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橋つくったが運河はできず 大阪市

ずさん計画、途中で中止 4億3000万円ムダ遣い

(しんぶん赤旗 2001年4月25日)

 WTC(ワールド・トレード・センター)など大赤字の公共事業を推進してきた大阪市が、水の都大阪にふさわしい新しいシンボルとして運河の建設をすすめています。ところが、工事費を使い果たし、運河の建設が縮小・凍結になったことから4億3000万円の税金をかけてつくった2つの橋がまったくムダになってしまいました。(大阪府 生島貞次記者)

 住之江区の運河事業 

 縮小・凍結になったのは住之江区南港北1丁目の咲洲コスモスクエア運河事業。1996年から総事業費30億円をかけて、WTCビルの北側の埋め立て地を再び掘り返して運河をつくるというものです。
 ところが、埋め立て地を掘り返したところ「地中障害物、昔の護岸工事の石や地下水の圧力が強く、工事費を使い果たし、途中で計画を一部縮小、凍結せざるをえなくなった」(港湾局)といいます。
 運河の両入り口を封鎖し、中間地点の旋回用の船だまりを中止しました。港湾局は、運河の基本的機能は保持されるとしていますが、この計画変更によりすでに完成していた運河を渡る橋りょうと建設中の橋りょうの2つが不必要になってしまいました。
 運河の東端にあたる地区にある橋は、98年3月に着工し、99年3月に完成。99年秋に下を通る予定の運河の建設が中止になったため、工事費の2億9000万円がまったくのムダになってしまいました。

 上を舗装し道路に 

 また、建設中の橋は、橋りょう建設の基礎工事と土留め工事を97年12月に着工し、98年8月に完了していましたが、98年秋の船だまりの中止で、上を舗装し道路にしてしまいました。この工事の中止で、1億4000万円がムダになりました。
 日本共産党の稲森豊市議は、3月28日の市議会本会議でこの問題をとりあげ「一瞬にして4億3000万円の公金が文字通りドブに捨てられるがごとくムダとなった」と追及しました。
 また昨年、自民党の天野一前大阪市議会議長がこの運河建設にかかわった業者の利権のために入札価格を港湾局職員から聞き出して入札妨害と収賄の罪で逮捕され、辞任に追い込まれました。天野前議長は、市営住宅の電気設備工事の入札情報を業者に漏らした競売入札妨害とともにこの運河事業の入札妨害にも加わっていました。稲森市議は「大阪市の進める巨大開発がゼネコンの利権あさりの対象になっている」と批判しています。

 巨大開発を進める 

 日本共産党大阪市議団は、ゼネコンだけが潤う巨大開発に一貫して反対し、福祉・生活関連型の公共事業優先に転換することを主張しています。
 しかし磯村隆文大阪市長は、「これらの開発事業をやっていなければ大阪市はどうなっていたか」と開き直り、こんなムダを繰り返しながら巨大開発を進める姿勢を明らかにしています。