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規制緩和による乱開発は許されない

都市計画審議会で稲森豊議員が主張

          稲森豊市会議員    2002年12月9日

 12月9日に開催された大阪市都市計画審議会において稲森豊議員は提案された「住宅系建築物の容積率制限の緩和にかかる区域の指定及び数値の決定について」について、これ以上の規制緩和による乱開発は許されないと大阪市域は指定から除外するよう反対の意見表明を行いました。この提案は小泉内閣が進める「都市再生」の一環として建築基準法が改定され、それに伴い指定された地域においては今までのように建築審査会の許可を得ることなく建築確認の手続きにより迅速に容積率の上積みが行われるなど巨大開発自由自在フリーハンドの規制緩和となるものです。

 稲森議員は「都市再生」のためと言うが都市の盛衰には一定の法則性があり、

 この流れに逆らった再開発都市には生命力が宿らない。今日の大阪がなぜ衰退していったのか?解明が必要である。今回の「究極の規制緩和」とも言っても差し支えないフリーハンドの手法を導入することによって大阪市の活性化がどのように図られるかいうことの分析と解明が不可欠。巨大開発の行き着くところは何か?大阪市はすでに経験済みであるはず。集客都市構想に基づく巨大開発の実験はすべて失敗している。残ったのは過大な投資による不良債権のみ。市長は「もしやっていなかったらどうなっていたか」などと詭弁によって責任逃れをされているがその結果大阪市は年間予算を大きくうわまわる負債残高をかかえ、来年度は900億円の欠損、財政危機宣言を出さなければならない事態に陥っている。今回の提案はこの間やってきた巨大開発路線の焼き直しにしか見えない。まず、いままでの巨大開発路線の総括が必要だと思う。それ無しの「今度は民間主導で」という無定見な乱開発はもはや許されない。今日大阪が抱えている経済的な閉塞状態は、拠点開発、一点豪華主義的な投資のインパクトによって蘇生するというような単純な状態とは到底考えられない。このような事を続けていけば文明評論家のルイス・マンフオードが論じているように大阪は権益だけを求める人たちによってネクロポリス(死の町)と化してしまう。

 今回の提案の本音はゼネコンが最後の生き残り策として掲げている都心型高層住宅建設を容易にするための規制緩和そのもので動機不純である。大阪にこれ以上の土地高度利用によるオフィス、店舗、あるいは住宅が果たして必要なのか?もうすでに供給過剰となっており、近視眼的な目先の景気対策としての新たな開発もはや許されない。これ以上の規制緩和による乱開発は都市問題を深刻化させるだけであるとの反対理由を述べましたが議案は委員賛成多数で採択となりました。

 また同時に提案された「高速鉄道の変更(西大阪延進線)」については、地域住民の環境問題、災害の際の安全性、町の遮断など根強い反対の意向もあることから地下鉄化の可能性も含めて住民の意向を充分反映し、見切り発車とならないよう充分留意するよう求めました。