2001年1月15日

大阪市会議長 玉木信夫 殿

     議会の情報公開条例及び調査研究費条例の作成にあたっての申し入れ

                                      日本共産党大阪市会議員団

団長 姫野 浄

 本年4月、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)が施行されます。行政の情報公開は民主主義にとって不可欠の課題であり、その拡大は全国的な流れになっています。
 本市においても、昨年7月、大阪市公文書公開審査会の「公文書公開制度のあり方について(答申)」が出され、情報公開の拡大がはかられようとしています。しかし、議会については、「その独立性、自主性が十分尊重されるべきであり、議会自身の自主的な判断により、情報公開のより一層の推進が図られることを期待する」との表現にとどめられています。
 行政の情報公開とともに、議会情報の公開は時代の要求であり、わが党議員団は毎年行っている市会各派への「議会の民主的運営に関する申し入れ」でも、このことを強調してきました。
 わが党議員団は、今回改定が予定されている「大阪市公文書公開条例」に議会情報を含めるようにし、大阪市全体の情報公開を拡大する一環として位置付けることが大切だと考えますが、議会独自の条例化を進める場合には、「議会の独自性」の名のもとに非公開分野を従来の形で残すのではなく、情報公開に向けて行政を先導する立場に立つべきです。
 また、昨年5月の地方自治法改正にともない、大阪市会で従来交付されていた調査研究費の交付条例が必要となり、予算市会でその条例案が審議されます。
 わが党議員団は、以上2つの条例案の作成と審議にあたって、大阪市会が市民の信託に十分応えられるよう、次のような提案を行うものです。

1、議会の情報公開について
 @ 条例の基本精神として「市民の知る権利」と「議会の説明責任」を明確にする。
・ 「知る権利」は国民主権の立場、つまり憲法に定められた国民の権利です。このことは、本市公文書公開審査会の答申でも強く指摘されていることであり、「議会の独自性」によって「議会を例外扱い」してはならないものです。
・ 「説明の義務」は上記答申で強調され、情報公開法にも国民の信託を受けて活動する政府が主権者に対するアカウンタビリティ(説明責任)の立場から大きく位置付けられています。市民から信託を受けて活動するのは行政だけでなく議会も同様であり、この点からも議会は公開への決意を求められています。
 A 議会の公開
   議会の公開は、「公金詐取事件」を契機に、各派協議の中で前進はしてきまし たが、全国の例や市民の要望からすれば更に改善が必要です。
・ 幹事長会議に速記を入れ、議事録を公開する。
・ 常任委員会、特別委員会の直接傍聴と請願・陳情提出者の口頭陳述の制度化。
・ その他協議会などのテレビモニターによる公開。
 B 議会の予算執行状況の公開
・ 議長・副議長の交際費の公開。
・ 調査研究費の公開。
・ 費用弁償の公開。
・ 旅費に係わる議員個人情報の公開と視察・出張の報告義務化。
・ 議会事務局に係わる費用の公開。

2、調査研究費条例について
  以下の提案は、全国市議会議長会の「政務調査費の交付に関する標準条例等検 討委員会」報告書が示す参考例を基礎にして、重要だと考えられるいくつかの項 目を示したものです。
 @ 条例のパターンは、議長会参考例の「会派用」を基本にする。すなわち、交付対象は会派に限定する。
 A 交付金額は、第三者機関の答申によることは当然であるが、今回の条例化で交付額の引き上げはしない。
 B 使途基準(第5条)について
海外視察は使途基準から除外する。従って以下の文章を挿入する。
・ 第5条文末に「ただし海外視察は使途基準から除外する」を挿入する。
・ 別表第1(政務調査費使途基準)の「研究研修費」「調査旅費」に「海外視察は除く」を加える。
 C 経理責任者(第6条)について
   使途及び会計に責任を負う必要から、経理責任者は議員の中から選ぶ。従って本文の「経理責任者」の次に「(議員の立場にあるもの)」を挿入する。
 D 収支報告書の提出(第7条)について
      市民から見て、透明性・公開性を確保する措置が必要である。参考例では収支報告(別記様式第1号・その2)だけに限定され、実態がわからないものになる可能性が強い。したがって会計帳簿も収支報告書と同様に扱うようにする。
   そのために、「収支報告書の提出」を「収支報告書等の提出」とする。さらに、本文「報告書を作成し」の次に「会計帳簿とともに」を挿入する。
 E 政務調査費の返還(第8条)について
   不正支出の返還を求める条項を加える。そのために、本文に第2項を設けて「2 第5条に反する支出については返還を命じる。」を加える。
 F 収支報告書の保存及び閲覧(第9条)について
   第7条との関連で、「収支報告書」を「収支報告書等」とする。
   本文「規定により提出された収支報告書」の次に「及び会計帳簿」を挿入する。
   収支報告書・会計帳簿・「領収書等証拠書類」の保存期間は全て「5年間」とする。

以上