USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)への公金投入 何が問題か
下田・大阪市議に聞く<下>
(しんぶん赤旗 2001年3月13日)
テーマパーク全国で不振
市は、いまからでも手を引け
−同じ第三セクターのレジャー施設である宮崎県のシーガイアの経営破綻が大きな衝撃を与えていますね。
大きなリスク
下田 そうです。巨大リゾート施設シーガイアを運営する第三セクター、フェニックスリゾートが19日、2,600億円の負債を抱え、事実上倒産しました。自治体が出資する第三セクターとしては史上最大の負債額で、全国の注目を集めています。
帝国データバンクの調査によると、主なテーマパーク30社のうち、16社が債務超過で、77%が経営不振にあえいでいるといわれています。
USJは、年間800万人の入場で、売上高を開業初年度800億円、4年目で単年度黒字、6年目で累積損失解消の目標を掲げていますが、そのとおりうまくいく保証はありません。
そればかりか、とてつもなく大きなリスクを背負った事業だと言わなくてはなりません。それは、「いかに新しい魅力を加えていくかが、テーマパーク経営の焦点。持続的な成長のためには追加投資を継続する必要がある」と言われているように、リピーターを確保するために2年ごとに、新しいアトラクションを追加導入する計画で、そのつど膨大な追加投資が必要になるからです。
この事業は、規模が大きいだけに、もし失敗すれば、その影響はこれまでの集客施設とは比べものにならないでしょうし、筆頭株主である以上、またぞろ公的資金投入ということになりかねません。
民間の所有地
下田 もう既に、基盤整備を受け持つ区画整理事業に暗雲がたちかけています。USJは、借地の上に、アトラクション施設を建設しています。テーマパーク内54ヘクタールの底地は、大半、住友金属、日立造船、大阪ガスなど民間企業の所有地です。(一部は大阪市)それを、大阪市施行の区画整理事業で、建物などを撤去し、整地した上、道路や下水道の整備を行ってきたわけです。
そして、この事業費969億円のうち、750億円は、減歩によって生み出した22ヘクタールの土地を売却して充てることになっていますが、もうオープンだというのに、わずか0.2ヘクタールしか売れていません。この22ヘクタールのうち、15haは、テーマパーク内の駐車場用地として、USJに賃貸しする手はずとなっており、このままでは、大阪市が買い取らざるをえなくなります。
ですから、私ども日本共産党市会議員団は、今からでも、大阪市がこのように人も金もつぎこむことはやめて、民間企業にまかせるべきだと主張しているのです。
いま、長野県の田中知事の「脱ダム宣言」など、大型公共事業の見直しは全国の流れです。これに真っ向から逆らう大阪市のやり方では、磯村市長が唱える「21世紀のモデル都市」には決してなれません。
このゆがんだ市政を「住民の安全、健康及び福祉を保持する」ことを最優先する21世紀型の当たり前の市政に転換するために、日本共産党市会議員団はみなさんとごいっしょに奮闘する決意です。
(おわり)