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阿倍野再開発事業、市長に再考を促す

計画消防委員会で稲森議員

稲森豊市会議員

2008年5月16日

日本共産党の稲森豊議員は、5月16日の大阪市会計画消防委員会において「阿倍野再開発地区D4−1棟建設計画案に関する陳情書」「阿倍野再開発事業『D4−1棟』建設計画における平松市長の大阪市都市景観条例違反ならびに市会計画消防委員会での虚偽答弁をはじめとする担当部局および担当職員の違法行為の是正・懲罰要求に関する陳情書」の採択を求め質疑と意見表明を行いました。

大阪市は、今回、阿倍野再開発地区D4−1棟の事業を、これ以上の事業遅延は許されないとして突然14階建て計画を27階建て超高層マンションへと変更し、近隣住民の合意なしに強行しようというのが最大の問題点です。

 

事業変更案は阿倍野再開発事業の整備目的や基本計画が目指している「快適な住空間の形成」に反する

もともとD4−1棟のC・D地区は、大阪市マスタープランや整備目的に掲げられているように、都市計画上は商業地域ですが、快適な住空間・住居系に準ずる地域として、日照も配慮されてきました。

稲森議員は、過去にシャルムが9階建て計画から14階建てに変更した時、住民説明会で阿倍野再開発事務所職員が「シャルムの東側をセットバックさせたのは周辺への日照に配慮したもの」と発言している議事録を示し確認を求めた結果、別所課長も「商業地域であるが日照に配慮してきた」と認めざるを得ませんでした。

 

他の公共事業に例を見ない環境無視の事業計画(保育所や周辺マンションへの日照障害)

あさひ保育園やセントレーベのベランダは、D4−1棟が建設されると、住宅系地域では2時間半以上の日照障害は許されないにも関わらず、5時間も日が当たらない事が明らかになりました。公立保育園や市営住宅では、このような酷いケースはありません。

担当課長は「あさひ保育園は6時間の日影になっていたが、今回の変更で5時間に改善された」と弁解。稲森議員は「元々の計画自体が問題。5時間の日照障害が快適な住空間、良好な環境と言えるのか」と、大阪市の非常識な主張を厳しく批判し、事業変更内容の見直しを求めました。

 

対策協議会や地元住民との合意抜きの見切り発車は不当

稲森議員は超高層マンションへの計画変更を対策協議会や地元住民に十分説明もせず、反対があるにもかかわらず、強行することは大阪市の掲げる「住民参加による街づくり」の方針に反するのではないかと質問。

担当課長は「必ずしも対策協議会の同意を得る必要が無い」と開き直りました。

 

超高層マンション建設強行は、阿倍野再開発事業の失敗を象徴する墓標になるであろう

稲森議員が「職員の不適正支出6億円については調査するが、阿倍野再開発2120億円以上の欠損を生んでいるにも係わらず、精査を求める陳情者の願いに答えようとしないのか。理解に苦しむ」と市長に答弁を求めました。

市長はこれらに対してまともに答えることなく「これ以上の事業の遅延は許されないのでこの案で進めて行きたい、事業の停滞は許すわけにはならない」と冷たい答弁。

稲森議員は、「『良好な住環境』という整備目的に沿って事業は、今まで順調に進められてきたが、最後のD4−1棟を27階建てにすることによって、大阪市は自らの手でそれを壊すことになる。また住民を敵に回して何が事業の成功と言えるのか。このような建築計画の常識からもはずれ、不調和な建物をなぜ建てたのかと人に問われたらどう答えるのか。27階建ては阿倍野再開発事業の失敗を象徴する墓標となるであろう」と市長に再考を促し、質問を終わりました。

採決の結果、日本共産党は採択を主張、公明は引き続き審査、自民、民主は不採択と主張しました。委員長はそれぞれの態度が過半数に達しないため、委員会として結論に至らないので、 「本日は採択をおこなわない」と表明しました。