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井上議員が西淀川児童虐待事件について質疑

根本的な問題に向き合い抜本的対応を大阪市に求める

井上ひろし市会議員

2011年9月2日

 9月2日の文教経済委員協議会で、井上浩議員は、西淀川でおきた児童虐待事件に関して質疑し、大阪市に対して、事件を防げなかった根本問題に目を向け、抜本的な対応を進めるよう強く求めました。

 井上議員は今回の事件に関し、被害にあった子どもが、自ら虐待を受けていないと嘘をつかなければならない恐怖にさらされていた中で、虐待を発見するための丁寧な情報収集や踏み込んだ対応が求められていたと指摘しました。また、大阪市では児童福祉士1人当たり150件の事案を抱えている現状ではきめ細かい対応が不可能であり、今後体制をどう改善していくのか質しました。

 相談センター所長は「1人当たり150件という数字が多い少ないの意見はあるが、現在事案に対応していくひとつの仕組みができている。組織的に対応出来ていなかったことから、今後対策を講じる」との答弁にとどまりました。

 井上議員は、当面の対策は当然だが、事件の根本に目を向けていないことが問題であり、きちんとした体制が作れていないもとでは問題の解決に向かわない。児童養護施策の廃止や縮小は必ず歪みが現れてくると市の対応を批判、また現在大阪府立の児童養護施設が1つも無く、自治体として二重三重の連携が求められている中では不十分だと指摘しました。

 井上議員は続いて、この間議論してきた貝塚養護学校の廃校問題に関わり、支援の必要な子どもに対する大阪市の対応の問題点を指摘しました。貝塚養護学校創立50周年記念誌に「心身症の児童生徒が増えてきている背景に、児童虐待などの子どもをめぐる社会状況がある。そのような児童生徒にとっては本校、特に寄宿舎で生活する意味が大きくなってきているのではないか」と今後の課題を指摘していたことを紹介。しかし大阪市は貝塚養護学校、寄宿舎を廃止したこと。また貝塚と「同等の教育環境の整備」を前提として機能移管したはずの光陽特別支援学校には、2009年に移管後2人しか入っていないことについて、病弱児、母子分離が必要な子ども、様々なケアが必要な子どもが2年ほどの間に大阪市にわずか2人ということは無いはずだと指摘。貝塚養護学校問題をまとめた資料集に載せている福岡教育大の猪狩先生の「費用対効果をいうのであれば、子どものうちにしっかりと丁寧に社会が子どもを育てることは、深刻な社会不適応をおこした大人の更正にくらべればはるかに費用や人手はかからず、しかも人間を大切にする社会づくりにつながるとても効果の高い施策です。子どもを大切にする事は活力ある未来をつくることです」という論文を紹介。児童養護施策を縮小する、切り捨てる代償は大きすぎることを、こども青少年局、教育委員会は肝に銘ずるべきだと指摘しました。

 最後に井上議員は、個々の対応についての検証は必要だが、現場の対応の問題点を問うて終わりでは真の教訓は得られない。児童養護施策の政策的判断を含めて、大阪市関係局全体の責任が問われている根の深い問題だと認識し、小手先の改善ではなく、根本問題に目を背けること無く、問題を直視し向き合って解決に取り組むよう強く要望しました。