オリンピックは撤退を

 大阪市議会委   渡司考一議員が主張

(しんぶん赤旗 2000年9月8日)

 9月7日、大阪市議会でオリンピック招致特別委員会が開かれ、日本共産党の渡司考一議員が質疑をおこないました。同議員は大阪市の1999年度の普通会計決算見込み額があきらかになった段階で財政的にもオリンピックを大阪市に招致する事が市財政を圧迫し、市民の暮らしの予算を削らざるを得ない方向に向かうもので、正式立候補都市に選ばれた現段階でも勇気ある撤退をと強調しました。
 大阪市の1999年度決算見込み額からみた経常収支比率は税収の落ち込みで前年97.8%から99.4%となっており(減税補てん債を一般財源に加えた場合、前年96%と98.9%)公債比率も従来自治省が赤信号としていた15%を上回る16.5%となっています。

年度/区分 経常収支比率(%) 公債費負担比率(%) 地方税
(単位)
地方債残高
(百万円)
1991年度 71.4 12.0 767,474   893,649
1992年度 78.3 11.6 759,701 1,003,877
1993年度 87.9 13.0 727,123 1,108,380
1994年度 92.7(89.7) 12.7 704,115 1,286,618
1995年度 90.9(88.3) 12.5 735,307 1,526,173
1996年度 90.2(87.4) 12.4 777,637 1,738,255
1997年度 95.4(92.2) 13.6 775,187 1,962,349
1998年度 97.8(96.0) 14.4 738,656 2,279,721
1999年度 99.4(98.9) 16.5 712,955 2,431,273

     *経常収支比率()は減税補てん債等を一般財源に加えた率

 今後、不況が長期化しで税収増が見込めない中、公債費の額が増大すると経常収支比率がさらに高くなり、こうした中でオリンピック関連事業の様な投資的経費をうみだそうとすると経常的経費から暮らしの予算を削らざるを得なくなります。経常収支比率が100%を突破した大阪府や東京都で老人医療費助成制度が改悪されたり、介護手当やバス・地下鉄の無料パスがなくされようとしている事からしてもあきらかです。
 渡司議員はこうした普通会計の実態に加え、いままで咲洲、舞洲などの埋め立て事業ををおこなってきた港営事業会計が土地が売れずに起債償還も危ぶまれる事態になっており、オリンピックのための夢洲の開発を強行すると一般会計にたよらざるを得なくなるのではないかと指摘。これに対し、港湾局の北村計画課長は「いままでの枠組みをこえて開発をおこなう」と答弁し、夢洲開発に今まで以上に一般会計を動員する事を否定しませんでした。こうしたやり方はひいては暮らしの予算をさらに削る道につながるものです。