障害児教育の充実、発展に市は力尽くせ

特別支援教育に教育条件整備、教職員の配置を

文教経済委員会で姫野市議が質問

姫野浄市会議員

2004年3月23日

日本共産党の姫野浄市会議員は23日、文教経済委員会(事前審査)で大阪市内の障害児教育の向上をめざす運動団体や障害児をもつ保護者などから提出された「養護学校・学級の大増設を求める請願書」の採択を求めて質疑をおこないました。

  姫野議員は、文部科学省調査研究協力者会議の「今後の特別支援教育のあり方について(最終報告)」レポートにふれ、現行制度のもとでLD(学習障害)ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症などの軽度発達障害についても特別支援教育を開始することが報告されているとのべ、「問題は、今までの規模の障害児教育の予算や人員のままで、これまでの数倍の子どもたちを委ねていくことにある」と指摘し、大阪市教育委員会の見解をただしました。

 教育委員会は、「国や大阪府の動向を注視しつつ養護教育の充実に努めてまいりたい」とのべるにとどまりました。

 姫野議員は、軽度発達障害についてのあらたな支援策は「国民のたくさんの願いや意見がとりあげられたもの」と評価。しかし、教育条件の整備をおこなわずに推進することは許されないとのべ「障害児教育には人、施設が必要。実施機関である大阪市がしっかりと見ていく必要がある」と強調、要望しました。

 姫野議員は、レポートでは障害児学級を廃止し「特別支援教室」にすることや現行の盲、聾、養護学校が「特別支援学校」として一本化されると指摘して、「これでは、障害児教育の後退や改変になる。大阪市として現場の声をあげていくことが大切」と強調しました。

  市も「市内全域からみると偏在の傾向」と増設の必要性認める

 姫野議員は、請願内容にふれ「養護学校増設の必要性は理解しているのか」とただしました。

 教育委員会は「市内全域からみると偏在の傾向がある。より適切な学校配置を求め府に要望している」と、その必要性を認めました。

 姫野議員は、長時間通学に悲鳴をあげる保護者の声を紹介、また、適正規模を超える学校が3校、さらに、在籍児童数は、平成11年度比で小学部では28.6%増、中学部では43%の増加、「現状は、増設が避けて通れない」と指摘し、設置義務者の府が建設をしないのなら、「過去の増設などの経緯からみても、大阪市が独自に建設に踏み切るべき」と迫りました。

 さらに姫野議員は、養護学級についても在籍数で小学校は平成11年度比で30%増、中学校も増加傾向にあることを示し、学級の増設や教職員の配置を強く求めました。

 教育委員会は、「養護学級は、学校全体で指導支援する体制作りを指導しており、養護学級設置は、実態に応じた障害種別の学級設置がなされるよう府に要望している」と実施機関の責任をあいまいにしました。また、教職員配置では、非常勤特別嘱託員制度の活用や安全対策に特別支援教育推進補助員を措置するとのべるにとどまりました。

  「政策、財政の優先順位を引き上げ障害児教育をすすめよ(サラマンカ宣言)」と要望

 姫野議員は、保護者からの手紙を紹介し「安定させ、学習をさせるための補助員、介助員がたりない。現状では、本来の障害者教育がなされていない」と、きびしく戒めました。そして、サラマンカ宣言を引用して、「すべての障害児に、しっかりとした政策をもち、財政の優先順位をひきあげて障害児教育にあたる必要があり、これが世界の流れ」と強調。「歴史と伝統、実績をもつ大阪市の障害児教育を充実させ、発展させるのか。それとも、障害児教育の劣化に向かうのか」と問いかけ、「市民、保護者、教職員の声をくみあげ、方向性を誤らないように」と強く要望しました。 

 なお同日不当にも請願書は、自民、民主、公明各党で「不採択」にされました。