平成9年度第2回

市政モニター報告書より

「子ども・青少年施策について」

大 阪 市 市 民 局

U調査結果の分析

1調査結果のまとめ
「少子社会」に対する関心について
 子どもの数が減少していることについて、約8割の人が「関心がある」と回答しており、少子社会に対する関心の高さがうかがえる。
 出生率が低下している原因をたずねたところ、“経済的負担の大きざと「仕事と子育ての両立が難しい」、「自分自身の生活を充実させたいと思う人が増えた」といった“ライフスタイルの変化”をあげる人がそれぞれ5割を超えている。特に「仕事と子育ての両立が難しい」は、女性の第1位となっており、男性の割合を
15ポイント以上、上回っている(男性52.0% 女性67.9%)。
 出生率は低下する傾向にあるものの、子育てに対しては、「次の社会を担う世代をつくる」(67.3%)、「人生を豊かにする」(61.9%)といったプラスのイメージをもっている人の方が多い。ただ、性別、年齢によってイメージに違いがあり、年齢層が上がるほど「子どもをもつのは当たり前」とした人が多くなっているのに対し、20歳代の4人に1人が「経済的負担が増大する」、7人に1人が「自分の楽しみが制限される」といったマイナスのイメージをあげていることが目を引く。
 理想の子どもの数は、2人に1人が「3人」と回答しており、「2人」、「3人」、「4人以上」をあわせた95.4%の人が複数の子どもをもつことを理想としている。ただし、年齢層が下がるにつれて、理想の子どもの数は「3人」から「2人」に推移しており、20歳代の半数以上(56.0%)が「2人」を理想としている。

子どもの健康と生活環境について
 子どもの健康に関して問題となっている事項を5つあげ、特に気をつける必要があるものをたずねたところ、40歳代以上の層で「生活スタイルの変化による運動不足や肥満」が、20歳代から40歳代の層で「虐待、いじめ、不登校など心の問題」が特に多く、全体でもそれぞれ6割を上回っている。
 保健所で実施している事業については、「子どもの心とからだの健康相談」(64.1%)、「思春期の子どもに対する相談」(43.2%)といった相談業務の充実を求める人が多くなっている。また、次に回答の多い「慢性の病気をもつ子どもに対する支援」(41.8%)をあげたのは、主婦に多く、52.7%の人が推進すべきとしている。
 子どもが成長する過程で身につけておくべきこと、体験しておく必要があることをたずねたところ、8割を超える人が「基本的な生活態度(礼儀、作法、言葉づかいなど)」、7割弱の人が「思いやりやいたわりの心」を身につけることを重視していることがわかった。また、子どもの年齢を問わず、「家族とのふれあいの時間をもつこと」が重要だとする人が多く、幼児で「からだを動かして遊ぶこと」、小学生で「家事を手伝うなど家族の手助けをすること」、中・高校生でΓボランティア活動に参加すること」を重視している人が特に多くなっている。
 子どもの生活環境をみた場合、若い世代、市内居住者を中心に、8割の人が「身近に公園など子どもの遊び場がある」ことが重要だと回答している。

子育てに対する支援について
 子育て家庭への支援について、4つの項目をあげ、効果的と思うものをたずねたところ、「子育てをしながら働き続けられる労働環境の整備」(86.0%)
   「子育てにかかる経済的負担の軽減」(
84.4%)
   「保育サービスの充実」(
74.7%)
   「地域社会での子育て支援」(
61.9%)
の順となった。女性には、「保育サービスの充実」をあげた人が
80.3%と多く、男性を10ポイント以上、上回っている。
上記の各項目について、具体的な支援策は次のとおり。

【労働環境の整備】 
市外居住者を中心に「フレックスータイムや在宅勤務など多様な勤務形態の導入」をあげた人が約5割で最も多くなっている。また、男性には「労働時間の短縮(男女とも)」をあげる人も多く、女性の割合を大きく上回っている(男性
33.3% 女性21.2%)。

【子育てにかかる経済的負担の軽減】
 第1位の「子育て家庭への税制上の優遇措置」が効果的だとする人は、男性に多く(男性
64.3% 女性50.8%)、第2位の「保育や教育費用の負担軽減」をあげた人は女性に多くなっている(男性49.8% 女性59.9%)。

【保育サービスの充実】
 半数以上の人が「希望する人はいつでも保育所に入れるようにする」ことをあげている。また、市外居住者の
45.6%が「保育時間の延長」をあげており、市内居住者を10ポイント上回っている。

【地域社会での子育て支援】
 回答にはばらつきがあったが、「親(子)同士の交流や子育てサークル活動」が効果的だとする人が
42.0%で最も多くなっている。
 子育てに関する相談や情報提供を充実するため、子育てに役立つ情報をたずねたところ、女性、特に主婦を中心に「子どもの心とからだの発育、発達に関するもの」をあげた人が半数を超えている。また、若い世代では「保育所、幼稚園などの入所、入園に関するもの」も多くなっている。
 子育てに関する情報源は、「知人、友人」が5割、「自分や配偶者の親」が4割と続いており、身近な人間関係の中から情報を得ているケースの多いことがうかがえる。子育て世代の
30歳代では「市販の育児書、雑誌など」が「知人、友人」に次いで多く、40歳代では「保育所、幼稚園、学校など」が第1位となっている。
 子育てに関する相談をする場合、約半数の人が「日時を問わずいつでも相談ができる」よう配慮があればよいと考えている。性別の傾向をみると、男性には「子どもとともに相談ができる」を回答した人が多く(男性
36.7% 女性26.79%)、女性には「保育・託児施設を備えた場所で相談ができる」をあげた人が多くなっている(男性20.7% 女性31.4%)。また、若い世代ほど「あらゆる相談ができること」を求めており、年齢層が上がるほど「子どもとともに相談ができること」の割合が高くなっている。

2調査結果の詳細
1
)「少子社会」に対する関心について (こちらをクイックしてください

〔全体的傾向〕
 子どもの数が減少していることについて、約8割の人が「関心がある」としており、少子社会に対する関心の高さがうかがえる。
〔属性別傾向〕
 年齢別でみると、「関心がある」は、20歳代で69.4%であるのに対し、60歳以上では83.6%となっており、年齢層が上がるほど割合が高くなっている。また、若い世代では、「どちらともいえない」も比較的多い(20歳代25.4% 30歳代20.7%)。

出生率低下の原因 (こちらをクイックしてください

〔全体的傾向〕
 出生率低下の原因としては、「子育てにかかる経済的負担が大きいから」、「働く女性が増え、仕事と子育ての両立が難しいから」、「子育てよりも自分自身の生活を充実させたいと思う人が増えたから」をあげた人が多く、いずれも5割を上回っている。

〔属性別傾向〕
 性別でみると、女性には「働く女性が増え、仕事と子育ての両立が難しいから」をあげた人が67.9%と最も多く、男性の52.0%を大きく上回っている。

3)子育てに対する支援について(こちらをクイックしてください

〔全体的傾向〕
 いずれの支援策についても効果的だとする人の割合が高くなっている。なんでも、「子育てをしながら働き続けられる労働環境の整備」、「子育てにかかる経済的負担の軽減」は8割を超える人が効果的だと回答している。

〔属性別傾向〕
 性別で比較すると、女性の80.3%が「保育サービスの充実」を効果的としており、男性の68.7%を大きく上回っている。
 年齢別にみると、年齢層が上がるほど「地域社会での子育て支援」を効果的とした人の割合が高くなっている。また、60歳以上の人は、すべての支援策を強く支持する傾向がある。