よりよいマンションライフのために

―分譲マンションでの活動のガイド   1999年9月

目次

一、地震に強いマンションをめざして、総点検と防災改修をすすめる

二、住民が負うべきでない費用は、企業に負担させる

三、マンションにたいする固定資産税の不公平を改める

四、大規模修繕やリフォームへの支援を強める

五、欠陥マンションは建てさせない、売らせない、補償させる

六、管理組合の活動の条件を広げるため、制度の改善をすすめる

 分譲マンション(分譲集合住宅)の本格的な供給が、日本で始まってから35年以上がたちました。今では、大都市圏を中心に334万戸(97年末までの累積供給戸数)に達し、都市の住まいの主要な形態の一つとして定着してきています。
 マンションが急増しているなかで、95年の阪神・淡路大震災で多くのマンションが倒壊・損傷し、多数の死傷者を出したことは、全国のマンション住民に大きなショックを与えています。当時、最新の耐震設計を誇った高層マンションでも、鋼鉄製の主柱が真一文字に切断され、耐震性が不十分なことが明らかとなりました。たとえ地震に襲われても、住民の安全が守れるマンションであることこそ、よりよいマンションライフを生み出すための出発点です。
 鉄骨・鉄筋コンクリート造、鉄骨造のマンションは本来、堅固で、防火や限られた土地の活用、省資源にも適しています。しかも分譲マンションは、所有者全員で管理組合をつくり、共同でおこなう分譲マンションの管理自体が社会性に富んでおり、新たな都市コミュニティーを築く可能性をもっています。このマンションという住まいの形態を大切にし、行政が支援していくことが求められています。
 政府は、大手住宅企業まかせのマンション供給を推進しつつ、「マンションも戸建住宅と同じ個人の資産」と強弁して、共同管理であるがゆえにマンション住民が抱える固有の問題を放置してきました。その一方では、一戸建て住宅に比べて、負担の重い電力・ガスの設備管理や共用部分の固定資産税などについて、負担の公平化を求める住民の要求に、政府は積極的にこたえようとしません。
 とくに管理組合の役員と住民にとって頭が痛いのは大規模修繕問題です。建ってから20年をこえる分譲マンションが19%、10年をこえるものが52%をしめ、外壁の修繕、給排水管やガス管の取りかえなど、大規模改修時代を迎えています。そこでは、修繕積立金の不足や重い消費税の負担、住民の高齢化で民間資金が借りられないなど、住民は困難な問題に直面しています。そのうえ将来の建てかえのさいには、敷地に余裕がなくて建て増しができず、建て増し分の売却益を建てかえ財源にあてられないマンションが多数あり、住民の不安は深刻です。
 マンションを計画的に修繕・改良し、良好な住宅ストックとして維持することは、計画的な街づくりや資源の浪費を防ぐ点からも重要な意義をもっています。国・自治体は、住民の共同管理を支援する方向をマンション施策の基本にすえるよう求めます。住民が管理しやすいマンションを供給することは企業の社会的責任であり、それを果たさせることは行政の役割です。マンション住民は、快適に住み続けられるマンションをめざして、管理組合の連合組織の結成や民主的な専門家集団との協力など、運動を発展させてきました。日本共産党はこうした各地の運動と連携し、地方議会に働きかけて一つひとつ問題の解決に取り組むとともに、国会でも分譲マンション問題を取り上げ、建設省に分譲マンションにたいする公的援助の拡大・強化を約束させました。東京では都の住宅政策審議会の答申にもとづき、ようやく公的支援策が始まろうとしています。
 こうした成果を活用しながら、マンション住民の自主的な努力に協力し、よりよいマンションライフを実現するために、分譲マンションの問題解決をめざして、次のような取り組みをつよめていきます。

もどる↑

1

地震に強いマンションをめざして、総点検と防災改修をすすめる

 建築基準法の耐震基準は、震度七の地震を想定していません。阪神・淡路大震災なみに激しかった関東大震災の震度(震度七)を、政府はあいまいな根拠のままに低くみて、現行の耐震基準で“関東大震災にも耐えられる”としてきました。地震の危険を軽く見、現行の建物の安全性を過大に評価するこれまでの態度を改め、震度七にたえうる都市づくりと一体のものとして、国・自治体が計画的にマンションの耐震性の向上に取り組むよう求めます。

1、マンションの耐震性を総点検し、診断費用に助成する

 阪神・淡路大震災で起きたように、マンションの損壊によって住民の人命が失われるような事態を防ぐため、防災改修を積極的にすすめることが必要です。マンションの耐震性を全国的に、総点検しなければなりません。とりわけ、81年の建築基準法改正以前の建物や、事務所の窓やショーウィンドーによって壁が一方にかたよっている建物や、一階が駐車場などのピロティ式(2階以上を部屋とし、一階を柱だけにした建物の様式)になっている建物が、阪神・淡路大震災では深刻なダメージを受けており、こうしたマンションは、慎重に点検する必要があります。
 コンクリート壁の強度、柱と梁(はり)の接合状況など建物の現在の耐震性を診断する一般診断には、鉄筋コンクリート造五階建て(総床面積2,000平方メートル程度)のマンションで、150〜250万円かかります。東京都の中央区では阪神・淡路大震災後、「『民間建築物は民間で』はすまされない」として、分譲マンションの耐震診断にたいして、診断経費の20%を上限として50万円を限度に助成することを決めました。大阪市では診断費の2分の1を上限なしで補助しています。調査・診断などの費用にたいする公的補助を、国・自治体がおこなうよう要求し、制度がすでにあるところではマンション住民がより使いやすいものに改善させましょう。

2、防災改修を計画的にすすめるため無利子融資や助成を新設する

 点検した結果、損壊の危険のあるマンションについては、筋かいをいれたり、柱の補強、接合部分の強化、避難路の確保、震災時の危険部分の改善など防災改修をおこなわなければなりません。その防災改修を計画的にすすめられるよう、自治体による無利子融資制度や助成制度を導入するよう求めます。すでに大阪市では、改修工事費の13.2%(国と市で半分づつ)を補助するようにしています(上限は延べ床面積1uあたり6,259円)。

3、耐震基準を見直し、施工の手抜きを許さない

 新たに建設するマンションは、震度七の直下型地震にも耐えられるものでなければなりません。激しい縦揺れと横揺れが同時に起こる直下型地震の特性にも考慮して、建築基準法の耐震基準を見直し、実効あるものにすることが必要です。
 阪神・淡路大震災では、自治体への建築確認の手続きのなかで、設計申請後、壁を撤去し、面積を広げるような違法建築がおこなわれていたことが明らかになっています。せっかくの耐震設計が、こうした手抜きでだいなしになることがないよう、自治体によるチェックの強化を求めます。こうした違法が発見された場合は、分譲業者の責任で直させましょう。

4、消防体制の強化を

 高層マンションが増加しているもとで万が一、火災がおきた場合、住民の生命と財産を守ってくれるのは、自治体の消防力です。ところが歴代政府による1980年代の「行政改革」や現在の「自治体リストラ」のもとで、消防力整備が遅れ、高層マンションの救出・消火に必要なはしご車をはじめ、救助工作車やポンプ車の数も、国が決めた基準数を大幅に下回る配置となっています。高さによってはヘリコプターの確保も必要になってきます。こうした消防力の整備を自治体に要求しましょう。
 火災報知器、消火栓、ガス漏れ報知器、スプリンクラーなどの設置が、法令や業者の約束どおり設置されているかどうか確認し、設置されていない場合には、業者に実行を求めましょう。日頃から避難方法や危険物の除去などについて、消防署の協力をえて住民の共通の認識にしておくことも大切です。

もどる↑

2

住民が負うべきでない費用は、企業に負担させる

 分譲マンションでは、給排水設備や変電室、ガス管などが住民(区分所有者)の共有物とされています。そのため、維持管理、更新費用が住民の多大な負担となっているばかりか、古い管の取替えなどが適切におこなわれずに漏水やガス漏れ・爆発事故がおきています。これらの設備については、一戸建て住宅との公平性の確保のためにも、また安全管理を徹底するためにも、自治体・電力会社・ガス会社など供給事業者が管理に責任を負うのは当然です。

1、電力会社に、変電室の使用料を負担させ、小型化を図る

 電力会社は、マンション建設業者との間で、無償で変電室を提供させる契約を締結しています。そのため、電力会社が使用している変電室の維持修繕費は分譲後、住民が負担するという事態になっています。これは、分譲マンションを、電気を大量に使う事業所と同じに扱っているからで、営利を目的としない住宅である分譲マンションの性格に合いません。電力の供給規定を改定し、各戸の戸外のメーターまでは電力会社が管理に責任を持つべきです。
 すでに京都、千葉、東京などでは、管理組合と日本共産党の取り組みで、電力会社に変電室の塗装工事費を負担させる成果をあげています。電力会社に使用料、外壁塗装を含む修繕費の負担を求めます。また変電室が不要な屋外の小型変電設備へ転換が可能な場合には、管理組合の要求にもとづき電力会社の負担で転換させましょう。

2、ガス会社に、ルール通り、道路下ガス管の維持・管理の責任を果たさせる

 団地内道路下のガス管は、「ガス供給規定」でガス会社が所有し管理することになっており、現に大阪ガスは、その通りに実行しています。ところがその他の地域では、住民の負担とされている場合が多数あります。このため、ガス管の取りかえ工事に1世帯20万円の負担を強いられた例も起きています。管理組合と日本共産党の取り組みで、千葉市では、マンション・団地内道路下のガス管の維持・管理の移管を東京ガスに同意させました。老朽化によるガス漏れ・爆発から住民の安全を守るためにも、維持管理責任がガス会社にあることを明確にし、住民の負担を軽減させます。既存の団地内道路下などの主要なガス管については、管理組合の要求に基づき、ガス会社への移管や維持管理費の会社負担をすすめるよう求めます。

3、小規模受水槽の定期検査は自治体負担でおこなう

 分譲マンションでは、受水槽から各戸までの水道の管理は住民の責任とされ、漏水負担や受水槽の管理不良による水質悪化などが問題になっています。営利目的の商業ビルとは違い、住宅として各戸の蛇口まで自治体が責任を持つのは当然です。日本共産党の主張と住民の運動で、横浜市では、小規模受水槽の点検を実施する条例ができました。小規模受水槽をふくむすべての受水槽を自治体が定期的に検査し、受水槽のクリーニング奨励金を創設するよう提案します。既存の団地内道路下の水道管については、ガス管と同様の措置を求めます。
 また受水槽が不用となる水道の直結化について、大阪の吹田市では、全国にさきがけて五階建てのマンションの直結給水を実現しました。住民に過大な負担をかけずに直結化をすすめるよう自治体に要求します。

もどる↑

3

マンションにたいする固定資産税の不公平を改める

 マンションの敷地内道路、公園、遊び場、緑地、集会場、ゴミ集積所、エレベーター、通路、外廊下などの共用部分は、一戸建の住宅街における私道や町会集会所等に相当する一定の公共的機能があります。政府も、日本共産党の追及で、これらの共用部分の固定資産税について自治体の自主的判断で減免できることを認めました。これにもとづいて、すでに東京、千葉、鹿児島などでは部分的に実施しています。京都市では、マンションの集会所を申請があれば100%減免しています。マンション本体の共用部分については、その公共的機能の度合いや周辺住民の利用実態、戸建住宅街での類似施設への課税状況などを考慮して、減免すべきです。
 また建物自体の評価額をみても、マンションは木造家屋とくらべて評価額が非常に割高です。建物について評価額を2分の1とする特例の期間を、現在の五年間よりさらに延長するなど、負担軽減を求めます。

もどる↑

4

大規模修繕やリフォームへの支援を強める

 建設省によれば、大規模修繕が必要な時期になっているのに実施されていないマンションが、外壁塗装で二割、鉄部塗装や屋上防水で約3割、給排水管工事で6〜7割に達しています(マンション総合調査)。まさに放置できない事態です。

1、住民が借りやすい融資制度に改め、高齢者世帯層への特別な貸付を新設する

 住宅金融公庫のマンション共用部分リフォームローンは、適用条件や、金利を低くするなど返済条件の緩和を求めます。大規模修繕や駐車場の新・増設、専有部分のリフォームなどについて、居住者の要求・運動にこたえ、自治体で融資あっせんや利子補給などの取り組みがはじまっています。東京都では1%の利子補給、東京の港区では1,000万円までの融資あっせんと2.8%の利子補給、同江戸川区では2%を超える分の利子補給を実施しています。こうした自治体の取り組みを全国に広げましょう。国にも、市中金融機関から融資を受けた場合の利子補給制度など助成を求めます。
 高齢化などで一部の世帯で修繕費を負担できず、全体の修繕がすすまないという事態をなくすため、修繕費負担金に対する自治体の特別の融資制度を創設します。年収に応じて負担しうる返済月額を設定し、将来は相続者による残額返済や残額を調整し、または自治体が買い取って公的住宅として活用できる道を開くよう要求します。
 高齢者にやさしい街づくりが、マンションの分野でも急がれます。94年制定された高齢者、障害者が利用しやすい建物の建築促進法(ハートビル法)に準じて、マンションでも高齢者、障害者の居住に配慮した建設を進める制度を創設し、改造にたいする支援措置を広げるよう求めます。
 マンション共用部分については、千葉の浦安市では大規模修繕のために住宅金融公庫などから借り入れた場合、金利の1%を助成しています。東京の板橋区などで実施している一般の私道整備への助成制度に準じて、その公共的機能や実態に即した助成制度の創設を求めます。

2、供給業者に、修繕に必要な設計図などの引き渡しを義務づける

 設計図、工事中の設計変更を書きこんだ竣工図、住宅の材料や構造による性質・機能を示す住宅性能保証書など、基本的な書類が管理組合に引き渡されていないため、大規模修繕の障害になっています。これらの資料は、戸建住宅の場合と同様、管理組合への引き渡しを義務づけるよう要求します。そのさい、主要材料説明書、材料メーカー一覧なども管理組合に引き渡すようにさせます。

3、修繕計画と費用の明示を義務づけ、利子の非課税で修繕積み立てを促進する

 修繕未実施の大きな要因の一つは管理組合の計画修繕積立金の不足です。マンション販売業者が安く見せるために過少な積み立て計画をたてるため、建設省の調査では、1990年以降に供給されたマンションの3分の1以上で、毎月2,000円以下しか積み立てられていません。そのマンションで通常必要となる大規模修繕の長期計画例とその予想費用を明示するよう、販売業者に義務づけるよう求めます。
 積み立てを促進するため、大規模修繕に用途が限定されている修繕積立金については、勤労者の財形住宅・財形年金貯蓄と同様、利子を非課税にするよう要求しましょう。

4、自治体に相談窓口を設置し、管理組合の長期修繕計画の作成を援助する

 自治体にマンション問題の専門知識をもつ職員を配置したり、専門家の支援体制などを備えた相談窓口を設置し、管理組合や住民の相談に応じて、適切な指導、援助をおこなうことが必要です。日本共産党の追及で、東京の港区では、区が住民向けの管理マニュアルの冊子を作成しました。管理組合の相談に応じて、建物の劣化調査や大規模修繕等について技術的な助言をおこなうため、地域の専門家等の協力を求めながら、自治体が対応できる体制の整備を求めます。
 自治体は、分譲マンションの実態調査をおこない、適切な長期修繕計画、資金計画を立てられるよう管理組合を援助すべきです。建設省が定めている標準管理規約にも、長期修繕計画の策定が位置づけられています。

5、建て替えについて総合的な検討をすすめ、助成制度の拡充をはかる

 年月を経たマンションが増加しているもとで、いずれ建て替え問題が重大な課題となることは確実です。政府・自治体は、分譲マンションの建て替えについて、解決すべき課題や事例を研究し、マニュアルを作成するなど、管理組合や住民が建て替えについて十分検討できるようにすることが大切です。九七年の建築基準法の改正で、マンションの共用の廊下、階段部分は、容積率の制限から除外されましたが、都市計画の規制や居住者の高齢化など、独自の建て替えが困難な場合には、住民が住み続けられることを前提に、周辺地域をふくめた街づくりとして自治体が支援する施策など、国が建て替えについて総合的な検討をおこなうよう要求します。
 良好な街づくりの観点から、マンションの公共的性格に即して、計画策定費、既存建物の除却費、共用施設の整備費等に対する助成をおこなうことも必要です。一定のマンション建て替えについても助成をおこなうよう「優良建築物整備促進制度」が導入されましたが、建て替えの本格化に対応できるよう対象要件の緩和や補助対象の拡大を求めます。

もどる↑

5

欠陥マンションは建てさせない、売らせない、補償させる

 分譲マンションでは、問題が表面化してからの対策だけでなく、供給の段階での対策が重要です。将来の管理に障害をもたらす販売方法を、業者の自覚や購入者の判断だけでなくすことは不可能です。建設計画・施工・販売の段階から適切な規制が必要です。

1、街づくりに合ったマンション建設にする

 マンション建設は、日照、景観、風力、電波受信、交通などに大きな影響を与えます。風害、電波障害が起きて、住民に後から補償問題が生じる例もあります。周辺住民と良好な関係を維持するために、地域の街づくりにあったマンション建設が重要です。東京の文京区では、日照問題など住環境を悪化させる八階建てマンションの建設計画にたいして、反対する住民運動が広がり、日本共産党が国会でとりあげて、8年越しの訴訟で5階建てに設計を変更させました。トラブルを防ぐためにも、自治体がマンションの建設計画をチェックし、地域の街づくり計画との統一をはかるよう求めます。

2、不適正な販売方法をチェックし、標準契約例との違いの説明を義務づける

 敷地の一部を除外した分譲や、駐車場等の専用使用権の別途販売などは、トラブルの原因となっています。こうした不適正な販売方法は、自治体がチェックして止めさせるようにすべきです。また給排水管の取り替えが著しく困難な構造など、管理に重大な障害をもたらすマンション建設は、是正を指導させます。中古マンションの場合には、修繕の経過、前所有者の管理費・積立金滞納の説明を義務づけ、最近増加している定期借地権付マンションについては、土地の返還のさいの費用負担、中古市場の状況など、購入者の義務・負担について分かりやすく明示するよう求めます。
 建設省は、マンションの管理規約や管理委託契約書の標準例を策定し、分譲業者などがそれと違う案をつくった場合には、標準例との違いを説明するよう指導しています。建設省の調査では、標準管理規約を知らない管理組合が27%、標準管理委託契約を知らない管理組合が30%もあります。自治体から管理組合にたいして、標準規約の周知徹底をはからせましょう。

3、責任期間が10年の欠陥修繕制度を活用する

 漏水、振動、床の傾き、壁のひび割れなどマンションの欠陥は、これまで業者が責任を負う期間(瑕疵担保期間)である2年間をすぎてから発見される場合が多く、住民は大きな負担を強いられてきました。マンションの建設・販売業者にかけあっても、「そんなことをいうのはお宅だけですよ」「住み方の問題じゃないですか」といって取り合おうとしなかったり、「そのうち直します」と言ったきり来ないなど、不誠実な対応をする業者もなかにはいます。
 マンション住民の運動があり、欠陥住宅の増加への対応を迫られて政府は、今後の新築住宅の基本構造に重大な欠陥があった場合、新築後10年間の無償修繕を住宅メーカーや販売業者に義務づけることや、強度や遮音性、防火など約10項目について公的な性能表示制度(住宅性能表示制度)を新設することなどを盛り込んだ「住宅の品質確保の促進に関する法律」(住宅品質確保促進法)を制定することになりました。この新制度を積極的に活用しましょう。既存のマンションについても、こうした考え方に準じた対応を政府・自治体がとるよう要求します。
 また98年の建築基準法改正で、建築工事の途中で自治体の検査をうける中間検査制度が、創設されました。この確実な実行を自治体に求めましょう。

もどる↑

管理組合の活動の条件を広げるため、制度の改善をすすめる

 分譲マンションの管理の基本的な責任は、住民自身と管理組合にあります。どこまで快適な居住を実現できるかは、管理組合の取り組みにかかっています。管理組合が活発に活動できるよう、その活動の条件を広げることが大切です。

1、管理規約は、入居者が自主的につくる原則を確立する

 管理規約等は本来、管理組合の総会で決めるものですが、民間の新設マンションの場合は、マンション購入契約の際に業者が作成した案(初期管理規約)を半ば自動的に承諾してしまう場合がほとんどです。初期管理規約には、未販売住宅の管理費不払いなどの不当な条項を盛り込んでいたり、特定の者が4分の1以上を所有して改定が困難な場合があります。業者が作成する初期管理規約案については事前に自治体に届け出を義務づけ、著しく不当な場合には是正を指導すべきです。管理組合の発足前に作成された管理規約や管理委託契約については、一定の条件のもとに改定・解除できる特例を設けるべきです。

2、管理組合財産を管理業者名で預金することは禁止する

 管理業者が管理組合からあずかる金銭等を業者名で預金しているケースが依然としてあとを絶ちません。そのため、業者が倒産して取り返せなかったり、使い込みが発覚するなどのトラブルがおきています。建設省が定めたマンション管理業務の「処理準則」は、組合以外の名義使用を原則として禁止していますが、その徹底をはかるため、当面、「処理準則」第六条のただし書き「別段の定めをしたときは、その限りではない」を削除するよう求めます。また、管理会社名になっているあずかり金を、融資の担保としないよう、政府が金融機関を指導すべきです。区分所有法の改正によって組合以外の名義使用の禁止を明記するよう求めます。

3、管理員の研修を徹底し、待遇を改善する

 良好なマンション管理をすすめるためには、住民と管理員がしっかりと連携することが大切です。ところが、マンション管理業者の規模や経験もさまざまであり、管理業者がマンションに配置する管理員のなかには、十分な研修がおこなわれておらず、責務もあいまいな例もあります。また、管理会社のリストラが業務の下請化や、下請け単価の切下げを促進し、管理全体の質の低下を招く恐れがあります。管理業者の健全な育成を図り、業者による管理員への研修の徹底・拡充と待遇改善を進めるよう、政府に指導を求め、こうした条件を備えた管理会社を認定する制度の導入を要求します。

4、マンション条例の制定をめざす

 良好な街づくりや、住生活の安定を確保するためにも、自治体が分譲マンションを重要な施策対象として位置づけ、積極的な役割を果たすよう求める運動を強めることが大切です。分譲マンションの戸数さえ把握しようとせず、管理組合を住民組織として認めないというこれまでの行政の姿勢は、ただちに改めさせなければなりません。個別のマンションに対する指導は自治体がおこなうのが基本です。地域の実態やマンション住民の意見を踏まえたマンション条例の制定をめざしましょう。
 地域の実態に即して自治体が適切な指導をおこなえるよう、国が都市計画法、建築基準法、宅地建物取引業法など関係法令を改正すべきです。