大阪市の介護保険料減額 実現の力は、財源は…

      山中智子市会議員に聞く △上△

            (しんぶん赤旗 2000年9月29日)

 10月からの保険料徴収を前にして、大阪市が低所得者の介護保険料金の減額に踏み切ったことは、大きな反響を呼んでいます。その内容や背景、今後の課題について日本共産党の山中智子大阪市会議員に聞きました。

−減額の内容はどんなものですか。

1人世帯

96万円

2人世帯

144万円

3人世帯

192万円

表1

 大阪市の介護保険料は、基準額が月額3,381円ですが、10月から一年間(来年の9月まで)はその半分が、来年の10月からは全額が徴収されることになっていました。今度の減免は第一段階と第二段階の人で年間収入が下表(表1)の額以下で、扶養を受けておらず、活用できる資産を有しないことという条件で、第一段階の人は当初の保険料の75%に、第二段階の人は半額に減額しようとするものです。(表2)

段階

期間

当初保険料

減額後の保険料

減免率

第1

今年10月から来年9

845

634

25

来年10月から

1,690

1,268

第2

今年10月から来年9

1,268

634

50

来年10月から

2,536

1,268

表2

 

 




今回の減額を実現した力、要因はなんでしょうか。
  市当局は、減額に踏み切った理由について、議会の答弁で「介護保険計画策定委員会や市議会での議論、市民の声・要求」を理由にあげています。私は、まさに市民の実態が大阪市を動かしたというふうに受けとめました。日本共産党市会議員団は、この間、回にわたる市長への申し入れを行い、ヘルパーや特養老人ホームなどの介護基盤の整備とともに、とりわけ低所得者への保険料、利用料の減免を求めてきました。
 また、市民のみなさんからも保険料の減免などを求める請願・陳情が寄せられ、日本共産党議員団はその採択を求めて、積極的な論戦を住民運動と結んで展開してきました。それに対して、自民、公明、民主などの市長与党は一度も賛成せず、「持ち帰り検討」と棚上げし、市民の願いに耳を傾けませんでした。こうしたなかでも、今回、減額に踏み切った背景には、介護保険策定委員会で低所得者へのきめ細かな対応が必要だとの指摘があったこととあわせて、保険料納付通知書を送付してから、市内で1万をこす、苦情や問い合わせが殺到し、区の窓口がパニック状態になったことも大きかったと、担当者から聞きました。私はこれを聞いて、市民の切実な実態、それを当局に突きつけるねばり強い運動や日本共産党議員団の奮闘があいまって、不動と思えた大阪市を動かしたのだと、感動をおぼえました。

減額はこれで十分な内容なのでしょうか。また、その財源はどうなるのですか。
 これで十分というわけにはいきません。日本共産党は、せめて住民税非課税の世帯は保険料や利用料は免除すべきだと国に要求しています。住民税非課税の人の年収は一人世帯の場合、年金の場合なら年266万円ですから、今回の収入の基準というのはそのわずか36%で、対象者は市の見込みでは、第一段階、第二段階の人の約一割です。また、「扶養」や「資産」の要件を厳しく判定して、不当に対象者が減らされないようにしなければなりません。財源については、市は「国に求める」と言明していますが、当然のことです。他の被保険者の負担にならないように要求していきたいと考えています。(つづく)