全中小企業対策こそ必要
利子補給など温かい融資を
開業率高いが廃業率も高い
− 最近は国も大阪市も中小企業対策がベンチャー支援に偏っているように思えますが。
矢達 そうです。もちろん、ベンチャー支援や創業支援も必要ですし、さらに力を入れることは必要です。ところが、ベンチャー支援、創業支援を名目にして、既存の一般中小企業への支援が手抜きになっていることが問題です。大阪市経済の開業率は、年間4.14%で全国平均の3.79%を上まわっているものの、廃業率の高さは全国平均5.42%に対して大阪市は6.95%で、抜きん出ています。
特定のベンチャー支援に偏することなく全事業所、全中小企業を対象とする経済対策こそいま必要です。私は市に対して、中小企業対策を中心とする産業経済予算を大幅に増やすとともに、その中身もATCへの無駄遣いをやめ、特定ベンチャー支援に偏らず、市内中小企業全体に行き渡る手厚い対策に転換することを求めています。
− いま、中小企業への銀行による貸し渋り、「貸しはがし」などが大きな問題になっていますが、大阪市の中小企業への金融対策はどうなっていますか。
市の金融対策245億円が還流
矢達 グラフの信用保証協会への支出を見てください。貸付額が1996年(平成8年)の455億円から2000年度(平成12年度)の210億円へと245億円も減っています。このお金は大阪市が信用保証協会を通じて銀行に預託して、保証協会の保証のついた銀行融資を円滑にするものです。なぜ減っているかというと、当局の説明では、銀行には資金が余って、多額の預託金が必要なくなったということです。つまり、資金が4年間で245億円も大阪市の会計に還流しているのです。こうしたお金も有効に使えば、利子補給や貸し出し条件の緩和、返済期間の繰り延べなど中小企業に温かい融資制度に改善することは十分可能です。
(おわり)