title

分譲マンションの適正な管理を推進するための陳情書」が審議

日本共産党は各委員会でその採択をもとめました

2004年1月28日

月28日に開かれた大阪市議会の常任委員会で、NPO法人関西分譲共同住宅管理組合協議会の佐藤隆夫世話人会代表から提出された「分譲マンションの適正な管理を推進するための陳情書」が審議されました。陳情者は、社会的資産という性格を持ったマンションへの公的支援が必要だと、八つの項目にわたる切実な要求をかかげています。

日本共産党は各委員会でその採択をもとめましたが、自民・民主・公明の与党は「持ち帰って審議」の態度をとりました。

財政総務委員会では、敷地内通路や一般に開放している集会所、公園などに対する固定資産税の軽減制度の拡充について審議され、稲森豊議員が採択を主張しました。

 稲森議員は、大阪市が分譲マンションの子どもの遊び場、集会所に固定資産税の一定の減免をおこなっているものの、面積を百平方メートル以上に限っていることを批判。市内ではすでに分譲マンションが大きな割合をしめ、大阪市もさらに建設を推進しているのは、公共性を認めているからであり、街づくりの大きな課題だと主張。陳情の採択を求めました。

なお、稲森議員の質問で、2002年度の減免の実績は、子どもの遊び場216件2千万円、集会所70件1500万円であることが明らかになりました。

民生保健委員会では、渡司考一議員が質疑しました。

 陳情書は、自分たちで管理するのは基本としつつ、社会的資産という性格を持ったマンションに対する公的支援も必要として、年一回義務付けられている受水槽や高架水槽の洗浄費用の一部助成や大阪市による無料の水質検査の実施、受水槽や高架水槽など給水設備の取替や補修の助成を求めています。

 渡司議員は、「受水槽の清掃料や検査料、揚水ポンプの分解修繕、ポンプ本体の取替、受水槽の塗装、メンテナンスなど分譲マンション居住者には戸建て住宅居住者にはない、水道水を得るためのコストがたくさんあり、それもふくめてリッターあたりにすると分譲マンション居住者は二倍の水道料金を払っていることになる」と指摘。市は、「個人の財産だから助成できない」ということであるが、公共性があるということで財政が厳しいという中で大阪市は、プレイロットや集会所の固定資産税の減免(財政局)、エレベーター内に防犯カメラを設置する際の補助金(住宅局)、水道メーターについての研究会を設けて検討している(水道局)とのべ、公的支援を求めました。

 土崎敏夫助役は、「不特定多数が入所する施設とは大きく異なり、修繕や改修は管理組合として自らの責任で負担で計画的におこなっていくものであると考えている」と答えました。

計画消防委員会では、北山良三議員が質疑しました。

 計画消防委員会では、@専門家による建物や設備の調査診断の費用を助成する制度(調査診断の一部助成制度)A共用部分の手すりの設置や敷地内の段差解消、点字ブロックの設置費用の補助制度Bエレベーター設置のための技術者派遣や設置費用の一部助成制度C集会所の新設、改修費用補助D防犯カメラの設置補助制度を地下駐車場などにも適用範囲の拡充を求めました。

 北山議員は、「マンションの管理の適正に関する法律」や「マンションの管理の適正化に関する指針」で「マンションは都心部を中心に持家として定着し、重要な居住形態となっている。今後、建築後相当の年数を経たマンションが急激に増大していくものと見込まれ適切な修繕がなされないままに放置されると、居住環境の低下、周辺の住環境や都市環境の低下など深刻な問題を引き起こす可能性がある」とされていることや、大阪市住宅審議会では大阪市における分譲マンションの建築時期別戸数について「築30年のマンションが約3・5%、築20年が約36%、10年後には築20年となるものが約7割近くになることが予測される」と指摘されていることを紹介。

北山議員は市内全体で約110万戸のうち約22万戸の分譲住宅は今後も増加傾向にある。分譲マンションは税負担、緑化、公園の設置などと共に合意に基づく共同決議が不可欠で、戸建住宅にない特殊性がある。分譲マンションの老朽化や居住者の高齢化が進む中、東京都・中央区や神戸市、浦安市で実施されているようなマンション居住者のニーズにマッチした施策を大阪市でも実施すべきだと主張しました。 

 建設港湾委員会では、排水管の埋設管取り替えの大阪市による実施を求める項目が審議され、石川かんじ議員が採択を主張し、質疑しました。

陳情者は、排水管の埋設管取り替えはマンション居住者の負担になっており、戸建て住宅にはないと公平な行政を要求しています。

 石川議員は、大阪市でも戸建て住宅の場合は、私道への公共下水道敷設事務の要項にもとづき、市による負担の道がひらかれていること、しかも、この要項は1997年に改定され、事業が拡充されていることを指摘。大阪市内ではすでに分譲マンションが20万戸をこし、大きな比重をしめるに至っており、公共インフラの確保、将来を見通した街づくりという大きな視点からマンションに光をあて、公平な下水道行政をすすめるべきだと強調しました。

 交通水道委員会では、小南かおる市議と矢達幸市議が採択を求めました。

 小南市議は、個人負担となっているマンションの水道メーターの取替えについて「正確性の確保から計量法で八年で取替えが義務づけられ、すでに横浜市など七政令都市では全ての共同住宅についてメーターの局管理・取替えが行われており、大阪市が一番遅れている。一戸建て住宅との公平性からも公的支援を行うべき」と強く要求しました。

 矢達市議は、直接給水方式への改造への補助金制度の創設を求め「良質、安全・安心おいしい水を供給するのは水道局の任務。特に問題になっている小規模マンションの水質確保について局が率先してやらなければならない」として、神戸市では既存のマンションを直接給水方式に改造する場合は、一戸あたり200万園までの融資制度が設けられていることも示して、その実現をせまりました。水道局は局内検討会で検討中としながら、財政事情等を理由として「私有財産であるから」とこれまでの答弁を述べるにとどまりました。