意見書・決議

9月29日採択の意見書関係

                  
                    (一事不再議となった日本共産党案)

介護保険制度の充実と円滑な実施を求める意見書(案)
 

 来年4月からの介護保険実施が近づくにつれ、このままでは、保険料はとられるが、介護サービスの提供は保障されない、保険料や利用料の負担に耐えられない人がたくさんでる、介護サービスから排除される人が生まれる、などの問題点が次々と浮かびあがり、今、広範な国民各層から、この是正措置を求める声がほうはいとしてあがっている。 こうした中で、深刻な家族介護の現状に鑑みつつ、国民の期待に応えて、介護保険制度の抜本的な改善をはかることは緊急の課題となっている。  
 よって、政府におかれては、介護保険制度の充実に向け、以下の事項の実現をはかられるよう強く要望する。
1、介護基盤整備に当たって、介護保険制度の導入により増加が見込まれることに見合った整備が図れるよう十分な財政措置を講ずること。  
2、すべての被保険者が介護サービスから排除されることがないよう、低所得者に係わる保険料や利用料について、実態に応じて減免等の必要な措置を講ずること。また、その際の減免等に要する費用については国において措置すること。  
3、要介護認定については、高齢者の生活実態を反映した認定基準となるように改善すること。  
4、介護保険の実施によって、逆に現行の福祉水準が後退することがないように、支給 限度額や介護報酬の設定に格段の配慮を行うとともに、自治体独自の保険外サービスに対しても国が財政援助を行うこと。
 以上、地方自治法第99条2項の規定により意見書を提出する。  

 

                             
                            (日本共産党も賛成し採択)

介護保険法の円滑な実施を求める意見書

 来年4月からスタートする介護保険法は、施行を前にして、基盤整備の遅れに加え、予定より高くなる保険料負担、これまでサービスを受けていた者の認定漏れやサービスの低下、基盤整備の遅れに伴うサービスの不足や欠落等々さまざまな問題点が指摘されているところである。
 こうした問題点は、各地方公共団体で「保険あってサービスなし」といった事態を招くのみならず、さらに高額の保険料や自己負担等が高齢者・市民の生活を圧迫し、ひいては景気回復にも影響をもたらすおそれがある。
 よって政府におかれては、高齢者等の保険料・自己負担を軽減する財政措置並びに低所得者や滞納者対策に係る地方自治体への財政的支援の強化、新ゴールドプランに引き続き、在宅介護サービスに重点を置く新たな計画の策定・実施が望まれる。また認定より漏れる高齢者等に対する介護・予防サービスや、地方自治体が独自に行っている横だしサービスなどについても適切な財政的支援の充実・強化を図られたい。さらに施設・在宅介護サービス指定業者についての情報公開や、苦情処理体制の早急な整備、介護費用の低所得控除制度の創設、高額介護サービス費の適切な水準を設定するとともに、高額医療費と重複する場合の軽減策を講じることなど、介護保険法の円滑な実施を図られるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

 

                   
                  (一事不再議となった日本共産党案)

 大阪府福祉医療制度の見直し案の撤回を求める意見書(案)

  大阪府はこのほど、「本府福祉施策の再構築について」(素案)を発表した。  
 この素案によると、老人医療費助成では、昨年11月からの大幅後退につづき、一部負担金助成の対象者から市町村民税非課税世帯高齢者を除外し、高齢障害者、特定疾患者等に限るとしている。これによって、助成対象者は現行の27万2200人から6万3200人へと20万9000人も大きく減らされることになる。  
 さらに、老人医療、障害者医療、母子家庭医療の助成制度の市町村に対する補助率を見直し、府の負担割合を現行の5分の4(大阪市5分の3)から一律2分の1に削減するとしている。この結果、来年度の市町村負担は、現行制度の場合の139億円から226億円へと87億円も増加することになる。これでは実際上、市町村での制度の継続は困難となり、府民に多大の負担増を強いることになる。  
 今回の素案は、府の「財政再建プログラム」にもとづくものであり、ゼネコン向けの大型開発は強行する一方、低所得の高齢者や障害者、母子家庭などにとって、文字どうり生存にかかわるものであるにもかかわらず、これを冷たく切り捨てるものである。また、市町村のきびしい財政状況を無視して負担を押しつけるものであり、到底容認できない。  
 よって大阪府におかれては、福祉医療制度の見直し案は撤回されるよう、強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条2項の規定により意見書を提出する。  
 

 

                            
                            (日本共産党も賛成し採択)

「大阪府福祉施策の再構築について(素案)」に関する意見書

 大阪府は、先頃、昨年の財政再建プログラム案の具体策として、大阪府社会福祉審議会の答申を踏まえ、「大阪府福祉施策の再構築に付いて(素案)」を発表した。
 この中で、府は、持続可能な福祉施策体系の確立、適正な受益者負担、世代間負担の公平性、市町村との役割分担等の観点から、平成12年度において福祉医療制度において福祉医療制度を見直し、老人医療費一部負担金等助成事業の削減及び各福祉医療制度にかかる市町村補助率の二分の一への引き下げが示された。
 しかしながら、景気の低迷状態が長引くなか、本市も厳しい財政状況に直面しており、これら事業の見直しは、単に府の財政赤字を転嫁するだけでなく、市民生活に重大な影響を及ぼすものである。
 これまで、本市においては長年にわたり府と協力し、施策の円滑な実施に努めてきており、府の財政再建プログラム案に関しては過去の経過を踏まえ、本市会においても昨年、慎重な検討を求める意見書を議決したところであり、今回、十分な説明と協議もなく素案が提案されたことは誠に遺憾である。
 よって大阪府におかれては、「大阪府福祉施策の再構築について(素案)」の内容について十分な説明と協議を行い、合意形成に努められるとともに、広域行政を担う不の責務において、市民生活に影響を及ぼうことのないよう、再度慎重に検討されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条2項の規定により意見書を提出する。  

 

                          
                           (日本共産党の原案)

軽油引取税の暫定増税分の撤廃もしくは減額を求める意見書(案)

  国民生活と日本経済の発展に貢献してきた貨物自動車運送事業(トラック運送)は、昨年7月、通産大臣より不況対象業種として認定され、本年1月、労働大臣より「雇用調整助成金」の給付が適用される業種に指定されたところである。元々、トラック運送業界は、中小零細企業が全体の99%以上を占めるなど、経営基盤の脆弱な業界である上に、今では赤字企業が全体の半数以上を占め、倒産件数は、昨年1年間で575件を数えると共に、労働者の賃金水準は全産業水準を大きく下回るなど、かつてない厳しい状況にたたされている。  
 これらの背景には、不況による荷動きの鈍化、運賃・料金の低下とともに、高速道路料金や軽油引取税の値上げなど、コストの増高がその要因として指摘されている。とりわけ、軽油引取税の負担は大きく、暫定増税分の軽減を求める声は、非常に大きいものがある。  
 そもそも、軽油引取税の税率は、地方税法第700条の7において1キロリットルにつき1万5千円と定められている。それが度重なる暫定増税の上乗せにより、本則で定められた基本税率の倍以上の税率となっているのである。  
 この暫定増税分は、平成10年3月末をもって日切れとなるところ、地方道の整備状況、新たな道路整備五ヵ年計画の策定状況等を踏まえ、適用期限を平成15年3月まで、さらに5年の延長措置がはかられたものであるが、政府が提唱する「適正かつ円滑な転嫁」としての運賃への上乗せは、この厳しい経済状況下においては不可能というに等しく、結果的にトラック運送事業者の負担となってはねかえっているのである。  
 よって、政府におかれては、トラック運送業者の経営を圧迫している軽油引取税暫定増税分(本法付則第32条の2第2項)について、撤廃もしくは軽減措置をはかられるよう強く要望するものである。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

 

                               
                            (共同提案で採択)

貨物自動車運送事業への不況対策を求める意見書

 貨物自動車運送事業(トラック運送)は、日本経済における物流の動脈といわれ、生産及び流通分野における貨物輸送という重要な社会的役割を担っている。
 しかし、本年9月の政府の月例経済報告では、景気はやや改善してきているとされるものの、中小零細企業が大半を占める貨物自動車運送事業は、不況による荷動きの鈍化、運賃・料金の低下とともに、軽油引取税の暫定税率の継続や、高速道路料金の値上げなどのコスト増要因を背景に極めて厳しい経営環境にある。
 昨年の軽油取引税の暫定税率の継続にあたっては、引き続き「運輸事業振興助成交付金」が措置されているが、厳しい経済状況下では、運賃の適正、円滑な転嫁は難しく、運送事業者がコスト増の負担を被らざる得ない状況にあり、貨物自動車運送事業は昨年7月には通産大臣より不況対象業種として認定され、さらに本年1月には労働大臣より「雇用調整助成金」の給付適用業種に指定されるなど深刻な状況となっている。
 よって政府におかれては、国民生活の安定のため、重要な貨物郵送手段を確保するうえからも、貨物自動車運送事業などについて早急に検討され、引き続き実効性のある不況対策を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

 


                               (共同提案で採択)

聴覚障害視野の社会参加を制限する法律の早期改正を求める意見書

 1981年の国際障害者年以降、我が国においても聴覚障害者の社会参加と平等の保障は着実に前進しており、聴覚障害者自身の社会参加意識の高まりや自立への努力はめざましいものがある。
 しかしながら、現在でも医師法、薬剤師法など医事・薬事関係法を中心に聴覚障害を絶対的に欠格事由と規定し、個々の能力等に関係なく一律に資格や免許を与えないといる法律が残されており、また著作権法や公職選挙法でも、間接的に聴覚障害者の社会参加を制限することになる規定が存在しているなど、解決すべき課題が残されている。
 よって政府におかれては、ノーマライゼーションの理念に基づき、聴覚障害者の社会参加を制限する各種法律について、必要性の薄い欠格条項は廃止し、必要な制限についても、制限を受ける障害者の範囲を能力や機能面から厳密に規定するなど早急に所要の改正を行い、運用面でも改善措置を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

         

                                  
                               (共同提案で採択)

NPO法人(民間非営利団体)育成策の強化を求める意見書

 21世紀を目前にし、我が国は、経済のグローバル化、少子高齢化、環境保全、情報化及び資源エネルギー等々、さまざまな構造的問題に直面している。
 こうした21世紀社会の複雑で構造的な諸問題に対処していく上で、営利を目的とせずに公益的な活動を行うNPO(民間非営利団体)の存在と役割が改めて注目されているところである。
 こうした期待を背負って、昨年12月にNPO(特定非営利活動促進)法が施行されているが、それに基づく法人申請は本年8月6日現在でようやく1,000件を突破したところである。今後、認証されるNPO法人がさらに飛躍的に増加し、医療、介護、環境問題など様々な分野での活躍とともに、雇用の受け皿としても発展していくことが期待されており、こうしたNPO法人が順調に発展していくうえで、いまこそ環境整備を図ることが急務であるといえる。
 よって政府におかれては、NPO法人等の健全な発展を図るために、NPO法人に対する個人や企業の寄付の免税措置等の実現、地方自治体等から恒常的な業務委託を拡大していくための緊急雇用対策特別交付金の継続、さらに災害、福祉等の公益的な活動に参加するための勤労者ボランティア休暇にかかる制度の整備など、NPO法人の育成策を強化されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

  


                               (共同提案で採択)

教育予算の拡充と教職員の定数改善、義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

 昨今の学校教育をとりまく状況は多様化・複雑化しており、とりわけ義務教育現場では、いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊などに直面している。これらの課題を解決し活力ある未来社会を築いていくためには、子どもたちが感受性豊かな人材に育っていく教育環境の整備が図られなければならない。
 一方、学校教育法をはじめとする教育関係法の改正が行われなど、地方分権と規制緩和の流れを受けて教育改革はすでに実行段階に入っている。地方分権・教育改革を行っていくためには財源問題は不可欠であるが、政府は深刻な財政事情を理由として教職員定数の見直しを含む教育予算の抑制・削減を図ろうとしており、義務教育費国庫負担制度に関しても、国・地方の負担割合の見直しなどの動きが懸念されている。
 義務教育費国庫負担制度は教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、義務教育の根幹をなす制度として機能しているが、政府はこれまでに、旅費、教材費、恩給費、共済費追加費用を一般財源化し、地方自治体に大きな負担をもたらしてきた。これらの点から今後、地方自治体の財政力によって教職員数など教育条件が左右されることにもなり、全国的な義務教育の水準に格差を生じさせるおそれがある。
 よって政府におかれては、将来展望に立った教育予算の拡充と行き届いた教育のための教職員定数改善を推進するとともに、義務教育費国庫負担制度、義務教育教科書無償制度を堅持し、国民や地方自治体に財政負担を転嫁しないことを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

 


                           (日本共産党も賛成し採択)

ベンチャー企業等の企業環境の整備を求める意見書

 我が国の長い不況による企業の倒産状況は依然として厳しい状況にあり、それらに加えて昨今の企業によるリストラ等により、かつてないほどの失業者の増大をみているところである。
 こうした時代の変遷期や掲載社会の厳しい変動期においては、企業の興廃等が数多く見られるものの、時代の変革期にこそ、新しい国民ニーズに対応した新しい企業が生れるなど時代に即応した産業構造の転換が図られ、これらの失業者や転職者の受け皿となることが望まれている。
 しかるに我が国における新しい企業の起業率は年々低下し、平成6年から平成8年の企業率が3.7%と、廃業率3.8%を下回り、常に13%台の企業率をキープしている米国と好対照をなしている。こうした事実は、規制緩和とともに、ベンチャー等の企業対策が不十分であることを示しており、早急なる打開策が必要である。
 よって政府におかれては、女性企業家への支援を含むベンチャー企業の融資・経営・技術問題等に指導・相談制度の創設、中小・ベンチャー企業への投資で損失を被った企業の資金調達対策の確立など、ベンチャー企業等の起業・育成策について抜本的な対策を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

 10月19日採択の意見書関係  

                            (日本共産党の原案)

府立高校の統廃合と授業料値上げ、教職員大幅削減に反対する意見書(案)  

 府立門真南高校、玉川高校をはじめ、大阪府は今後10ケ年で20校を廃校しようとしている。今でさえ高校進学率を92.3%と低く押さえているため毎年5〜6千人の進学できない生徒が生まれている中で、希望者全員進学の願いを切り捨てると共に、受験競争をいっそう激しくするものである。
 また大阪府は、「今後の公私にわたる高校教育と保護者負担のあり方について(案)」を発表し、この中で府立高校入学料・授業料を30〜60%も引き上げることを示唆している。この引き上げ案は、全国的にも突出したものであり、不況で苦しむ府民を追い詰め、生徒の学ぶ権利を脅かすものである。  
 大阪府はさらに、中学校の生徒指導主事、小学校の専科教員などの府独自加配を含む4800人の教職員の削減を行おうとしている。今日の生徒・児童のいじめ、不登校、学級崩壊など、教育現場での困難をいっそう増大させるものである。  
 これらは、いずれも財政難を理由にした「財政再建プログラム」にのっとったものであるが、一方で巨大開発の反省や見直しもないまま、後退させてはならない教育分野に、そのしわ寄せを行おうとするものであり、断じて認めることはできない。
 よって、大阪府におかれては、門真南高校、玉川高校はじめ、府立高校の統廃合計画を撤回し、府立高校の入学料・授業料値上げ、府独自加配などの教職員削減を行わないよう強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

 


                                (共同提案で採択)

「大阪府財政再建プログラム」に基づく教育施策の見直しに関する意見書

 
大阪府は、昨年策定した「大阪財政再建プログラム」により、府単独加配教員を含む教職員定数の削減、公私間較差の縮減及び保護者負担のあり方の検討による府立高等学校の入学料・授業料の引き上げ、特色化と併せた府立高校の再編統合等、教育に関する様々な施策の見直しを打ち出し、一部については既に着手が行われているところである。
 21世紀の我が国を担う子どもたちに、国際化、情報化など急速に変化するこれからの時代を生き抜く「生きる力」を涵養することが急務となっており、国を挙げて教育改革に取り組む必要に直面している現在、これからの教育のあり方については長期的視点に立った十分な検討が必要であり、教育水準の低下を招き、将来にわたって影響を及ぼしかねない安易な教育施策の見直しがないよう十分に配慮されなければならない。
 また、景気の低迷が長びくなか、教育費の増大は市民生活に大きな影響を与えるため、授業料等の引上げについては、広く関係者に対する説明と意見交換、十分な理解が必要であり、その検討にあたっては慎重にこれを行う必要がある。
 よって大阪府におかれては、財政再建プログラムに基づく教育施策の見直しについて十分な説明と協議を行い、合意形成に努められるとともに、教育水準の低下を招来することのないよう議論を尽くされることを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。

 


                          (日本共産党の原案)

東海村・臨界事故に関する意見書(案)

  去る9月30日に茨城県東海村の核燃料工場で起きた臨界事故は、生命にかかわる重症者2名を含む49人もの被曝者を出し、現場から半径10q以内の住民31万人が屋内退避勧告を受けるなど、広大な地域に放射能汚染の危険をもたらした、わが国最悪の放射能事故となった。10月2日、臨界反応の終息が宣言されたものの、住民の衝撃と怒り、今後への不安ははかリ知れないものがあり、農作物の出荷停止、休漁、商店や事業所の休業などの被害もきわめて広範囲におよんでいる。
 今回の臨界事故は、世界の原子力関係者から「なぜこういうことが起きるのか、理解できない」と指摘されているように、異常きわまりないものである。とりわけ一連の経過をみると、事故をおこした会社には、臨界を防止する対策も、放射能にたいするフェイル・セーフ(多重防護)の仕組みも、事故後の通報体制もまったく整えられていなかった。深刻な事故が引き起こされながら、現場の状態がどうなっているのかの把握もできない状態が続いていたのである。まさに、臨界事故から核反応の暴走という悲惨極まりない大事故に発展する危険性をはらんでいたのである。  
 しかるに政府は、みずから「安全神話」にとりつかれ、かかる事業所を「安全」と認定し、長期間検査を怠っていたのであり、その責任は極めて重大である。  
 よって政府においては、ことの重大性に鑑み、早急に以下の措置を講ずるよう強く要望する。  
 @ 被曝した労働者と住民の健康回復、農漁民と商工業者などの生活と営業の補償を  企業と共におこなう。  
 A 事故の原因、責任の所在など、その全容を国民の前に明らかにする。  
 B 原子力関連施設の管理・運営、安全対策の根本的見直しを計る。
 C 全国の原子力施設について、原子力発電所はもちろんのこと、核燃料施設のよう  な関連施設も含めて、安全体制の総点検を行い、これまでの原子力行政の根本的な  見直しをはかる。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

 


                                 (共同提案で採択)

原子力関連施設における安全確保及び自己の再発防止対策を求める意見書

 
去る9月30日、茨城県東海村の民間核燃料加工施設で核燃料用のウランで核分裂反応が進行して強い放射能を放出する国内最悪の臨海事故が発生した。
 この事故により、重症者2名を含む多数の人々が被ばくし、周辺住民の非難や退避が要請され、周辺道路の通行止め、JRの運行中止、学校の休校など広範囲に深刻な影響を及ぼしたところであり、海外でもチェルノブイリ事故やスリーマイル島事故と同様に、広く報道されるところとなった。
 事故後の調査では、加工施設のずさんな安全管理、会社ぐるみの違法行為の結果発生した事故であったことが明らかになっており、地域住民だけではなく、国民の原子力の安全確保に対する不信、不安は高まっている。
 国は事故直後の対応の遅れや危機管理体制の不備などを教訓に、国と自治体、事業者が一体となって事故に即応できる枠組みづくりのために、原子力防災新法の制定に取り組むことを表明しているが、多方面に与えた事故の影響の大きさからも、山積する諸課題への対応が急がれる。
 よって政府におかれては、周辺住民の健康診断や環境影響調査等を実施し、住民不安の解消に努められることはもとより、事故原因と責任の徹底究明、全国の原子力関連施設の総点検、法律の整備、原子力防災体制や危機管理の見直しなど再発防止にむけて万全の対策を早急に講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

  


                   (
一事不再議となった日本共産党案)

 少子化対策および保育・学童保育施策の拡充を求める意見書(案)  
 出生率の低下をはじめ、少子化が大きな社会問題になっている。とりわけ、働く女性の出産率が著しく低くなっているなど、大都市の少子化は深刻である。一方共働きの一般化で、低年齢児の保育所申し込みが急速にふえており、保育所待機児の多数は低年齢児となっている。
 こうしたもとで、国の補正予算でも少子化対策臨時特例交付金が計上されるなど、一定の対策が講じられているが、市民の切実な要求の実態からは程遠い状況である。学童保育についても、法制化にふさわしい予算措置が必要である。  
 また、緊急保育対策5カ年計画事業は今年が最終年となっているが、厚生省が示した数値目標も達成できない状況となっている。実施主体である市町村が、財政困難ななかで今後引き続き施策の向上をはかるには、政府の抜本的対策が必要である。よって政府におかれては、以下の項目について緊急に対策を講じられるよう強く要望する。  
 1、保育・学童保育予算を大幅に増額し、希望する保育所にだれもが入所できるように、保育所新設など緊急整備計画をたて、待機児の解消をすすめる。  
 2、保育事業は、営利企業の参入でなく、国と自治体の責任で必要な施策を実施する。
 3、緊急保育対策5カ年事業に盛り込まれた事業は、2000年以降も継続して運営できるよう予算措置を講じる。  
 4、少子化対策臨時特例交付金については一時的なものにせず、本格的少子化事業を実施する財政措置を講ずる。  
 5、子どもの発達を保障するため、保育士の受け持ち人数を改善し、調理員・事務職員・看護婦の配置、給食室・食堂・ホールの設置など、保育所最低基準を大幅に改善する。  
 6、保育料を大幅に引き下げられるよう、積算基準を引き下げる。
 7、学童保育の法制化にふさわしく、指導員の身分保障など施策の抜本改善と人件費などの財政措置を講ずる。
 以上、地方自治法第99条2項の規定により意見書を提出する。

 

 


                            (日本共産党も賛成し採択)

               保育施策の拡充を求める意見書

 
我が国の少子高齢化は他の国に例を見ないスピードで進んでおり、社会・経済に及ぼす影響が問題となっているが、とりわけ少子化は合計特殊出生率が下がり続けるなど一段と深刻さを増しており、少子化に対応するためには、誰もが安心して生み育て、子どもたちがのびのびと健やかに育つための社会的支援と環境整備が図られなければならない。本市においては、大阪市児童育成計画に基づいて総合的な施策を推進しており、平成14年度を目途に待機児童の解消を図ることとしている。
 国においては、エンゼルプランの具体化の一環として推進されてきた緊急保育対策等5か年事業は今年度で計画が終了するが、一時保育、延長保育などは目標に達しないおそれがあり、引き続き保育環境の整備促進や多様な保育サービスの充実に努める必要がある。
 よって政府におかれては、待機児童の解消を初め現行計画の完全達成を図ることはもちろん、子育て環境の整備を図るという児童福祉法改正の趣旨と公的責任に基づいて、新たな保育対策事業計画を策定し一層の保育施策の拡充を図るとともに、長期的視点に立って子育てに伴う経済的負担の軽減策や育児休業制度の充実など総合的な施策の確立を図られるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条2項の規定により意見書を提出する。

 

                    
                   (一時不再議となった日本共産党案)

  1学級の定数を「30人以下」にすることを求める意見書(案)

 未来に生きる子どもたちは、親にとっても社会にとってもかけがえのない存在であることは言うまでもない。そして同時に、この宝とも言うべき子どもたちがすこやかに学び成長する上で、学校の果たすべき役割はまことに大きいものがある。  
 ところが今、「子どもの荒れ」「学級崩壊」など教育現場の実情は極めて深刻なものがある。子どもたちは、教師に「自分のことをわかって欲しい」「わかるまで教えて欲しい」とシグナルを送っていると言われている。そんな中ですべての子どもたちに目が行き届くように、せめて30人学級にとの教師の願いには切なるものがある。  
 周知のように、アメリカ、ドイツなど欧米諸国ではほとんどが30人以下学級となつている。日本でも、長野県小海町、佐賀県北波多村などは独自に1学級の定数減を実現し、今回の「緊急地域雇用特別交付金事業」の有効活用では鳥取県が小学校1年生の36人以上学級に臨時教員21人を配置した。地方議会における促進決議も954自治体におよんでいる。  
 よって政府におかれては、かかる教育の現状に鑑み、国の責任で早期に1学級の定数を「30人以下」にされるよう強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

 


                          (日本共産党も賛成し採択)

          学級編制基準の弾力化に関する意見書

 
現在、学校教育には、子どもたちを取り巻く急激な社会変化の中、いじめ、不登校、学級崩壊等深刻な問題が山積しており、また、これからの時代に求められる一人一人の個性を大切にした教育指導を実現するためにも、人的な条件整備を進めることが必要となっている。
 これらの状況を踏まえ、昨年9月の中央教育審議会答申は、教育条件の向上及び地方分権推進の観点から、法により定められた1学級40人の学級編制の標準を下回る学級編制基準を、それぞれの地域の実情に応じて定めることができるよう、必要な法的整備を図ることを国に提言した。
 文部省は、この答申を受けて有識者による「協力者会議」を設置し、適正な学級規模の検討や教職員配置のあり方などについて、諸外国の実態を踏まえながら討論を重ね、学級編制基準の見直しなどを引き続き検討しているところである。
 しかしながら、学級編制基準の弾力化は、その前提として教職員定数の改善が不可欠であり、抜本的な定数改善及び財政措置が行われなければ、多大な財政負担を自治体に課すことになるため、国による対策が必要である。
 よって政府におかれては、かかる現状を十分認識され、学級編制基準の弾力化と教職員定数の改善を図られるとともに、必要な財源措置等、所要の施策を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

各派との折衝のなかで今回取り下げた意見書・決議案  


中小企業基本法改定に関する意見書(案)  

 中小企業政策審議会は9月22日、「21世紀に向けた新たな中小企業政策の在り方」と題する「答申」を発表した。これを受けて小渕首相は、次の臨時国会に中小企業基本法を36年ぶりに改定する法案を提出し、゛中小企業国会゛にするとしている。  
 しかし「答申」の方向は政策の中心を創業・ベンチャー企業と一部優良企業の支援に重点化し、中小企業の保護・団体支援行政を縮小する方針によって大多数の既存中小企業、零細業者の支援を切り捨てようとするものであり、今日、国民と中小企業が切実に求めるものとはまったく逆行するものである。  
 今、中小企業は、消費税増税以来の深刻な消費不況に苦しみ、大企業の身勝手な海外展開やリストラによる下請け企業の切り捨て、大型店の出店野放しによる中小商店の倒産や商店街の衰退などきわめて困難な状況に置かれている。  
 ところが、「答申」は、中小企業者のこうした現実を直視せず、大企業と中小企業の「格差是正」という従来の中小企業基本法の建前さえ投げ捨てたものとなっている。そして21世紀の中小企業政策の新たな理念として「多様で活力ある独立した中小企業の育成」などと言葉の上で「明るさ」を強調するが、実際は、「市場原理の尊重」と「規制緩和」の名で、大企業による下請けいじめ、不公正取引の横行と大企業の横暴を野放しにした゛弱肉強食゛の世界に中小企業をいよいよ引きずり込むものであり、こうした方向は日本経済の基盤の破壊につながるものである。また財源の保障もないまま中小企業者の範囲を拡大し、国の責任を放棄して地方自治体に中小企業支援の仕事を押しつけることは自治体財政をますます困難にするものである。  
 よって政府におかれては、中小企業基本法改定にあたっては、「答申」の方向ではなく、すべての中小企業と零細業者を対象に、技術開発や販路拡大など経営基盤にたちいった行政支援を飛躍的に拡充することに資するものとされるよう強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

 


分譲マンション維持管理にたいする公的支援策の拡充を求める意見書(案)
 
 分譲マンション(分譲集合住宅)は、本格的な供給がはじまってから約30年がたち、今では全国的には大都市圏を中心に300万戸近くに、大阪市でも全住戸の1割の10万戸に達しようとしており、都市の住まいの主要な形態の一つとして住宅の社会的ストックを構成している。
 近年全国の地方自治体で、マンションの維持管理や大規模修繕などに公的な支援策・助成策をつくる動きが広がり、国においても、財団法人マンション管理センターの管理組合支援策や、住宅金融公庫マンション融資制度、相談窓口の設置などの取りまとめなどがなされるにいたっている。  
 分譲マンションは、区分所有の所有者全員で管理組合をつくって管理運営するという特質から、維持管理や大規模修繕、建て替えには特別の困難を抱えている。供給開始から30年がたち、マンションの老朽化も進み、外壁修繕、給排水管やガス管の取り替えなど大規模修繕が大きな課題になり、建て替えもやがて直面する課題になろうとしている。こうした時、これまでの延長線ではない、文字通り抜本的な公的支援策が強く求められている。  
 よって、国におかれては、分譲マンションの維持管理・大規模修繕・建て替えを支援するために、相談窓口の充実や、プレイロット・集会所など公共的な共用部分への固定資産税免除措置、大規模修繕・建て替えに対する助成制度や低利の融資制度などの、分譲マンション維持管理への公的支援策を拡充・強化されることを強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  


市社協への高齢者ホームヘルプ事業委託を継続し、さらに拡充発展させる決議(案)
 

 大阪市はホームヘルプ事業を市社会福祉協議会に委託し、950名にのぼるヘルパーの人件費補助を行ってきた。これにより住民税非課税の約4500世帯は無料でヘルプサーピスを受けることができ、要介護者の自立のうえで大きな役割を果たしてきた。言うまでもなく、公的ヘルパーの最大の役割は、分きざみの介護報酬にしばられることなく「自立のために何が必要か」を会話しながらみつけだすことにある。孤独な暮らしを余儀なくされている高齢者が自立していく上で会話能力・コミュニケーション手段がたもたれていることは極めて重要であり、これが可能になるのは行政により人件費が保証されている公的ヘルパーならではのことといえよう。  
 周知のように北欧諸国では、ヘルパーの人件費への国庫補助が70年代後半から50%から75%になり、在宅介護が充実・発展しているが、大阪市のヘルプ事業はこうした在宅介護を、国庫補助の拡充を求めつつ、目指すものとして各方面から期待されてきたものである。  
 しかるに大阪市は、今回の介護保険導入にともない、市社協への高齢者介護事業の委託事業打ち切りを通告したが、これは、介護の対象外となった人々へのサービスの打ち切りや訪問介護事業全体の質を引き下げるものであり、到底容認できない。  
 よって本市会は、営利を目的とした民間事業者と公的ヘルパーを同列視するのでなく、公的ヘルパーが果たしてきた役割を介護保険下でヘルプ事業の中心的役割を果たすために、市社協のヘルパーヘの委託事業を継続しさらに拡充するよう求めるものである。
 以上決議する。  
 

   

 
            結核対策に関する決議(案)

 近年、世界的に結核患者がふえる傾向にある。1994年には、世界保健機関が結核に対する「非常事態宣言」を発表した程である。我が国においても、事の深刻さにかわりはない。かって、国民病と言われた時代を経て、今や誰しもが、「過去の病気」と思い込んでいる結核に、その実、年間43000人が新しく罹患し、そのうち3000人近くが命を落としているのである。しかも、ここにきて、今年、43年ぶりに新規結核罹患率が増加に転じ、内容においても、「多剤耐性結核」のまん延など、ゆゆしき事態となっている。  
 なかでも大阪市は、世界的に罹患率が高いとされているネパールと同程度と言われ、国内的にも長野県の6倍に相当するなど文字通り全国最高クラスの罹患率となっているのである。特に西成のあいりん地区やホームレスの人達、不況やリストラなどで苦しむ中小企業や失業者の中に急速に患者が広がっており、一刻も放置できない事態になっている。こんな中で、7月26日、厚生省は「結核緊急宣言」を発表した。大阪市においては、特段の取り組みが求められているのである。  
 よって、本市会は、大阪市が結核の予防、検診、治療の充実のために、以下の事項を直ちに実行されるよう強く要望するものである。
 @ 大阪市として「結核緊急事態宣言」を行い、全市民的な結核予防の啓発活動に取り組むこと。  
 A 各区の保健所が中心となって、全市民を対象にした結核無料検診を実施すること。
 B あいりん地区や市内随所に点在している野宿者に対して、レントゲンの直接撮影、DOTSを本格的に実施すること。  
 以上、決議する。