高瀬康正氏 (日本共産党国会議員団 団地・マンョン対策チーム委員) 

「マンション問題の現状と課題」

日本共産党のマンションの取組みと経過● 
  ご紹介いただきました高瀬でございます。ご紹介いただきました高瀬でございます。私は、20数年国会にいまして現在は国土交通委員会になっておりますけど、以前の衆院建設委員会の委員の秘書をやっておりまして、ちょうど20年ぐらい前になると思うんですけれども、今、大阪市大副学長をやっておられる梶浦先生に来ていただいて、マンション問題学習会を開きました。そのとき初めてマンションの問題というのを総合的に知ったわけですね。梶浦先生がそのときどういうことをおっしゃたかというと、この先生はアメリカの住宅問題にもかかわっておられ、アメリカで今から20年前、30年前ぐらい前に、今の日本で起こっているこのマンション問題が起こっていたんですね。そこでアメリカではマンションのことをコンドミニアムというんですけども、マンションの管理をめぐる問題がすでに起こっておりまして、梶浦先生は「いずれこれは日本でも問題になるだろう」ということで私どもに「マンション問題を重視して取り組んだほうが政党としてよろしいですよ」ということをお教えいただいたんですね。それからですね共産党のマンションの取り組みというのが始まったという経過があることをまずご報告しておきたいと思います。最近、自民党や公明党の皆さんがあたかも自分たちがマンションの管理適正化法を作ってマンション問題を取り組んでいるとおっしゃておられますけれど、共産党はすでに20数年前からマンション問題に取り組んできているということでございます。 

1、分譲マンションの現状
●都市型持ち家住宅の主流に●
  そこでレジメをお配りしていると思いますけれども、それにしたがってお話をしていきたいと思いますが、先ほどもお話がありましたけれども、だいたい今、日本の分譲マンションは約四百万戸。東京などでみますと50%以上が分譲マンションいう所もございます。集合住宅という概念もあるんですけども、分譲マンションだとか、賃貸マンションとかようするに一軒家でない住宅ですね、これが東京などでは70%から80%。戸建ての住宅がだんだん少なくなってきているんですね。これが新しい都市の住まい方というか住宅の大きな特徴になっているというのが最近の特徴であります。そこでいろいろな問題が起こるわけです。       

●不況、リストラ、ローン滞納者の激増●
 そこでいろいろな問題が起こるわけです。今不況でですね、マンションで退去される方があるんです。大きく増えているんですね。ローン破産といいますか、ローンが払えきれずに破産しちゃってそれでマンションを出て行かざるをえない方が非常に増えている。それは背景に不況が続いているということと、会社でリストラされちゃうというようなこともあると思います。 

●資産デフレによって定住化をめざす方向も●
 もうひとつの特徴は今住んでいるマンションからどこかへ新しく移りたいと思うんだけども、そのマンションが売れない。あるいは売れたとしても買った時の価格に比べ半分ぐらいにしか売れないというふうな事態になっていまして、仮に新しい住居を求めたいと思っても資産価値が下がっちゃって売れない、移れないというような問題もおきてます。もともと日本の住まい方というのは、若いときには文化やアパートに住んでいて、子どもさんができるとちょっと広いところに移ろうかということで、マンションを買ってだんだん今度は一戸建てを買おうかというそういう流れになっていますけれども、もう一戸建てにいかずにマンションで辛抱するという傾向がですね、非常に出てきているんではないか。それだけに管理問題に皆さんがだんだん関心をお持ちになってくるということがいえると思います。 

2.多様な社会問題の発生
●販売会社、管理会社とのトラブル●
そこで2番目の問題なんですけどもこれはもう皆さん、日々の生活の中で感じておられると思いますけれども、いろんなトラブルが発生してきているわけですね。そのトラブルの中でも一番多いのは販売会社、分譲業者例えば長谷工とか○○工務店だとか大京だとかいう風な分譲業者とその分譲業者の系列にある管理会社とをめぐるトラブルが非常に増えているということなんですね。これはなぜかと申しますと、もともと管理組合の管理規約というのがありますけども、管理規約というのはだいたい皆さんマンションにお住まいの方わかると思いますが、入ったときにはすでに規約ができているんですね。誰がつくるのかというと分譲する業者がつくっちゃんですね。だから業者に有利なように管理組合・管理規約がつくられてしまっている。入った時にはその管理規約で実際に管理がおこなわれてしまう。それから管理規約だけじゃなくて管理会社と委託契約書というのを作りますけども、この委託契約書というのも入る前から出来ちゃってるというようなことになっている。だから私、最近チョット相談受けてるのは、マンションがなかなか売れん。どっちかというと売れずに残ってるわけですね。それの管理費だとか修繕積立金だとかを業者が払わずに住居者に押しつけてる国土交通省が適切な指導をすべきではないかというようなことを最近相談をうけているわけですけれど、ず〜と調べていったら結局その委託契約書の中にそういう項目が入っていて、業者が払わなくていいようになっているわけですね。そういうことは居住者はまったく知らない。知らないけれども判子だけは押しているわけです、という風なことになっている。これをめぐるトラブルが非常に多いということなんですね。これをどういう風に解決していくのかこれが一つあります。 

●欠陥建築…住宅品質確保法の成立●
 それから2番目はあいかわらず欠陥建築・欠陥マンション。これが非常に多いということなんですが、昨年の国会で住宅品質確保法が成立しました。この住宅品質確保法というのは、@住宅の構造耐力、防・耐火、耐久、省エネルギー、遮音などの性能について基準をつくり、性能を表示する。A民法で瑕疵(欠陥)の担保期間は木造で5年間、鉄筋コンクリート造りなど堅牢な住宅は10年となっていますが、実際には特約で短い期間になっています。そこで瑕疵担保責任の特例として基礎ぐい、壁、柱、土台など主要な部分については、引き渡しから10年間は施工者に瑕疵保証責任を義務づける。B住宅に関する紛争解決を図るため、単位弁護士会に調停、仲裁をおこなう紛争処理機関を置くなどを内容としています。ただ残念ながら新築しか適用されない。この法律が施行されたあと新築されたマンションしか適用されない。だから今お住まいになっている中古のマンションにはこの法律は一切関係がないという事になっているんですね。もうひとつの問題点は欠陥の基準をつくったのですけど例えば床の傾きという問題がありますね。少し傾いてきたと。それの基準は1mで0.3cm、だから10mで3cm位だったらいいでしょうというものなんですよ。だから基準(ガイドライン)が非常に甘いためにですね。本当は欠陥なのに欠陥にならないという問題点もありますが、しかしそれにしてもこういう法律が出来て10年間の保証措置がとられるようになった。
 それから欠陥問題が出たときに必ず業者は欠陥じゃないというんですよね。お住まいになっている方は素人ですから業者にそういわれたら「そうですか」ということになっちゃうんですね。色んな情報は全部業者がにぎってしまってて、居住者が欠陥だと証明しないと欠陥が認められないわけだから、業者が情報を提供しない限りはですね、欠陥だという事がなかなかハッキリしない、証明できないというような問題点が浮かびます。だから欠陥問題で裁判がいっぱいおこっておりますけども、実際にはこれが欠陥だということを居住している皆さんが証明することが非常に難しいために、なかなか裁判がうまくいかないという事例が非常に多いという風に弁護士さんから聞いております。 

●大規模修繕…修繕積立金の不足●
 それからもう一つはですね。これは一番目の問題ともかかってくるんですけれども、一定の年代になると大規模修繕をやらざるをえない。外壁やベランダを塗装するなどですね。そういう大規模修繕をやるときにですね、積立金が不足するということが非常に多いんですね。本当に追加徴収するという経験された方もいらっしゃると思うんですけども、今の修繕積立金の額ではぜんぜん足らないから一世帯あたり50万円づつ出してくださいとかね。そういうふうになっていくわけなんですけども、この修繕積立金の不足というのは売らんがため、修繕積立金をもともと業者が低く設定するわけですね。そのためにですね結局積立金が必要な時に不足してくるという問題点があります。これは管理組合がある場合は管理組合がよく話し合って適切な修繕積立金に設定し直す。これモデルがちゃんとありますからそういうものを参考にして手続きする必要があるんじゃないかなと思います。 

●騒音やペットなど住民同士の問題●
 それから日常生活を営んでいく上での騒音やペット、近隣問題ですね。近隣の騒音というか上下階の騒音問題ですよね。これは多いですね。私も経験したですけれどもものすごく気になる方や別に問題にならないですよという人もおられる。そうしたことで色々ありますけども、こういういわば近隣問題がある。 

●管理費や積立金などの滞納、管理組合の運営●
 もう一つは、さっきもいいましたけど管理費や修繕積立金の滞納ですね。もう一つはですね、すでにマンションを売られてそこが賃貸化している場合もあるんですね。賃貸化するとどうしても、どうせここに永住するつもりはないからということで管理に関心がないから、管理組合の運営が非常に難しくなるいうような問題がおきる。 

●ガス管や水道管などライフライン問題●
 それからこれは意外と深刻な問題なんですけどもガス管や水道管というライフライン問題というのがありましてね。これはどういう事かといいますと、マンションの中の道路下に、大きなマンションですと本支管というガス管がずーと走っているのですけど、これが老朽化するとガス管を取替えしなくちゃいけないですね。爆発したりするから危ない。その古いガス管を取替えするときに、今、ガス会社は全部住民で出してくれといってくるんですね。大きなマンションとなるとね1億円を超えるというお金が必要になってきます。これもまた色々問題になってきているんですが、ガス供給規定というのがありまして、団地内道路下を走っているガス管というのはガス会社が所有し、管理しなければならない筈ですが、それが、居住者負担になる。普通の一戸建に住んでいる人の前の道路にもガス管が走っているとするとそれの修繕は絶対その居住者は負担しませんよね。全部ガス会社の負担のはずなんです。ところがですね大きな団地になると団地内の道路に走っているガス管の取り替えをですね居住者に負担を強要してくるという事が今起こっております。この間、私が相談にのったのは大きな団地ですけれども一億数千万円と言ってきている。大きな団地内の道路の下を走っている分もね居住者が払えと。これ京葉ガスとういう所ですけども。いろいろ交渉して大きな道路下を走っているものは止めますということで。結果は数千万円ということになったらしいですけども、詳しいことは聞いておりませんけど実際、交渉しないと全部居住者に押しつけてくるという問題が起こっています。 

3.行政の対応
●国…標準管理規約の制定などあくまで間接的行政指導●
 そこでこういう問題を解決してゆかなくてはならないという機運がだんだん盛り上がってきまして、そして昨年の国会でいわゆるマンション管理適正化法という法律が制定されたんですね。この法律の中身はあとで触れますが、いままで行政つまり国や自治体ですね。これは分譲マンションの問題をどう取り組んで来たかというと、極端にいうとほとんど何もやらなかったと言っていいと思います。ただ国の方では例えば、標準管理規約といいまして管理規約は色々と問題があるので、管理規約のモデルをつくってそれを普及することなどをやってきました。あくまで間接的な行政指導ということです。 

●自治体−ほとんど関与しない。最近一部自治体で相談窓口●
 それから自治体の方はこれもほとんど関与しなかったんですね。ただ一部の自治体で相談窓口を設け出しました。大阪ではわかりませんが東京都は相談窓口を設けています。板橋区でいうと相談係りがあるんですけれども実際、担当者が一人しかいなくて、その人も住宅課だったかな、別の仕事をもってて、それに専念しているではわけではない。どういうことになるかというと、相談の電話がかかってくるとどこそこの建築屋さんに相談されたらどうですかと、その程度しかない。受付係りのようなことになっているんですね。これじゃだめなんですけれど。それにしても一部の自治体では相談窓口を設置をしてそういうマンションの相談を受けるとそういうようなことをやっています。 

4.マンション管理適正化法の制定と問題点
●マンション管理適正化指針の制定…国土交通省のHPでパブリックコメント…内容を実行性あるものに●
 こんどのマンション管理適正化法はどういう内容になっているかといいますと、一つは国や自治体はマンションは個人の所有物、財産だから自分で保全しなさいという考えかたなのです。マンション管理適正化指針というものを作ることになっております。この適正化指針というのは今、国土交通省のホームーページを開いていただきますと、パブリックコメントをやっておりまして指針の案がでております。それを見ていただければわかるんですけれども、私も読みましたけれども、内容としては非常に抽象的といいますか、そういうものですけど、それにしても適正化指針というものができて、それはそれなりに意義があるかなと思っております。しかし、問題はその内容にある訳で、あくまで管理組合、居住者主体の指針にすることが重要です。

●マンション管理士制度の新設−管理組合の役員に管理会社社員が●
 それから新たにマンション管理士制度を新設をしました。管理士なんですけど国家試験を受けて合格するとマンション管理士になるわけなんですが、ただですねこれも問題なのはおそらくマンション管理士をやって食べていけないと思うんですよそれだけでは。そうするとどういう事になるかというと、管理会社や分譲業者の社員が資格を取ることになるとおもうんですよ。管理会社の社員がマンション管理士になってそれでたとえば国や自治体なんかが相談窓口を広げるためにそのマンション管理士の名前を登録するとかね。あるいは管理会社の社員がマンションの管理士になって、管理士は管理組合の役員になることもできる。だから管理組合も管理士がいたほうがいいだろうということで、管理組合の役員に管理会社の社員がなるというふうな懸念があるのですよ。そうすると、大規模修繕の時に、管理会社とつながっているゼネコンに発注することになる。その辺が実はネライなのかも知れません。しかしそういう懸念があるのですが管理士制度をつくって、私なんかは例えば良心的な建築士の人なんかが免許をとってそういう人がNPOという形で報酬もえながらですね、管理組合の相談に応じていくというのができればそれはそれで意義があるんじゃないかと思います。 

●マンション管理業登録制度の実施●
 それからもう一つはマンションの管理業登録制度というのを実施することになっております。これ実は先ほどからいいますように、マンションの業者というのは、実は登録というのはないんで、従って業者が悪質な事をやっても行政が指導できないんですよ今は。この法律ができまして登録制度になって初めて行政が登録業者に対して指導ができるようになります。だから一定の規制を加える事になります。今まで非常に悪質な管理業者がいても、なかなか行政はものをいわなかったんですけれども、この法律できちっと管理業登録という風になりましたので、悪質な管理業者・管理会社に対する指導をね、国や自治体にこれからどんどん要求していくことができます。そういう意味でも一定の意味はある。しかし、大手の管理業者が高層住宅管理業協会というのを組織していますが、中小の業者の中にはそれに整理淘汰されるのではないかという危惧も出ています。 

●マンション管理適正化推進センター、マンション管理業者団体の指定●
 それからもう一つは管理適正化推進センターを今度つくることになりました。大阪にも支社が出来ましてそこに一定の専門家がいて、いろんな専門的な知識を必要とする相談ですねそういうものを受け付ける。管理業等の相談も受け付けるというようなことで推進センターが出来ました。ただね日本の制度といえばみんなそうなんですけども、しかし実際には管理適正化推進センターというのはおそらくね先程の高層住宅管理業協会の事務所がこのセンターになると思うんですよ。そうするとね大手の管理会社のもうけ口にされちゃうというそういう可能性も一方ではあるわけですね。その辺が非常に懸念されるところなんですけれども。もともとこの法律の制定されていった経過の中に、実は業者の要求もありましてね。大手の管理会社の要求をうけたという面もあるわけですよ。だから管理会社にすると大きな管理会社だけがマンション管理の市場・もうけを独占していくということを今考えていると思うんですよ。そのためにこの法律を利用する可能性もあると思います。 

●設計図書の交付●
 それから設計図書の交付を義務づけました。これはものすごく重要な事です。大規模修繕をやるようなときにですね、実は設計図書などがなかったなどということが広くあるんですね。設計図書がないためにきちんとした修繕ができないというふうなことがありますので、設計図書をきちんと交付することが義務づけられたことは大きな意味があるというふう思います。今いったような内容の法律ができまして、私どもは先ほどの山下参議院議員がいいましたように、この法律にはいくつか問題点はあるけれども、これはね皆さん方の運動とか要求によってこの法律を使って、行政に業者を指導させるとかあるいは悪質業者など指導させるとかそういうふうな事をこの法律を使ってやることが出来ますので、そういう意味では我々は、いろんなトラブルの解決の一助として実効性あるものにできる可能性があるというふうにとらえております。 

5.今後の問題
●建て替え問題●
 一番最後に今後の問題について一言ふれたいというふうに思います。分譲マンションが相当できまして相当年限がたってきて、建て替え問題というのがそろそろ問題になってきているわけですよね。ただこの建て替え問題というのはこれまた大変なことでね。今は区分所有法という法律、分譲マンションという財産をこういう法律で規定しておるわけですけれども、先ほどいいましたようにだんだん定住化指向が多くなってきまして、そこを終の住みかにするという方と将来どこかへ出ていくという方といろんな形態が違ってくるんでなかなか一緒になってやっていくのが大変なことなんですけれども、建て替えをどうしていくのかをどうしても考えなければいけない。この間新聞を見ておりましたら国土交通省が建て替えをできるだけ容易にするように制度を検討中と新聞に記事が出ておりましたけども、その内容は主として金融公庫の融資ですね。建て替え時期を迎えるようなマンションにお住まいの方は、かなり高齢の方が多いだろうと思うんですね。かなり歳をとってからですね、また借金をするのかという問題がありましてね。そういう融資制度で解決するものでないと思うのですけれども。もっと例えば梶浦先生なんかは、鉄筋コンクリートの建築物はコンクリートの劣化などいろいろと問題点があるけれども、基本的な部分は70年や80年はもつんだと言っておられます。今建築の技術もどんどん発達しておりますし、だから例えば今スーパーリフォームといって専有部分(個人が使う部分)を全面改装できる技術もあります。そういうことも選択肢のひとつです。「建て替え・建て替え・建て替え」というのは実はゼネコンの要求なんですよ。建て替えすることによってものすごい工事がとれるわけでしょ。だから確かに建て替えをしなくっちゃならないというマンションもあるかもしれませんが、もっと専門家の知恵を借りてどうしたらいいのかという事を考える必要がある。公団賃貸住宅が昭和30年代に建てた団地の建て替えをやっているんですけれども、賃貸住宅と分譲は違いますけども、その場合、どういう事を公団がやり出したかというと、中にはね今のままでいいという人もいるわけですよ必ず。それから建て替えたらいいという人もいる。これは賃貸ですから分譲じゃないですよ。必ず2つに分かれるわけです。今、公団はそれでも無理矢理に建て替えをどんどん進めようとしたわけですけども、そういうふうになかなか出来なくなってきて今一部をですね。残すようになってきたんですね。例えば10棟ぐらいある公団住宅で一棟だけ残したんですね。そこに住みたい方はそのまま住んでもらう。後の9棟の建て替えをするというような事を公団が最近やり出しました。だからやはり分譲マンションもね、そういう方法を考えないと全部とにかく建て替えするんだというやり方ではね、色々と問題があるんじゃないかなというふうに思います。 

●中古マンション問題●
 それから皆さんのお住まいになっておられるのは中古マンションですよね。中古のマンションの日本の住宅市場というのは流通市場というのは非常に不十分というか未整備で、中古のマンションをどうやっていこうかという問題が出てくると思うんですね。近く私たちの赤旗に梶浦先生の記事をのせますけれどもオーストラリアなんかでは修繕の履歴書を義務づけているわけです。だからある一定の年代になって大規模修繕してここをこういうふうに修繕しましたよと、こういう塗装をしましたよというのを全部履歴書で残すわけですね。その履歴書がそのマンションの価値を表すといいますか、だからそういう履歴書をきちっと作っていって、そして中古のマンションの価値をきちっと明らかにしていく事が必要ではないかと思います。その場所に永住したい方もいらっしゃるし、また同時に売って他へ住みたい方もいらっしゃるし、いろんな要求があるわけですから、やっぱり自分たちの財産をキッチリ保全していって価値ある財産にね残しておくと、いう意味ではそういう方法も参考になるなと思います。いずれにしても中古マンション問題というのは大きな課題で、私たちもこれからそういう問題も取り組んでいかなくっちゃいけないなというふうに思います。
 マンション問題というのは素人ではなかなか解決できないので、こういう法律の枠組みが出来、マンションの管理士制度もできましたけども、これだけでいいのかというとまだまだ不十分でね。私たちはね、やっぱり専門家の支援をねやっぱりNPOといいますかね。そういう専門家支援・支援体制というのが必要だと思います。いくつかのNPOが出来ておりますけども、専門家の知恵を借りて協力を得ながらマンションをどうしていくかと、そして法律的な事だと弁護士さんに相談する、修繕の事なら建築士さんであったり、管理の事であるなら新しく出来た管理士の知恵を借りるというふうにしてですね、専門家の知恵を借りながらそのマンションをいいマンションの方へ管理していくということが必要ではないか。その専門家と行政とがそれぞえ協力しあいながらマンションの管理をよりよいものにしていくというふうな方向性を今後とも追求していきたいと思います。以上、私の問題提起とさせていただきます。どうもありがとうございました。