耐えがたく高いものになっている 国保料は10%値下げを

    石川かんじ議員が国保補正予算の修正提案

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第123号「平成12年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算」に対する修正を求める動議についてご説明致します。
 動議の内容は、国民健康保険料を約10%値下げし、その財源は、国庫補助金の増額でまかなおうというものです。
 以下、提案の理由を申し上げます。

介護保険料とで1人年額1万7千円の値上は「払いたくても払えない」

 提案理由の第一は、保険料が、耐えがたく高いものになっていますので、可能な限り引き下げるべきだと考えるからであります。長期不況によって市民生活がいっそう深刻にもかかわらず、大阪市は2000年度から、国保料を3%、1人年額2402円引き上げ、介護保険の実施にともなう介護保険料金分とあわせれば、21.4%、1人年額1万7900円もの値上げを行いました。そのために、市民の間には、「生命と健康の問題だから優先的に払っているが、もう払いたくても払えない」「夫の遺族年金だけで暮らしているので、こんなに高い保険料は払えない」など、驚きと怒りの声がかってなく大きく広がっているのであります。
 大阪市の国保料金は、3人家族で計算すれば、年所得100万円で9万1489円、所得に占める比率、つまり負担率は9.15%、200万円では15万8432円、7.92%、300万円では30万1172円、10.04%、所得419万円で48万円、11.5%となるのであります。これらの数字は、それぞれの階層にとって負担の限界を超えていることを示しています。保険料の収納率が、95年度92.62%であったものが毎年下がりつづけ、98年度には90.66%となっているのは当然なのであります。

他都市では負担軽減のため、真剣な努力が払われている

そのうえ、今年度からは、先に触れましたように、介護保険料が国保料に上乗せして徴収されるという新たな問題がおきていますので、他の都市では負担軽減のため、真剣な努力が払われているのであります。例えば、新潟市では、介護保険の実施により医療費の国保会計から介護保険会計に移行する分を全額国保料の引き下げにあてる、松山市では、市独自の低所得者軽減策を盛り込んだ国保料金体系の見直しをおこない、医療分では95%の世帯を現行より安くし、85%は介護保険料を上乗せしても現行より安くすることとしたなど、様々な工夫が実施されているのであります。

大阪市でも市民負担を軽くすることは可能

 大阪市でも、介護保険の導入によって、医療費が国保会計から介護保険会計に34億円移行する訳ですから、市民負担を軽くすることは可能なのであり、これが地方自治体としての大阪市に求められていることであります。再度申し上げますが、国保料はむしろ値下げをし、払える保険料にすることが強く求められているのであります。
 また、これまで繰り返してきた、赤字が出れば料金を値上げし、そのために滞納が増え、それが赤字を拡大し料金値上げを招くという悪循環を、今こそ断ち切ることが重要であります。

財源として国庫支出金の増額を求めるのは当然

 提案理由の第二は、国保会計の健全な運営に、国がその責任を果たすのは当然であるからであります。従って、本提案はその財源を、国庫支出金の増額に求めている訳であります。
 退職者医療の導入で、国の支出金が療養給付費の45%から38.5%に減額される前の1982年度と1997年度を比べると、歳出面では保険給付費と老人保健拠出金を合わせて73%も増えているのに、国庫支出金はわずか14.9%しか増えておりません。一方、歳入に占める国庫補助の割合は、58.3%から39.7%へ激減しているのであります。国保会計赤字の最大の原因は、国庫補助の削減であることは明らかであり、財源として国庫支出金の増額を求めるのは当然であります。
 また、社会保障財源に占める国の負担割合が、1980年の29.2%から97年には19.0%に減らされるなど、この20年間、社会保障は連続的に切り下げられてきており、こうした流れを変える改革が、今求められていると考えるものであります。

他の大都市も、赤字が最大級の大阪市の対応に特別な関心 

 本年度は、介護保険制度が国保会計にからまって導入された年でもあり、他の大都市も、国保事業としては加入率、財政規模、赤字が最大級の大阪市がどのように対応するのか、特別な関心を払っています。
 それは、この介護保険制度が、今の憲法のもとでの保険制度としては5番目という大きな事業であるのに、高齢者介護の国庫負担は2500億円も減らし、40歳以上の国民への新たな負担によってスタートさせておきながら、一方では大銀行に70兆円ものお金を準備し、すでに21兆円をつぎ込んでいるという、大銀行への手厚い援助の一方で、国民にきびしい負担を押しつける、国保の事業には必要な補助金を出さず、保険料の徴収率が下がると罰金を取る、調整交付金を削減する、という、極めて異常な事態が進行している、そういう現実があるからであります。

市は強制的な保険料徴収・受診抑制に血道を上げるのではなく、国へ社会保障予算の増額要求こそ求められる 

 大阪市の国保事業を安定させるためには、強制的な保険料徴収の事務に血道を上げたり、受診抑制のために金を使ったりするのでなく、国が国保事業をはじめとする社会保障に、しっかり予算をふりむけるように、市民とともに国に要求していくことが求められていると考え、本提案を致した次第であります。
 以上、議員各位のご賛同をお願い致しまして、提案理由の説明と致します。