いありません。

          それでも銀行は7億200万円を受け取る

 ところが、こんな惨たんたる状況であるにもかかわらず、何と、受託者たる東洋信託銀行など4行は、企画に関する信託報酬5億円、土地売却に対する報酬1億7千100万円、賃料にみあう報酬4千900万円、都合7億2千万円も受け取っているのであります。いったい、誰がこんな契約をしたのか、と言わなくてはなりません。
 又、住之江のバスの車庫跡8598uが供されているオスカードリームでは、30年の信託期間のうち、7年がすぎました。契約では、信託配当がなされてしかるべきでありますが、それどころか、毎年6億、7億の赤字が続いて、繰り越し欠損金も28億4千万円となっております。

         損失を大きくしないためにも精算すべきとき

  信託事業では、減価償却を行わないので、赤字即資金不足となります。借金も94年度180億円から98年度末243億円となっております。このままでは、信託期間が満了しても、配当はおろか、膨大な借金つきで土地建物が返ってくるばかりか、赤字の事業体までしょいこむ事になるのであります。
 今、もう既に、土地建物を売却しても借金は返せない程でありますが、これ以上損失を大きくしないために、「経済変動がある場合は、契約を変更できる」という契約上の条文をたてに、精算すべきなのであります。ところが、私が委員会で指摘したにもかかわらず、交通局は、事を先送りする態度をとって、責任のがれに終始したのであります。到底認めることはできません。

   水需要の過大予測で 市民に負担増をおしつけた水道事業 

 次に水道事業でありますが、先ず第1に指摘したいことは、引き続く給水量の低下によって、当局のこれまでの水需要予測がいかに過大であったか、明らかになった点であります。実際、1970年に1日最大給水量241万tを記録して以来、ずっと低迷してまいりまして、最近では、97年度184万t、98年度178万t、今年の夏場も169万tと更に落ち込んでいるのであります。ところが、水道局は、2005年には、1日最大給水量243万tになるという過大な予測をたてて、92年度以降、1日あたり203万tであった水利権を267万tにまで増量したのであります。
 今日の1日最大給水量とのかい離は、実に100万tにものぼる膨大なものであります。私どもが主張したように、不必要な一定量の水利権を処分すべきだったのであります。しかるに水道局は、これを拒否して、23年間にわたって総額1000億円もの琵琶総負担金を払い続けているのであります。そうして、この元利償還補助として、市民の税金を費消し、残余の3分の2の額を水道料金に転嫁して、使用者、市民に負担増を強いてきたのであります。到底容認できません。

       新庁舎建設計画は総額170億円と不必要に大きく立派

  又第2には、水道局の新庁舎も総額170億円と不必要に、大きく、立派なものを建てようとしている点であります。
 水道局は、環境事業局が当然新庁舎にも入ってくれるものと考えた訳でありますが、肝心の環事局は、来春の三井物産の退去で窮地に立っているワールドトレードセンタービルに入居するというのであります。ブルータスおまえもかと言わなければなりませんが、大阪市の巨大開発路線の破綻がいかにあちこちに矛盾を引き起こしているかということであります。しかし、とはいえ、そうである以上、水道局庁舎は、当然その分小さくすべきものであります。ところが、我が党委員が指摘したにもかかわらず、水道局は、そのまま大きな建物をつくるというのであります。全く度し難いものでありまして、またぞろ水道料金にはねかえるではありませんか。

             労働者の職場環境はケチケチ

 第3には、一方で壮大なムダづかいを行いながら、労働者の職場環境には、ケチケチとなんら意を用いない点であります。
 750億円もの巨費を投じて建設してきた高度浄水処理施設には、空調設備もなければトイレもないのであります。我が党委員が、大阪府の村野浄水場や三島浄水場の高度浄水処理施設には、クーラーもトイレもチャンと設置されていることを示して、改善を求めたにもかかわらず、水道局は全くその気のないことを表明したのであります。まことにはずかしい限りであります。

        同和浴場への水道料減免は続け部落問題解決に逆行

 第4には、今日、ただちに同和事業を終結すべきであるにもかかわらず、水道局は、なお、同和浴場への水道料減免を続けて、部落問題解決に逆行しているのであります。 水道局は、地区住民のために、利用料金を下げており、それゆえ水道料減免が必要だと言いますが、とんでもないことであります。同和浴場の入浴料金を一般より低くしているのは、地区住民のためではありません。それは、早々と一般なみに料金を引き上げている矢田温泉や住吉などの例からも、又、60歳以上の高齢者や身体障害者には、無料入浴券が月15日分配布されていることからも明白であります。
 にもかかわらず、今でも一般の7割の入浴料金にしているのは、地区外からも客を導入することを意図しているからに他なりません。そうして、運営している地区協が利益をあげようとしているのでありまして、近隣一般公衆浴場との矛盾をますます深めざるをえないものであります。同和問題の解決どころか、逆に遅らせていると言わなければなりません。

   工事入札の透明性の不自然さは共通

 最後に、両事業にかかわる問題について指摘しておきたいと思います。
 工事入札における透明性、競争性を確保する問題であります。98年度交通事業では、3億円以上の契約、水道局では、1億円以上の契約でありましたが、予定価格に対する落札額の割合は揃って97.9%という高率でありました。とても競争入札が行われたとは思えない数字でありまして、広く談合が行われていると言わざるをえないものであります。事実、具体の入札状況をみてみると、たいへん不自然なものが随所にみられるのであります。
 例えば、北浜や中崎町、4号線の本町や谷町6丁目などの地下鉄の駅の改良工事が98年度行われておりますが、これらの工事を落札し、請け負っているゼネコンは、ことごとく過去にその駅を建設した業者なのであります。
 又、大国町や動物園前の駅の工事に関しては、時期を違えて2回競争入札が行われているにもかかわらず、それぞれ2回とも同じ業者が落札しているといった具合であります。
 更には、尾上・中村事件のように、不正に競争入札を妨害している事例が明るみに出ました。しかも、この検事冒頭陳述の中で、中村以外にもある有力な市会議員が介在して、生野の公園造成工事に浪速の業者を指名させ、結果としてその業者が落札したということも明確になりました。
 又、同時に、全くのペーパーカンパニーである中村の妻の会社が、水道局の工事で指名され、落札したことに関して、尾上が他の指名業者に圧力をかけていたことも明らかになったのであります。つまり、議員と大阪市、そして業者、この政官業の癒着が文字通り構造的なものであることが露呈したのでありまして、いよいよ市当局、交通・水道両局の責任は重大であります。公正取引委員会は、談合を防止するうえで発注者の姿勢がたいへん重要だと指摘しております。
 不当な圧力はこれを拒否すると共に、余りにも不自然な入札については、関係者の了解もえて、業者を入れ替えた上、入札をやり直すなどの毅然たる態度を貫くこと、そうして、公共工事費の低減をはかるべきであるということを強調して、討論といたします。