大阪市会1999年度決算議会を終えて

日本共産党大阪市会議員団 関根信次幹事長に聞く

(しんぶん赤旗 2000年12月6日)<上>

 大阪市議会は1999年度の一般会計決算議会を開会し審議してきましたが、さる1日の本会議で日本共産党だけの反対で認定しました。この審議の中で明らかになったことなどについて日本共産党市議団の関根信次幹事長に聞きました。

 −今回の決算の特徴をお話ください。 

 巨大ビル救済に市の3局を移転 

 関根 大阪は失業率や企業の倒産など、どの指標を見ても深刻な事態におかれています。こういう中で、260万市民のくらしに直接責任を負う大阪市としては、国の悪政の転換を求めつつ、市民の福祉を保持する地方自治体の役割をしっかりと果たしていくことが求められています。
 ところが今回の決算にあらわれているのは、肝心の市民の願いには冷たく、国追随の巨大開発や不公正乱脈な同和事業には手厚く予算執行するという大阪市の姿です。
 たとえば、「3K赤字」といわれて経営破たんが明らかな巨大ビル(WTC=ワールドトレードセンター、ATC=アジア太平洋トレードセンター、OCAT=湊町開発センター)への支援に、97億3300万円もの貸付をおこないました。これでも足りず、WTCには建設局、水道局、下水道局などが移転します。この3局の移転費用や敷金に32億4400万円もかかります。
 大阪ドームも99年度決算で債務超過に陥り、「4K」となりました。東京も名古屋も福岡もドーム球場は、その都市の設置気運の高まりの中で民間が建設しました。大阪も当然民間がおこなうべき事業でした。ところが、大阪市は民間をリードするとばかりに筆頭株主となって突っ走ったのです。

 1民間病院に11億円余も助成 

 同和行政も本当にひどいものです。同和事業の根拠となる法律は97年度で基本的に失効しているにもかかわらず、99年度も多数の教員や保母加配をおこない、一民間病院にすぎない浪速区・芦原病院に11億3100万円も助成、同和浴場の改修には8億2000万円も支出しています。
 また、「解同」の要求で次々と土地を買ったものの、未利用の土地が7.4ヘクタールも残り、浪速区は空き地だらけという状況です。同和住宅もガラガラです。市民から見れば乱暴きわまる税の使い方だと言わねばなりません。

 −大阪市の市民に冷たい姿勢が改めてうきぼりになりましたね。 

   人件費に満たぬわずかな補助金 


 関根 この間、大阪市に学童保育条例の制定を求める直接請求署名運動が取り組まれ、1カ月間で15万をこえる署名が集められました。
 学童保育が長年にわたり、共働き家庭などの子どもの放課後に適切な遊びと生活の場を保障し、健全な育成をはかるうえで大きな役割を果たしてきました。ところが大阪市は、指導員の人件費にも満たないわずかの補助金でお茶をにごし、空いている小学校の教室さえ使わせないという本当にひどい態度をとっています。
 介護保険については、この5カ月間の保険給付額が大阪市では見込みの69%にとどまっているように、利用料が高くて必要なサービスが受けられないお年寄りが続出しています。当面、非課税者の在宅サービスを一律3%にするなどの措置を国に求めつつ、市独自に利用料の減額にふみだすべきですが、市当局はこういう姿勢を示しませんでした。

 生活保護世帯の一時金切り下げ 

 生活保護世帯の年末一時金をこの冬、8,200円から8,150円に50円切り下げたことも許せません。この減額分の総額はわずか196万円です。
 先にのべたように、大阪市は一方では莫大なむだづかいを重ねています。市民のくらしを支援する大阪市に転換しなければと、改めて決意を新たにしています。

(つづく)