五輪招致と大阪市の責任 共産党瀬戸大阪市議にきく
招致名目の巨大開発中止を
再立候補 白紙に戻し市民的議論必要
(しんぶん赤旗 2001年7月15日)
五輪の大阪市招致失敗について日本共産党の瀬戸一正市議に聞きました。
渋滞や市財政負担前から厳しい指摘
−国際オリンピック委員会(IOC)総会は13日、2008年オリンピック開催都市に北京市を決定しましたね。
瀬戸 5月のIOCの立候補都市評価委員会は、大阪市について「交通渋滞の心配や市の財政負担の問題などがあり、確信がもてない」と厳しく指摘していました。事実上三都市に絞ったこの時点でほぼ勝負は決まっていました。いさぎよく立候補を辞退するべきだったんですよ。大阪市がその後も招致活動にエネルギーと予算を使うことはムダだったのではないでしょうか。
−北京と大阪の票差がだいぶん開きましたね。
瀬戸 金をかけて豪華な計画を立てさえすれば招致できると考えてきた大阪市の思惑がオリンピック精神にかなうものではなかったということです。また、“ 笛吹けど踊らず”で、五輪招致運動で行政が主導すればするほど市民の反応は冷めていた点や、その上、最近の小泉首相の「靖国参拝」発言や、日本政府の「歴史教科書」問題での対応なども、平和と真理を追究するオリンピック精神とは相容れない、アジア諸国からもその点で敬遠されたとも考えられます。
市民生活が犠牲に十分な合意もない
−オリンピック精神そのものは評価しつつ、大阪五輪招致は断念すべきだと考えられたのはなぜですか。
瀬戸 オリンピック精神そのものはスポーツを通じて世界平和を目指すものであり、日本共産党はオリンピック運動の根本原則を積極的に支持しています。しかし、2008年オリンピック大阪招致については、舞洲、夢洲を中心とするベイエリア開発計画推進のテコとされ、関連公共事業費が7000億円以上もかかるなど大阪市の財政破たんに導きかねない、また、97年以降の深刻な不況の元で、市民生活が犠牲にされかねません。しかも、十分な市民の合意がありません。そうしたことを考えあわせて、2年前に大阪五輪招致は断念すべきだとの態度を発表しました。
−磯村市長は今回の決定前に、「一度挙げた手は下ろすわけにはいかん」などと再立候補の意向を示していましたが。
瀬戸 この発言は、これまで五輪招致を夢洲などの巨大開発推進の口実にしてきたことになんの反省もなく、五輪を湾岸開発の錦の旗として引き続き利用しようというものです。巨大開発を推進してきた市長の責任が厳しく問われるとともに、これを応援してきた自民・民主・公明の各党も同罪です。市長は、五輪に立候補し続けなければ、五輪精神を支持することにならないとも発言しましたが、これもためにする議論です。
借金増やすだけ事業の見直しを
今やらなければならないことは、事業費が2,860億円もかかる北港テクノポート線や咲洲〜夢洲の道路トンネル建設や、数千億円もかかる夢洲の土地造成や開発を直ちに中止し凍結することです。この不況の中で、経済効果の小さいムダな大型公共事業、しかも市民の暮らしに大きな負担となる借金を増やすこれらの事業を見直しをすることは当然です。
すでに、マスコミ各紙にもこの論調があらわれています。
オリンピック招致については、この際、白紙に戻して市民的な論議を待つべきです。