大阪市財政をたて直しつつ、
市民のくらしや福祉優先を貫く予算に

2000年3月7 渡司 考一議員が代表質問

いま政治に求められていることは国民各層の将来不安を取り除くこと 

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2000年度大阪市予算案等について、磯村市長に質問いたします。
 申し上げるまでもなく、日本の経済は「ゆるやかな改善が続いている」という政府の発表にもかかわらず、企業倒産や失業者の増大、個人消費の低迷など、どの指標をみても、依然として深刻な状況にあります。
 まさに今、こういう中で、政治に求められていることは、国民各層の間に満ちている将来不安を取り除くことであります。すなわち、大企業のリストラを規制し、労働時間の短縮などによって、雇用の拡大をはかるとともに、国民の負担を軽減して、消費マインドを高めることに他なりません。
 そうして、消費の拡大が民間設備投資を喚起するという、いわゆる、民需による景気の自律的な回復をはかるべきなのであります。
 ところが、小渕自自公内閣はこともあろうに、医療や年金などの改悪で、逆に2兆円もの負担増を、国民に押しつけようとしているばかりか、大型公共事業のバラマキによって、国・地方通じての借金645兆円という空前の財政危機におとしいれようとしているのであります。これでは、雇用も増えなければ、いずれ大増税がやってくるということで消費も伸びない、つまり、いつまでも公共事業から民需にバトンタッチできないのであります。
 もはや、こういう内閣は一刻も早い解散、総選挙によって、国民の厳しい審判を受ける以外にありませんが、こういう時だけに、大阪市の果たすべき役割は、市民のくらしを守るという点でいよいよ重大なものがあると思います。

 巨大開発には大盤ぶるまいで市民一人あたり借金は194万円

  2000年度予算編成にあたっては、国の大型公共事業バラマキに追随することなく、市民の健康、安全、福祉を保持するという地方自治体本来の姿に戻すべきなのであります。
 にもかかわらず、磯村市長、この予算案はいったい何ですか。
 来るかどうかもわからないオリンピックを利用して、大阪テクノポート計画などの巨大開発に大盤ぶるまいしているではありませんか。そしてまた、一刻も早く終結すべき同和事業にも手厚く措置している一方で、国民健康保険料の値上げなど市民には冷たいしうちをしているではありませんか。
 そうして、市税収入が6615億円と、7000億円を大きく割り込むことと相まって、経常収支比率90.5%、公債費負担比率17.2%と、赤信号がともりはじめるとともに、市債残高は一般会計で2兆3518億円、全会計で5兆597億円、市民一人あたり借金は194万円になる見込みであります。
 これでは市民の将来不安は高まる一方であります。
 私は、無駄な大型公共事業から、特別養護老人ホーム、市営住宅や学校校舎設備など福祉・生活密着型の公共投資優先に転換すると共に、同和事業や3K赤字穴埋めなどの予算を削って、大阪市財政をたて直しつつ、市民のくらしや福祉優先を貫くよう求めるものであります。
 以下、このような立場から、具体的に質問したいと思います。
 
第1に、無駄と浪費の大型公共事業を根本から見直す問題であります。

      オリンピックを利用して無謀とも言える夢洲開発

  まず、オリンピックを利用して無謀とも言える夢洲の開発にのめり込もうとしていることであります。
 人口6万人構想は、4万5千人程度に下方修正したとはいえ、1万5千戸もの住宅はじめ、保育所、学校、各種文化施設の建設など、公共が受け持つだけでも、5000億とも6000億円とも費用がかかると言われております。一体どこからこれを捻出するつもりでしょうか。インフラの相当部分を受け持つべき埋立事業会計は、土地が売れなくて、2000年度末で基金は底をつくなどひっぱくしているのであります。市長、この夢洲の開発の財源はどうなっておりますか。その内訳を明らかにしていただきたい。
 また、この廃棄物などで埋め立てた島に4万5千人もの町をつくる必要性や必然性があるんでしょうか。一方で、北区や中央区など人の住みにくい町にして、次々と学校の統廃合など強行しながら、なぜ、この島に膨大な予算を投じて、市民を移転させなければならないのですか。その理由もあわせてお聞かせ下さい。
 また仮に、この街づくりを強行したとしても、あの経済情勢の良かった時期のポートタウンの建設でさえ、計画に大きな齟齬をきたしました。開業後20年を経過したニュートラムも大赤字であります。夢洲の街づくりがうまく行くとは考えられないところです。

  採算の見通しもたたない北港テクノポート線に1873億円

  にもかかわらず、1000億円もの夢洲道路トンネルや1873億円もの北港テクノポート線を、2000年度中に着工しようとさえいたしております。北港テクノポート線などはいったい採算の見通しがあるんでしょうか。その数字を明確に示していただきたい。
 いずれにしても、このような計画は、オリンピックという錦のみはたなしには前に進められない代物ではありませんか。市長、このようなオリンピックという崇高なスポーツの祭典を利用して巨大開発を進めるような事はやめるべきであります。答弁を求めます。

関空2期工事推進への出資金・貸付金は見直し、国・府に再検討の申し入れを

 次に関西空港二期工事についてお聞きいたします。
 今回、この二期工事に対する出資金、貸付金あわせて63億円が計上されております。しかしながら、今、この関空二期事業の成否について、国の内外から多くの意見が寄せられております。
 それは、着陸料や施設使用料が世界一高い上に、他の空港の新たな立地や拡充などによって、関空の航空需要が当初予測を下まわっているからであります。
 今例えば、ジャンボ機一機の着陸料その他施設使用料は、比較的高いと言われる香港で5800ドル、シンガポールは3300ドル、ソウルが2700ドルにたいして、関空は1万2000ドルとなっております。
 そんな中で、関空から撤退する航空会社もふえ始めました。英国航空やユナイテッド航空が大きく便数を減らしている上、今度はフインランド航空がこの4月から週3回のヘルシンキとの定期便を休止する、またこの3月に、全日空が欧州路線の撤退を決めました。関係者は「採算がとれない路線は、今後もどんどん廃止されるだろう」と話しています。

        世界のハブ空港としては、関空は失敗作

  年間の飛行機の発着数は、97年度、12万1千回とそれまで順調に伸びてきたものの、98年度11万7千回あまりと下落した上に、99年度4月から8月までの調査で、国際線が対前年度比5.4%も落ち込んだのであります。
 ちなみに、関空会社の98年度決算では累積欠損金が1333億円にものぼっております。これに追い打ちをかけるように、昨年7月、在日、外国航空会社協議会が、関空の着陸料等の50%引き下げを運輸省に求めるとともに、国際航空、運送協会の空港審議会が、二期事業を推進すればさらなる料金値上げにつながるとして、二期事業よりもターミナルビルの拡張や現滑走路を有効利用するよう勧告しているのであります。
 また、イギリスの『フィナンシャルタイムス』は、世界のハブ空港としては、関空は失敗作となった、と論評しているではりませんか。市長、2000年度15万回、2005年度は17万回などという需要予測はもう既に崩れているのであります。
 二期工事への出資・貸付などの支援を見直すとともに、国や大阪府に2期工事の推進そのものを再検討するよう申し入れることを提案しますが、答弁下さい。

        市関連団体の入居率が7割にもなるWTCビル

 次に、WTCなどへの支援についてであります。
 言うまでもなく、WTC、ATC、OCATの3つのビルの赤字の穴埋めのために、これまでフロアの借り上げ等の支援策を講ずるとともに、98年度からは、3つの事業あわせて年97億3300万円づつ7年から8年にわたる貸付を強行してきました。それでも事業は好転せず、今度はなんとWTCに港湾局とその外郭団体に続いて、水道局、建設局、下水道局の3局と土木技術協会など3外郭団体を入居させようとしているのであります。もし、これが強行されれば、6つの団体で支払う敷金は31億7000万円余り、家賃、共益費合計で年21億5000万円余りとなります。また、同時に、オフイス面積に占める大阪市関連団体の比率は実に7割にも達することになります。
 しかも、駐車場は大阪市がすでに51億円で買い取って支援しており、もはや、世界貿易センタービルの名に値しない、まさに、大阪市役所南港庁舎と言わなくてはならなくなるでしょう。
 またATCにも、市民局、消費者センターが船場センタービルから、そして、消費生活課が本庁舎からそれぞれ移転する予算が計上されております。消費者センターの従前賃料は年3300万円のところ、ATCでは敷金1億6000万円、年1億1000万円の家賃、共益費を支払うことになります。
 市長、そもそも市域全体に責任を持つ庁舎というものは、市内の中心部に立地するのが当たり前ではありませんか。それをどうして市内の外れにもっていくんですか。
 しかも、安上がりになるのならともかく、大変な支出増になるではありませんか。
 また同時に、出て行かれたところは逆に空洞化するのであります。現に、港湾局の外郭団体である大阪港トランスポートシステムなどが入居していた、港区の第一大阪港ビルは、その退去フロアが1年半も空いたままになっているではありませんか。
 また、駅前第二ビルについても、地下街の飲食店舗などから、「死活問題」とのクレームがついている始末であります。

  破綻したWTCやATCにこれ以上の税金投入は止めるべき

  こんなことをして、大阪経済にとって何のメリットがあると言うのでしょうか。
 WTCは株式会社です。民間活力導入などといって進めてきた訳です。自前で経営努力をするのが当然であります。そしてそれでもだめなら破綻処理を、せざるを得ないでしょう。オーナーが変わるだけで建物も残るわけです。本市の出資金やこれまでの貸付金は一部、返ってこないでしょうし、銀行なども一部債権放棄が必要になりますが、大阪市の負担はこれ以上増えずに解決するのであります。
 事実上破綻したWTCやATCにこれ以上税金を投入することは止めるべきであります。答弁を求めます。
 
第2に、市民のくらし、福祉、教育を優先させることであります。

特養ホームなど介護保険での市の整備目標は大幅な見直しを

  まず、介護保険の問題であります。今提案されているものは、まさに、「保険あって介護なし」になりかねないということです。なかでもひどいのは、これまで介護にかけがえのない役割を果たしてきた大阪市社会福祉協議会の900人ものホームヘルパーを、障害者介護の150人に大幅縮小する方向をうちだすとともに、デイサービスの市社協への運営委託をすべてうちきるなど、デイサービス事業から撤退しようとさえしています。市長、「現行の福祉水準は後退させない」というこれまでの市民への約束を、ふみにじるものではありませんか。
 また、特別養護老人ホームが5540床でスタートすることもまったく不十分です。
特養ホームの入所を待っておられる方は、昨年10月1日現在で4769人という多数にのぼっています。これらの方は、まったく入る保障がないばかりか、入所の手続きが一からスタートするのであります。本当にむごい仕打ちといわなければなりません。本市の整備目標を大幅に見直すべきです。市長の見解を求めます。

       市独自に低所得者への保険料、利用料の減免を

 1号被保険者の保険料は、政府の「特別対策」によって、半年は免除、その後1年間は半額になるとはいえ、住民税非課税者で月額3381円というのは大変な負担です。所得のない人や月額3万円の老齢福祉年金受給者でも半額の1690円です。
 また利用料は、認定が最低ランクでも月7千円の負担、最高ランクになれば4万円にもなり、利用料を払えない人が続出するでしょう。これまで住民税非課税者に対する在宅サービスは原則無料でしたが、そこに風穴をあける重大問題です。
 他都市でもはじめているように、市独自に低所得者への保険料、利用料の減免にふみだすべきであります。市長の見解をもとめます。

     国保料値上げ予算は撤回し、保険料は引き下げを

  次に国民健康保険事業についてお聞きします。
 今回の国民健康保険料の3%値上げは、加入者56万所帯、100万人にさらに暮らしを圧迫する影響をもたらすものであります。
 今回の値上げは平均でも1人年額2402円、介護保険料の平均額と合わせれば1人年額1万6900円の値上げ、実に平均21%もの負担増になるのであります。今でさえ「高過ぎて払えない」の声が満ちあふれ、不況で滞納が増え続けている中での値上げは、介護保険料の上乗せと合わせて、市民に耐え難い負担となるのであります。
 今回の国保料値上げ予算は撤回し、保険料は引き下げるべきです。答弁を求めます。

65歳以上の老人医療費助成の継続と一部負担制度改悪に反対を

 次に、老人医療費助成の問題です。
 大阪市は2000年度から大阪府にしたがって、新たに65歳になる方で住民税非課税者を除く方の医療費助成を打ち切ろうとしています。これによって2000年度には4600人が、そして5年後には約5万人の高齢者が助成を受けられなくなるのであります。現行通り続けるべきです。
 又、これに加えてさらに大きな影響が出るのが、大阪府知事が府議会に提案している「住民税非課税者の一部負担金助成制度の廃止」であります。この改悪では、65歳以上の非課税世帯の方すべてが今年8月からは、現在の無料から「1回530円、月2120円まで」の一部負担になるのであります。大阪市がこの制度改悪に追随するなら、大阪市民約11万人の高齢者の負担が一挙に増えるのであり、大阪市としてこのような改悪に反対するとともに、大阪市独自でも継続すべきです。あわせて、市長の見解を求めます。

「保育に欠ける児童」すべての入所は自治体の責務、入所枠の大幅増加を

 次に保育問題についてお聞きいたします。
 大阪市は、国の少子化対策交付金39億円のうち24億円をつかって、今回、低年齢児を中心に500人の入所枠を増やす予算を計上していますが、これは極めて不十分であります。現に去年の4月には入所待機児が、1557名もでたではありませんか。住吉区や天王寺区では、市立総合医療センターに勤務する看護婦の子どもが人れない、両親とも学校の先生である子どもが入れない、城東区では今年待機児が去年の150人から200人あまりに増える、こういう実態があります。「保育に欠ける児童」をすべて保育所に入所させることは地方自治体の最低限度の責務であります。入所枠を大幅にふやすべきです。市長の答弁を求めます。

     学童保育への助成金の大幅引き上げを強く求める

 次に、学童保育についてお聞きします。
 来年度予算は、市内150ケ所の学童保育運営助成費を1ケ所に年額わずか1万円増額するというものであります。ご承知のように国においては、1998年4月に児童福祉法が改正されて学童保育が法に明記され、市町村には「学童保育の利用促進」の努力義務規定まで定められたのであります。市長は先の決算委員会で「学童保育より幅広い児童を対象にした児童いきいき事業を全小学校区で実施しているので、そちらを利用してください」と答弁しましたが、児童いきいき事業は留守家庭児童の放課後に責任をもつ運営はされていないのが実態であり、厚生省も留守家庭対策事業に該当しないという見解であります。
 いきいき事業には1カ所平均1083万円の助成を行い、学童保育にたいしては1ケ所平均277万円しか助成しないというのは、まさに法律が要請している方向に逆行し、学童保育を支える父母や指導員にたいする冷たい仕打ちであります。大阪府下では大阪市を除く多くの市で学童保育が公設公営になっており、その1ケ所あたりの助成金は698万円になっていることと比べても、大阪市の姿勢と助成額は恥ずかしい限りのものであります。
 市長、誤った方針を直ちに改め、当面、学童保育への助成金を大幅に引き上げることを強く求めるものであります。答弁を求めます。

野宿生活者へ簡易宿泊所を活用した住宅保障と生活保護の適用を

 次に、野宿生活者の問題です。
 先般「野宿生活者の聞き取り調査の中間報告」が発表されましたが、彼らの80%が廃品回収などの仕事を月20日以上行い、3万円未満の収入を得て最低の日用品や食料品はやっと賄っているが、野宿を解消するだけの収入はないという結果が報告されています。
 大阪市は、3カ所280名収容の自立支援センターをつくる、600名の臨時宿泊所をつくると発表していますが、これではとても間に合いません。簡易宿泊所を活用した住宅保障をこそ行うべきだと考えますが、市長の見解を求めます。
 また、中間報告では、就職希望者は84%にも達しています。国の緊急地域雇用特別交付金で、高齢者特別清掃事業は、登録者は1966名で、月1回しか仕事につけなかったのが3回はできるようになりました。しかし、せめて月8回、働けるように拡大を図るべきだと考えます。また60歳を超える労働者で働けない人には、簡易宿泊所での生活保護の適用を行うべきだと考えますが、市長の見解を求めます。

小・中学校の30人学級実現と幼稚園4・5歳児35人定数の早期実施へ

 次に教育の問題についてお聞きいたします。
 いま、子供たちをめぐる日本の状況は、危機的な様相を深めています。98年度文部省調査によると、1年間に不登校・登校拒否を理由に30日以上学校を欠席した小・中学生は12万7694人。1年間で21%も増加しています。学校内での暴力事件は、29,685件。約26%の増加です。いじめの発生は4万2790件。これでも氷山の一角だといわれております。同様の調査で大阪市は98年度、不登校・登校拒否が2601人、特に中学校では全国平均の1.5倍となっています。
 学校現場からは「いたずらで火災報知器が鳴り響き、ほうきが窓からなげられ、とうとう机までおちてきた」とか「きれた子供がカッターナイフをふりまわす」また「基本的な生活習慣が身についておらず個別指導が必要であるにもかかわらず、教員数がたりない」「一昨年、女性教員が5人も在職死しており、せめて教師のピンハネをやめてほしい」等切実な声があがっています。
 市民が学校に対して望んでいるのはどの子にもわかるまでおしえてくれる、ゆとりのある学校であります。児童・生徒数が減少傾向に向かいはじめたいま、三〇人学級に接近しそれを実現する努力を、本格的におこなうべきです。また、幼稚園4,5歳児定数35人については文部省も決定し、政令市で実施してないのは大阪市だけとなりました。早急に実施すべきではありませんか。あわせて市長の答弁をもとめます。

  週1回は大阪市と川崎市だけの米飯給食の週2回実施を


 また、学校給食の問題では、市民と子どもたちが喜ぶ週2回の米飯給食、ごはん給食でありますが、ぜひとも実施すべきであります。全国平均ではすでに週3回が64%をしめており、本市のように週1回は全国では2.3%でごくわずか、週2回が21%、政令市で、週1回というのは大阪市と川崎市だけという恥ずかしい事態です。答弁を求めます。

 老朽校舎建て替え予算やトイレ改修予算を大幅に増やすべき

 また、小・中学校校舎の施設整備費を160億8700万円から126億1200万円へと34億7500万円も減額し、校舎の補修などの整備費が48億6800万円から45億7100万円へとこれも2億9700万円減額しているのは大問題であります。この中の校舎改築事業では、いまだに昭和20年代の老朽校舎の建て替えをやっている状況であり、これらの校舎では天井の一部が落ちて来たり、教室の出入り扉の立て付けが悪くなっていたりするところまで出ているのであります。補修整備の問題では子ども達からも先生からも共通して出されているのがトイレが臭い、汚い、暗いという苦情であります。なかには家まで帰ってトイレをする子どもまでいるのであります。市長、老朽校舎建て替え予算やトイレ改修予算を大幅に増やすべきであります。答弁を求めます。

     教育現場への「日の丸・君が代」押しつけはやめるべき

  教育の問題の最後は、「日の丸・君が代」の押しつけ問題であります。
 昨年「日の丸・君が代」を国旗国歌とする法案が、国民世論が二分しているにもかかわらず、自自公三党によって採決強行され、これをうけて、大阪市と教育委員会は卒業式・入学式などで、「日の丸」を掲揚し、「君が代」を斉唱することを今まで以上に強く求めています。
 教育現場で国旗・国歌の掲揚・斉唱を強制している国は、サミット参加諸国では日本以外にありませんし、アメリカでは1943年に連邦最高裁判所において「ウエストバージニア州教育委員会が罰則をもって児童・生徒に国旗への敬礼を強制することは、合衆国憲法、修正第一条の目的である、知性と精神の領域を犯している」として憲法違反だとする判決が確定してからは、連邦政府としていっさい関与しないという態度であります。
 「日の丸・君が代」を強制する事は、憲法で認められた児童生徒・教職員・保護者の思想信条、内心の自由を踏みにじる暴挙といわなければなりません。小渕首相は国会で「今回の法制化にあたり、義務づけを行うことは考えておらず、国民生活になんら影響や変化が生ずることにならない」と答弁しているのであります。
 市長、教育現場に「日の丸・君が代」を押しつけることはやめるべきであります。答弁を求めます。

 中小企業への発注比率の目標設定と早急に60%に引上げを

  第3は、長引く不況の中で苦しむ中小企業、小規模事業者への支援策であります。
 まず、大阪市が発注する、官公需についてであります。本市の中小企業に対する発注比率は、97年度42.7%から、こともあろうに98年度は40.9%にさらに落ち込んでいます。市長はかねてから「中小企業では受注困難な大型物件がふえているが、中小企業の受注機会が拡大するよう努力していく」と述べられていますが、13大都市の中でも最低ランクであり、まったく努力をしていないのであります。本市の契約実績からみて、都市整備局、民生局、教育委員会などが中小企業に対する発注比率が高いことからしても、福祉施設、学校建設と修繕、住宅など福祉・生活密着型の公共事業を優先しておこなう事が、本市の比率を引き上げ、市民にも喜ばれ、中小企業、小規模事業者への支援策にもつながるということは明らかであります。
 市長、せめて、大阪府が中小企業に対する発注比率の目標を65%と定めているように、本市も目標設定をし、早急に60%に引き上げるべきだと考えますが、答弁を願います。

中小業者の営業をおびやかす国の規制緩和の動きに中止を求めよ

 次に、中小業者の営業をおびやかす、いわゆる「規制緩和」についてであります。この間「規制緩和万能論」というべき議論がふりまかれ、大店法の連続緩和、廃止、米販免許などの「規制緩和」が強行され、たくさんの中小業者が廃業においこまれるとともに、本業だけでは生活できないため、商売しながらアルバイト行ったり、酒屋さんでは量販店の進出で売り上げ激減、量販店が酒屋さんの仕入れ値を割る金額で小売りするために、「私らも恥をしのんで買いにいきたいくらいだ」との悲痛な声がだされているのであります。にもかかわらず政府は、酒販免許制度のさらなる緩和、薬品販売規制の大幅緩和、理容士免許制度の廃止などをしようとしているのであります。これは、消費者の利便性という意味からしても損失であります。また、政府与党内部から規制緩和万能ではダメだという声もではじめております。市長、こうした国の規制緩和の動きに対し、中止を要望すべきだと思いますが、答弁をもとめます。

生活密着型公共事業への転換と介護・福祉・教育・防災の充実で雇用確保の増加を

 続いて雇用確保の問題であります。昨年10月から12月の近畿地域の失業率は、全国10地域で最悪の5.4%で、前年同期比でみると0.5%上昇と悪化傾向が続き、今年1月は6%となっています。大阪府の有効求人倍率は、99年平均0.37で全国ワースト5にはいっており、厳しい状況であります。雇用の悪化は、大企業のリストラに最大の根源があります。雇用・失業問題の解決は、政府がリストラによる首切りをやめさせるなど、ヨーロッパでは当たり前に行われているように財政措置を含めた雇用確保政策をとる事が重要でありますが、同時に、地方自治体としてできるいくつかの点について提案をいたします。
 まず、雇用をふやす点でも公共事業のあり方は大事であります。建設省の調査からも工事あたりの金額が多くなるほど、その工事にたずさわる労働者の人数が少なくなるという傾向がでており、大型公共工事がすすむ大阪の工事100万円あたりの労働者数は、97年度で9.5人となっており、最高である新潟県と比べて5人も少なくなっています。しかも大阪では、同じ調査で、83年度の労働者数は24.3人ですから、10数年の間に、公共工事で必要とする労働者数は3分の1近くに減っているという結果もでております。大型公共事業が景気対策にならないと同時に、雇用の面からも住民生活に密着した公共工事に転換する事が重要なのであります。市長の答弁を求めます。
 また、介護、福祉、教育、防災の分野で、自治体として雇用をふやす事も可能です。実際に去年、平均有効求人倍率がワースト3であった兵庫県は、2億8千万円の予算を組み、非常勤職員を120人程度採用するという方針を発表し、県みずから雇用確保のために施策をうちだして、労働省も「成果に注目したい」とのべております。非常勤職員であるという点など問題もありますが、こうした県に学び、市社協ホームヘルプ事業 の大幅縮小を撤回し、介護、福祉、教育、防災の分野を中心に雇用をふやす施策をとるべきではありませんか。答弁をもとめます。
 
第4は、ただちに同和事業を終結し、一般事業に移行することであります。

  同和地区だけの個人給付事業や特別扱いは直ちに中止を

  「同特法」施行以来28年間にもわたる特別措置法体制は、97年3月末をもって基本的に終止符がうたれました。また、近年、同和行政を完全終結させている市町村、完全終結に向けて具体的かつ計画的に取り組みをすすめている市町村が増えてきています。 ところが大阪市は、来年度予算案に、一民間病院である芦原病院の助成を6億1500万円、共同浴場整備に前年度比9億2600万円増の14億9600万円を計上しているだけでなく、高齢者や障害者への夏・冬の二対策についても、止めるどころか相変わらず合計7億2300万円を計上しています。公正公平であるべき行政がいつまでこのような特別扱いを行うのか市民からは大きな批判が寄せられているところです。
 市長、同和地区だけの個人給付事業や特別扱いは直ちに止めるべきだと考えますが、見解を求めます。

市同促・地区協方式をやめて、市の責任において同和住宅空家の公募を

 又、住宅についても相変わらずひどい状態です。同和住宅は約1000戸の空家があることが先の一般決算委員会でも明らかになりました。又、古くなった同和住宅の建替えも一般予算で次から次へと行われています。しかも、入居などは依然として、市同促・地区協に握られたままであります。これでは、差別もなくならなければ乱脈も改まるはずがありません。市同促・地区協方式をやめて、市の責任において同和住宅の空家の公募に踏み込むべき時だと考えますが、市長の見解を求めます。

「解同」の要求に屈し、同和特権の永続化を狙う「人権条例」は撤回を

 同和問題の最後に、「大阪市人権尊重の社会づくり条例案」についてお聞きいたします。
 そもそも、同和事業を終結して、同和地区と一般地域との垣根をとりはらうべき時に、どうしてこんな条例が必要なんでしょうか。確かに、特別法の期限ぎれに危機感をもった部落解放同盟が、今後も利権を確保する手段として、「差別撤廃条例」等の条例制定を地方自治体に執拗に迫ってきたことは、周知の事であります。本条例案は、少し体裁がちがうものの、基本において変わりはありません。つまり、解同の要求に屈したということでしょうか。先ず、お答えいただきたい。
 第2に、この条文中、「人権尊重の社会を実現するため、必要な施策を積極的に推進する」ことを本市の責務としていることであります。これはすなわち、差別がある限り施策をすすめるということにつながるもので、半永久的に人権の名で、同和施策を続けさせようとする解同の要求の根拠となるものであります。
 又、第3に、条例案第3条で「市民の責務」として市の施策に協力するものとされております。これは、まさに、市民の内心の自由に立ち入ることになるのであります。
 第4に、結局、この条例案は、自由な意見交換、自由な社会的交流を阻害し、問題解決をおくらせることになります。
 こんな条例案は撤回すべきです。あわせて答弁を求めます。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁のいかんによっては、再質問することを申しげておきます。ご静聴ありがとうございました。

         渡司考一議員の再質問

 私は今の市長の答弁を聞いておりまして市長の政治姿勢、立場がはっきりとしたとおもいます。すなわちATCや,WTCなど巨大開発失敗の赤字の方は税金で穴埋めする、また、いわば持ち家のある部局を、わざわざ遠いところへ移し、税金で高い家賃を払ってまで支援するが、同じ赤字を抱えている国民健康保険会計に対しては、医療費は横這いというのに、過去に赤字があるといって、市民に負担をおしつける、値上げをする。ここに市長の、市民に冷たい政治姿勢が対照的にあらわれているのではありませんか。
 また、ごはん給食については、委託業者の対応能力が問題だということですが、横浜市などは小学校が347校あっても週2回おこなっているのであり、教育委員会の対応能力が問われているのであります。
 以下、4点について市長に再質問いたします。

第1に巨大開発についてであります。


 重大な問題は巨大開発の失敗は今やあきらかになっているのに、さらにテクノポート開発に財源や、見通しのないままにつっこもうとしている事であります。市長は、巨大開発、国際集客都市づくりが関西経済の起爆剤になるとかねてから、いわれておりますが、今、こうした考えに対しては、財界も含めた、さまざまな方面から見直しの声がでているのであります。日本総合研究所という住友系のシンクタンクは「関西景気動向12月号」というレポートの中で「絶対的衰退の懸念強まる関西経済」という分析をし、製造業付加価値生産力の減退と同時に「建設業や不動産業の大型プロジェクト依存体質」を指摘しており、見直しを示唆しております。また、関経連は先頃、「関西経済再生シナリオ」なるものを発表し、その中で「数々のビッグプロジェクトに力がそそがれてきたが関西全体の活性化にむすびついていない」という総括をおこなっているのであります。
 市長、国際化や情報化の進展にともなって国際交易機能、情報通信機能などの街づくりが必要だといって、莫大な巨費を投じてたてられた巨大ビルと埋め立て会計もが破綻に直面し、今や、ATCは大規模小売り店、WTC、インテリジェントビルは分庁舎になりはててしまっています。咲洲や舞洲には広大な土地が売れずに残っています。こうした事実を直視し、無謀な夢洲開発をみなおすべきであります。借金するのは市長ですが払うのは市民であります。答弁をもとめます。

 2つめに、介護保険の問題であります。

 被保険者の負担が現在の制度では重いという事でいくつかの自治体で独自に保険料あるいは、利用料の減免措置を行う自治体がでてきております。先頃、福井県が市民税非課税世帯に利用料の50%を減免する事を発表しました。これについての厚生省の担当課は「自らの負担で、減免措置を講じてくれるのはありがたい。今後、全国的な広がりを期待したい。」とこう述べています。つまり、厚生省でさえも今の介護保険制度では負担が重いという認識をもっているわけです。ですから「全国的な広がりを期待したい。」としているわけです。国が金を出さずに期待するというのも少々虫のいい話ではありますが、本市は、介護保険制度の導入によって今までの高齢者介護施策の負担が73億円へるのであります。市長、このお金はいったいどこへもっていくんですか。財源もあるわけですから、これを使って、市独自に低所得者への保険料、利用料の減免にふみだすべきであります。市長の再答弁をもとめます。

 第3に国保料値上げについてであります。

 今回、値上げの理由が赤字の改善とされています。医療費総額がのびていないのに、加入者の保険料の負担割合を増やして値上げするというのは、本末転倒であります。この赤字は自民党政府が国の補助率を大きく切り下げたところに最大の原因があるのではあり、これを加入者に押し付けることは許されるものではありません。
 また、介護保険の導入にともなって、これまで国保会計が負担していた医療費の一部が介護保険会計に移るために、国保会計の負担が32億円、減るのであります。今回の料金値上げで予想される増収額は23億円とされてますから、この32億円を国保会計に充当すれば値上げをせずにすむどころか、値下げも可能なのであります。現に新潟市や松山市等ではそうしております。市長、今回の国保料値上げ予算は撤回し、保険料は引き下げるべきです。再度答弁を求めます。

 第4に人権尊重社会づくり条例案についてであります。

 市長は人権尊重のためといわれましたが、それをいうならば、国保料が払えなくて保険証をとりあげたり、特養や保育所の待機者をいつまでも待たせている、こうした事こそ人権尊重のため、解決すべきあるという事を最初に強調しておきます。
 又、市長は、解同に屈したのではないかという質問に対して、明確にされませんでしたが、昨年7月27日、市長以下全助役、関係局長勢揃いという一般ではとても考えられない解同との交渉で、99年度末までの条例制定を約束させられているではありませんか。
 2001年度末の「法」の事実上の最終期限を前に、解同の執拗な要求に屈したことは、はっきりしているのであります。再度、答弁願います。
 又、啓発のためというなら、条例は必要ありません。基本的人権の尊重は、日本国憲法に高らかにうたわれているからであります。にもかかわらず、わざわざ条例をつくるところに、事業の延命をはかる意図があるのではありませんか。その証拠に、こうした条例をつくったがために、泉佐野市では、たいへんひどい事になっているのであります。まず、同市では条例が根拠となって、同和予算は年間予算の7%、30億円を超える膨大なものになっていること、また、市民が同和行政に対する批判を行えば、市は広報を使ってそれは「ねたみ意識」だと反論キャンペーンをはる事や、市職員が「差別落書きパトロール」に動員される、などが行われ、学校でも校長に対する、「確認会」なるものがいまだに行われているという事であります。こうした事にたいして、あまりにもひどすぎる、という市民の声があがり、今、泉佐野市では条例廃止の運動がおこっています。
 なおまた、本市条例案第3条「市民の責務」は、大阪府議会では、案の段階で削除されたものであるという事も申し添えます。
 市長、こうした条例は人権尊重どころか、人権侵害のよりどころとなっているのであり、重ねて撤回を求めるものであります。答弁を求めて再質問といたします。