大阪オリンピック「立候補ファイル」質疑
「市財政悪化のなか断念すべき」
大阪市議団が主張
(大阪民主新報 2001年2月18日)
大阪市が国際オリンピック委員会に提出した2008年オリンピック「立候補ファイル」をめぐって、1月31日開かれた大阪市議会オリンピック招致特別委員会で質疑がおこなわれ、日本共産党の渡司考一、姫野浄、瀬戸一正の各議員が質問にたちました。3議員はさまざまな問題点を指摘、「市財政悪化の中でオリンピックのために1兆円近いお金をつぎこむことは、将来、市民の暮らし関連の予算を削る道につながりかねず、夢洲開発は中止し、オリンピック招致は断念するべきだ」と主張しました。
一方、自民、民主・民友、公明など各党は問題点を指摘するどころか、「招致を盛りあげるためにどんなイべントが企画されているのか」「東アジア競技大会は招致のチャンス。小中学生を全員参加させるべき」 「オリンピック招致のバッヂを学校の先生はなぜつけないのか」など低次元の質問に終始しました。
日本共産党議員の質問 (要旨)は次の通りです。
渡司議員
「立候補ファイル」で「安定した日本経済と健全な大阪市の財政」とのべているが、今、市民が抱いている日本経済についての認識や市財政の実態と大きくかけ離れている。IOCに対して失礼であり、フェアであるべき原則をふみはずすものだ。関連費用の中に夢洲(選手村予定地)開発の費用数千億円がまったく計上されていない。費用を小さくみせかけようとしているのではないか。選手村の整備(880億円)について、市の負担割合はいくらになるのか。民間や公団が建設する保障はあるのか。
姫野議員
野球、バスケット、体操などの会場に予定されている大阪ドームについて、99年度末で累積赤字が117億円で、20億円の債務超過においちいり、大阪市は来年度から193億円を補助すると報道されているが本当か。
「ファイル」で新設が予定されている各競技施設(※)は巨大で豪華なものになっており、大阪ドームやWTC、ATC、OCATなどの巨大ビルが破たんしているように、その二の舞いになりかねない。5月に大阪市内で開かれる束アジア競技大会について、オリンピック招致という特定の目的のために、学校の児童・生徒を見学目標を割り当てて、上から動員するのは間違い。学校の自主性にゆだねるのが基本だ。
※
新設が予定されている競技施設 | 費用 | 収容人員 |
オリンピックスタジアム | 580億円 | 80,000人 |
オリンピックプール | 200億円 | 15,700人 |
総合武道館 | 200億円 | 10,000人 |
東成区総合文化センター | 224億円 | 8,000人 |
瀬戸議員
「立候補ファイル」で「周辺海域において継続的な環境監視を行っており、これまで環境面で全く問題はありませんでした」と書かれているが、大阪湾のダイオキシン濃度は全国でもっとも高くなっている。こうした事実をきちんと書くべきだ。会場予定地の舞洲、夢洲は、大阪市内のすべでのゴミ焼却工場の焼却灰が大量に埋め立てられ、いわばダイオキシンの巣ともなっている。IOCに正確な事実を伝え、IOCの判断をあおぐべきだ。