雪印乳業食中毒事故に関する緊急申し入れ
(しんぶん赤旗 2000年7月18日)
治療費や休業補償十分に 食品衛生監視の抜本改善を
日本共産党大阪市会議員団は、7月17日、磯村隆文大阪市長に対して「雪印乳業食中毒事故に関する緊急申し入れ」を行い、議員団からせきね信次幹事長をはじめ、石川かんじ議員団雪印食中毒事件対策委員長、矢達幸、辻ひで子、山中智子市議が参加しました。
申し入れは、同市議団のこの間の調査活動のなかで、食中毒の発症者と同時に、牛乳販売店や酪農家にも深刻な打撃を与えていることを指摘し、被害者の救済と事故の再発防止のために6項目に渡って大阪市の緊急な対策を求めています。
被害者の救済では、発症者に対する治療費、休業保障などを十分雪印が行うことや、関連業者の経営維持のために雪印が責任を果たすように指導するとともに、市としても相談に親身に乗ることを提起。
事故の再発防止では、ハサップ(総合衛生管理製造過程)認定施設の緊急点検や、この間大阪市が減らしてきた食品衛生監視員の人員を増やすとともに、専門性を高め、監視業務を抜本的に改善することなどを求めています。
申し入れには、高橋敏夫秘書課長が対応し、市長に伝えることを約束しました。
申し入れ文
雪印乳業大阪工場による食中毒事故は、発症者が(7月14日現在)14,500人を上回り、大阪市内でも3,490人にのぼるなど、戦後最悪の食中毒事故となっています。
わが党は、7月7日の雪印乳業大阪工場の調査をかわきりに、この間多くの関係者から事情を聴取してきました。
その結果、今回の事故が食中毒発症者はもとより、牛乳販売業者や酪農家などの関連業者の経営に深刻な打撃を与え
ていることも明らかになりました。
いうまでもなく、この事故を起こした雪印乳業の企業責任は重大であり、その社会的責任を果たすことは当然です。同時に、市民の安全、健康、くらしを守るべき本市にも、被害者をケアし、被害の拡大や再発を防止するうえで、
大きな役割の発揮が求められています。
今回の事故は、食品の衛生管理がもっとも高度に行われているはずのHACCP(総合衛生管理製造過程)の認定を受けた施設でおこりました。HACCP認定施設は、食品衛生法七条の適用が除外され、企業の自主管理とされており、それだけに企業の衛生管理に関する厳しい姿勢が求められています。ところが、雪印乳業は、HACCP認定申請の際、製造ラインの一部を隠して申請し、厚生省やその委託をうけた本市も、それを見逃したまま承認したことが明らかになっています。さらに、雪印乳業が、自ら定めたマニュアルを守らず、二〜三週間もバルブの洗浄をしていなかったこと、返品された製品を再利用するための開封作業を屋外の手作業で配送委託業者に行わせていたことなど、驚くべき実態が次々と明らかになりました。
つまり、今回の事故は、今の食品監視業務の体制やシステムの抜本的な改善の必要性を強く示していると言えます。
二度とこのような事故を起こさず、市民の信頼を取り戻すとともに、市民の食生活の安全を確保するために、左記の事項を実施するよう、緊急に申し入れます。
記
一、食中毒発症者に対し、治療費、通院費の支払い、休業補償などケアが十分に行われるよう、雪印乳業を指導すること。
一、雪印乳業にかかわる牛乳販売業者や運送業者などの経営維持のために、支払い猶予、代替商品の斡旋、顧客離れの補償など、雪印乳業がその経営責任を果たすよう指導すること。市としても、業者の実情を正確に把握し、経営上の相談に応じること。
一、HACCP認定施設の全面的な安全点検を実施すること。その際、書類審査に頼らず、全工程について抜き打ち検査も含め実施するとともに、結果を公表すること。
一、国に対し、現行のHACCPの認定手続きや安全確保のための運用方法や検査制度の問題点を国民に公表し、抜本的な改善をはかるよう求めること。
一、事故の未然防止のため、食品監視業務を抜本的に充実させること。食品衛生監視員の専門性を高めるとともに、大幅な増員をはかること。
一、市民各分野での影響を正確に把握するとともに、市民からの「総合相談窓口」を緊急に設置すること。
2000年7月17日
日本共産党大阪市会議員団
団長 姫野 浄
大阪市長 磯村 隆文 殿