USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)への公金投入 何が問題か
下田・大阪市議に聞く<上>
(しんぶん赤旗 2001年3月11日)
アメリカ以外では初めてという、巨大なテーマパークのユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が3月31日、此花花区にオープンします。それに大阪市も積極的に関与してきました。この問題について日本共産党の下田敏人大阪市議に聞きました。
−USJの開園を心待ちにしている人のなかでも、なぜ地方自治体が市民の税金を使って応援する必要があるのかと、疑問の声も寄せられていますが。
100億円を出資
下田 そのとおりです。USJは、ご承知のとおり、「ジュラシック・パーク」「ジョーズ」など、ハリウッド映画をテーマとするアトラクションを備えた体験型テーマパークで、レジャー施設です。そこに大阪市は、400億円の資本金のうち100億円を出資して筆頭株主となり、100億円の融資も行ってきました。
また、USJの玄関口となるJR桜島線の新駅前の再開発事業など周辺整備にも178億円もの資金を投入してきました。
さらに今度は、USJの西側の土地、3f余りを大阪市が買い取って当面USJの駐車場として提供しようとしているのです。際限のない公金投入です。このことは、大阪市自身が「従来の地方自治体の概念を超えてまでその開業を推し進めてきた」(大阪市ホームページより)と語っているように、地方自治体の本分を全く忘れたことで、絶対に許されないことです。
−大阪市は、「忙しい都会人にとっての夢の空間づくりは、市民生活を豊かにするだけではなく、国際集客都市づくりを目指す大阪にとって至上命題」「年間約8,600億円の経済波及効果と、77,200人の雇用創出が見込める」などと、その開業を推し進めてきた理由を説明していますが。
疑問の声次々
下田 大阪経済と市民への「波及効果」については、「関西産業活性化センターの大島敏木調査部長は、USJ本体の直接的な経済効果を認めながらも『周辺地区整備の具体像が見えないため、産業面に与える効果は不透明だ』と、課題点を指摘する」「USJはUSI(注)が持つ独特のノウハウが必要なため、アトラクションはすべてアメリカで発注される。『植栽計画もUSI側の承諾を受けないと事業化できない』(USJ)ほど徹底しており、敷地内に日本の技術や産業を生かす場はほとんどない」(「読売」99年5月16日付)、「(映像産業の育成は)火のない場所に煙を起こすようなもの(大阪商工会議所関係者)」(「毎日」3月5日付)と各方面から疑問の声が噴出しています。
これまでも大阪市は、WTC(ワールドトレードセンター)やATC(アジア太平洋トレードセンター)、フェスティバルゲートやドーム球場と様々な集客施設をつくってきました。数千億円もの事業費が投じられたにもかかわらず、さしたる経済効果も得られない上に、事業そのものも失敗して、その赤字の穴埋めに、また、膨大な公的資金が投入されています。
いま本当に、大阪経済を活性化しようとするなら、これまでの巨大開発や集客施設づくり優先の市政運営を改めて、何よりも、市営住宅や特養老人ホームの建設など生活密着型公共投資で中小企業の仕事を増やすことです。
30人学級や福祉分野の事業を拡充して雇用を拡大することをはじめ、介護保険の充実、少子化対策などの拡充で市民の暮らしを直接あたためることを急いでやらなければなりません。
ところが逆に、大阪市は、国保料金や下水道料金を値上げし、介護充実など市民の願いに背を向けているのです。こんなやり方では、大阪に活気が取り戻せるわけがありません。
(つづく)
(注)ユニバーサル・スタジオ社で親会社のこと。