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決算特別委員会で稲森議員が

阿倍野再開発事業多額の収支不足に至る数々の疑惑を暴露

要因と責任の所在解明、D4−1棟の事業計画変更を迫る

稲森豊市会議員

2008年12月12日

12月12日、大阪市会決算特別委員会が開かれ、日本共産党の稲森豊議員が、阿倍野再開発事業について平松市長の見解をただしました。

阿倍野再開発事業について、都市整備局は当初計画より保留床価格の下落や金利負担の増加などで約1500億円、道路用地買収費の上昇で約600億円、総額2100億円を超える収支不足を生じる見込みであると説明していますが、このような簡単な説明で今後20数年にわたって2100億円以上もの大赤字を押付けられる市民は、たまったものではありません。

稲森議員は、なぜこのような多額な収支不足になったのか、詳細な要因の解明と責任の所在を明らかにすべきだと質問しました。

都市整備局阿倍野開発事務所の別所経営担当課長は「事業施行期間中にバブル経済の影響で事業費が膨らみ、バブル経済の崩壊で保留床価格が大幅に下落して、コストを回収できなくなった。対象地区が大規模で、権利者が多く、事業が長期化した結果、起債の金利が増加した」との答弁に留まりました。

平成17年2月の大阪市包括外部監査人報告は「開発期間は18年延長、事業総額で約4950億円の増額が行われている。これまでの事業計画の変更にあたって、なぜ公共施設本工事の未整備及び施設建築物の未着工が生じているのか、遅れているのか。また、なぜ用地費や補償費を増額しなければならないのか、具体的に一切記載されていない。あわせて資金計画も大幅に変更されているけれども、項目別の総額が示されているだけで、その理由や金額の根拠が全く不明である」と赤字の原因についての説明が、されてないことを指摘しています。

稲森議員は、ベルタ分譲時の不正入居問題や補助金の不正受け入れ、不動産売買時の土地転がし疑惑など未解明な事項が多々あることを列挙し、2120億円もの巨額の収支不足の説明責任が果たされていないと厳しく批判しました。

また事業担当部局である都市整備局は、最後の住宅棟であるD4-1棟のマンション建設について、11階建ての当初計画を早期事業収束など理由に、地元合意無しに特定建築者制度を導入し高層27階建てに変更しました。

しかし、土地売却価格が相続税路線価の約4割で折り合いがつかず、今回契約が不調になり、景気悪化の下、工事着工のめどが立たなくなっています。

稲森議員は、この際、先行き不透明な特定建設によるマンション建設はやめて、地元の皆さんが望まれる計画に変更し、早急に事業の収束を図るべきではないかと平松市長に見解を質しました。

平松市長は「D4-1が今回入札不調になったことについては、残念だが多くの時間を費やし、意見を頂戴しながら進めてきたその方向性について、私は間違っているとは思っていない。今後、時間がかかるかもしれないが、きちんとレールに乗った動きにしてまいりたい」と答弁。

稲森議員は、一刻も早く事業を収束させるためと言って、地元の反対を押し切って特定建設による超高層マンション建設を選択し、それがうまく行かなくなり、加えてD4−1棟に入居すべき地権者が居なくなり、権利床としてのマンション建設の必要性が消滅したのにもかかわらず、今度は時間がかかるかも知れないがと、あくまでもマンション建設にこだわるのは、特建事業者の利益を擁護する以外の何物でもなく、到底市民の理解は得られない。今こそ、大阪市にとって一番負担が少ない、地元にも喜ばれ、開発事業の目的にも合致する、例えば都市公園や運動競技場、公営住宅の建設などの事業計画に変換し、事業の早期収束をはかるべきだと強く求めました。

これに対して都市整備局阿倍野再開発事務所の小田事業担当課長は「事業計画は妥当であり、建築費が下がれば公募は成立すると考えているので、現在の計画で再公募し平成23年度中の完成を目指したい」とあくまでも特建事業にこだわる答弁をしました。

稲森議員は、今の経済情勢は数年間でよくなると言う様なそんな楽観は許されない。リスクは避けるべきである、このような無謀な計画を進める阿倍野再開発事業にかかわる決算は認定できないと主張しました。