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条例制定は最低限他の政令都市並みの水準で

大阪市の日影規制の基本方針について、

計画消防委員会委員稲森豊議員に聞きました

稲森豊市会議員

2002年12月20日

1220日大阪市は日影規制の基本方針を発表しました。現在パブリックコメント制度に基づき市民から意見を求めており今年度中に日影規制の条例化を目指しています。

この問題について以前、日本共産党大阪市会議員団として日影条例を提案した稲森豊議員に聞きました。

 Q 今回の基本方針が出された経緯は何ですか?

 Aご承知のように建築基準法では日照を確保し住環境を守るため法第562において用途地域ごとに確保すべき日照時間を決めています。それに基づき具体的にどの地域に法を適用すべきかは各自治体において定めることになっています。ところが大阪市は独自の条例を定めず昭和544月以来、大阪府条例に準拠してきました。しかし大阪府条例による日影規制は住居系地域にとどまり規制の程度も緩いため、他の多くの政令指定都市では許可されないような建築が大阪では可能なため、東京や、名古屋、福岡などの宅建業者が大阪に進出し市内のあちこちで高層マンションなど中高層建築物による日照障害に関する係争事件が発生しています。

そのような状況を踏まえ現在の大阪市の実情にあった規制を新たに検討する必要性があるとして大阪市は今年8月大阪市建築審査会に日影規制のあり方について諮問を行い、1218日建築審査会より答申を受け今回の基本方針案をまとめたものです。

 Q基本方針の内容はどうなっていますか

A今まで大阪府条例によって定められていた住居系の地域における規制に加えて準工業地域が新たに規制の対象区域になりました。これは建築審査会の答申でも「宅地化が進み住居系土地利用へと転換が進んでいる地区については住環境整備のため規制が必要」と指摘されたことを受けたもので、評価できる内容だと思います。わが党として要求していたものです。ただ、「必ずしも住宅系地域と同程度とする必要は無い」として、日影の測定面を今までの地上4メートルから6.5メートルへと今年7月の建築基準法改定により規制緩和された数値を導入していることは問題です。なぜなら、国土交通省の見解によれば、新たな緩和策として6.5メートルの測定面を導入するのは、地域内の建築物の13階部分の大半が非住居用途であるような地域を想定したもので、果たして大阪市の準工業地域がそのような実態にあるか否かを検証する必要があります。そうでなければ1、2階部分の日照が確保されない住宅がたくさん取り残されることになりかねません。最初から緩和された数値をあてはめようとするのは日照より開発優先の姿勢といわねばなりません。基本的には他都市並みの測定面4メートルを採用すべきだと思います。

 Q今後条例化に向けて留意すべきことは何でしょうか・?

Aこの基本方針どおりの条例化では極めて不十分といわなければなりません。というのは他の政令指定都市と比べて日影規制がずいぶんと緩いからです。たとえば今回の案では大半の政令指定都市が実施している建築基準法5621でガイドラインとして示されている近隣商業地域(建築基準法では4乃至5時間以上の日影について規制を想定している)は規制対象からはずされています。また大阪市以上に土地の高度利用の行われている東京都や、あるいはお隣の神戸市、名古屋市、横浜などで日影規制がおこなわれている第1種、第2種住居地域、準住居地域における指定容積率300%の区域については大阪市は高度利用を理由に規制は慎重にということで日影規制からはずされています。1日中、日が当たらなくなるような大規模建築物についてのみ事前協議で努力義務を負わせるということを言っていますが強制力はありません。全国水準からみても大阪市の規制には抜け穴が多く、緩いことは一目瞭然です。政令都市の中で大阪市だけ日照が軽視されてよいという客観的な理由はないわけですから最低限、他の政令指定都市なみの規制条例とすべきだと思います。

 Q今後何をすべきでしょうか?

A私たち日本共産党市会議員団は引き続き実効ある条例策定に向けて議会内外で努力します。

今後大阪市はパブリックコメント制度を活用し来年1月15日まで広く市民の皆さんの意見を求め、それを参考にしながら条例案を作成するといっているわけですから、ぜひ積極的な意見を出していただき、それを審議する各会派の議員の皆さんにも働きかけていただくことが大切だと思います。