大阪市は今年8月、来年度も4カ所の公立保育所の民間委託を行うと発表しました。その撤回を求める陳情が議会に提出され、9月27日の大阪市議会民生保健委員会で審議されました。
市当局は、「二一ズにこたえて公立保育所の多機能化をはがりたい」「限られた資源の有効活用のため、公立保育所の抜本的再編整備をはかりたい」「公立の再編整備にあたっては、民間活力を導入したい」と見解を表明。また、「その際、増改築をして入所枠を拡大し待機児解消につなげたい」「民間委託によって職員体制の柔軟性・応用性が得られる」などとも述べました。
質疑にたった日本共産党の北山良三市会議員は、5月議会での関市長の「保育を必要としている子どもたちが良質の保育が受けられるよう、最大限の努力を払っていきたい」との答弁を紹介し、今回の公立保育所の民間委託化がこの立揚からみてどうかと追及。「現行の敷地スペースのままでの入所枠の拡大は、保育環境の大きな悪化となる」「現行保育を継続のままでの増改築工事では、子どもの安全確保と健康保持が保証されない」「民間委託での保育士の総入れ替えで、それまでの保育の蓄積と継続性が損なわれ、保育の質の低下は避けられないし、子どもと保護者の不安は当然」と厳しく指摘しました。 そして北山市議は、「『待機児解消に向けた入所定負枠の拡大』や『保育ニーズに対応した公立保育所の多機能化』は大いに推進すべきものだが、それは現行の保育の質をおとしめ、子どもの安全と健康を犠牲にし、子どもや保護者の不安とガマンのうえに成り立たせるやり方で推進すべきことではない」「新たなスペースを確保して、公立・民間とも拡大・充実する方向で、ゆとりをもって、保育所を新設・増設し、必要な保育人員の確保・養成に取り組むぺきである」と主張しました。
さらに北山市議は、「8月に突然発表され、翌年4月実施。その間に保護者への説明、話し合い、納得と合意、現地調査と設計、増改築工事、民間法人への引き継ぎなどのプロセスを考えれば、こんな短期間に決着させようと言うこと自体に無理がある。今年度中に次世代育成支援対策推進法にもとづく中長期の行動計画を作成することになっているのだから、今、無理な計画をこのままゴリ押しするのでなく、一旦白紙とし、行動計画作成の課程で議論すればいいのではないか」と提案し、陳情の採択を主張しました。しかし、与党会派は継続審議とし、棚上げしました。
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