日本共産党大阪市会議員団
雪印食中毒事件で、厚生省・農水省に申し入れ
日本共産党大阪市会議員団(姫野浄団長)の雪印乳業問題対策委員会は、責任者の石川莞爾議員をはじめ、辰巳正夫副団長、山中智子、辻ひで子、谷下浩一郎、長谷正子の六議員が27日厚生省(乳肉衛生課)と農林水産省(牛乳乳製品課)を訪れ、雪印乳業食中毒事件に関する申し入れ書を手渡して、交渉を行いました。
(しんぶん赤旗 2000年7月29日)
農水省の牛乳乳製品課との交渉の中で雪印の販売店で休業状態になっている数が、570店に上っていること、その内70店は「廃業になる」と言う深刻な実態が明らかになりながら、「販売店への支援は、雪印側で当然、自主的にやられている」との報告があり、代表団は「認識が甘すぎる、販売店側から補償額の計算式や9月以降の補償についての不満も出ている。最後まで国の責任を果たすべし」ときびしく申し入れました。
厚生省では、24日に発表された全国の乳処理施設の一斉点検のあり方や総合衛生管理製造過程(ハサップ)認定の今後のあり方、認証済みの施設の点検などが問題となり、厚生省乳肉衛生課の道野課長補佐は「ハサップ認定に際しては、今後、厚生省も立ち会うことになる」「認定審査はダイヤグラムとの照合など一層きびしくならざるを得ない」「認定済みの施設の立ち入り調査には財政措置も必要、来年度の予算要求に盛り込みたい」「食品衛生監視員の専門研修は強化して専門性を高める。人員増は難しい」などと答弁しました。
この交渉には、吉井英勝衆議院議員、宮本岳志参議院議員が立ち会いました。雪印乳業食中毒事件に関する申し入れ
雪印乳業大阪工場による食中毒事件は、発症者が7月24日現在、14,726人、大阪市内でも3,538人にのぼるなど、戦後最悪の食中毒事件となっています。
わが党は、7月7日の雪印乳業大阪工場の調査をかわきりに、この間多くの関係者から事情を聴取してきました。その結果、今回の事故が食中毒発症者はもとより、牛乳販売業者や酪農家などの関連業者の経営に深刻な打撃を与えていることも明らかになりました。
いうまでもなく、この事故を起こした雪印乳業の企業責任は重大であり、事業者がその社会的責任を果たすことは当然です。同時に、国民の安全、健康、くらしを守るべき国においても、被害者をケアし、被害の拡大や再発を防止するうえで、大きな役割の発揮が求められています。
今回の事故は、食品の衛生管理がもっとも高度に行われているはずのHACCP(総合衛生管理製造過程)の認定を受けた施設でおこりました。HACCP認定施設は、食品衛生法七条の適用が除外され、企業の自主管理とされており、それだけに企業の衛生管理に関する厳しい姿勢が求められています。
ところが、雪印乳業は、HACCP認定申請の際、製造ラインの一部を隠して申請し、厚生省は、申請手続きの審査を大阪市に委託、厚生省としては一度も現場に立ち入ることなく承認したことが明らかになっています。さらに、雪印乳業が、自ら定めたマニュアルを守らず、返品された製品を再利用するための開封作業を屋外の手作業で配送委託業者に行わせていたことなど、驚くべき実態が次々と明らかになりました。
つまり、今回の事故は、今の食品監視業務の体制やシステムの抜本的な改善の必要性を強く示していると言えます。
二度とこのような事故を起こさず、消費者・国民の信頼を取り戻すとともに、食生活の安全を確保するために、左記の事項を実施するよう申し入れます。記
一、食中毒発症者に対し、治療費、通院費の支払い、休業補償などケアが十分に行われるよう、雪印乳業を指導すること。
一、雪印乳業にかかわる牛乳販売業者や運送業者などの経営維持のために、融資や支払い猶予、代替商品の斡旋、顧客離れの補償など、雪印乳業まかせにせず、事業者が責任を果たすよう指導すること。国としても、業者の実情を正確に把握し、経営上の支援を行うこと。
一、HACCP認定施設の全面的な安全点検を、自治体まかせや書類審査に終わらせず、国の責任で全工程の実地調査を行い、結果を公表すること。
一、現行のHACCPの認定手続きや安全確保のための運用方法、検査制度など、抜本的な見直しを行い、改善をはかること。
一、食品衛生監視員の専門性を高めるとともに、大幅な増員をはかるよう大阪市を指導すること。また、財政措置を講じること。
2000年7月27日
日本共産党大阪市会議員団
団長 姫野 浄厚生大臣 津島雄二 殿
農林水産大臣 谷 洋一 殿