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大阪駅北地区開発事業の

環境影響について江川議員が質疑

江川繁市会議員

2008年12月17日

 日本共産党の江川しげる大阪市会議員は、12月17日に開かれた環境対策特別委員会で大阪駅北地区先行開発区域A・B地区開発事業に係る環境影響について質疑しました。

 大阪駅北地区の開発事業は、「賑わいや交流のある世界に開かれた大阪にふさわしい玄関口(A地区)」、「未来生活の創造・受発信を行う知的創造拠点(ナレッジ・キャピタル)を形成する(B地区)」等を目的に、A地区は延べ面積189,600u、高さ180b、B地区は延べ面積300,000u、高さ180b(南高層棟)と170b(北高層棟)のビルが建設される大規模建設事業です。

 江川議員は、大阪駅前や中之島等では2015年までに20棟のビルが新たに建設され、100b以上の高層ビルが55棟になるなど高層ビルの乱立が予測される。景観の問題やCO2、大気汚染の問題、車の渋滞など市民に対する環境負荷がさらに大きくなると指摘し、大規模建設事業を野放しにしている大阪市を批判しました。

 また、江川議員は、環境モデル都市にも選定された富山市で11月に開催された、「アジア型環境モデル都市を考えるシンポジウム」においてコーディネーターを務めた尾島俊雄氏の講演や宇都宮深志・田中充編著の「自治体環境行政の最前線」なども例にしながら、ニューヨークやドイツのフライブルク、ロンドンなど環境国際都市での高層ビルの規制や交通渋滞を避ける取組等を紹介し、大阪市が国際都市、環境先進都市として発展していくには世界の流れに学ぶ視点が必要だと指摘しました。

 続いて江川議員は、具体的な問題でA・B地区の駐車場がそれぞれ500台、700台と合わせて1,200台増えることによっておきる交通渋滞の問題や二酸化炭素等の排出量の状況等について質しました。

 環境局は、交通渋滞の影響について沿道で予測した結果、二酸化窒素及び浮遊粒子物質は環境基準値を下回ったと答え、二酸化炭素等の排出量については抑制策を講じる必要があると専門委員会からも指摘されていると答えました。

 環境影響を検討した大阪市の報告書によると、A・B地区合わせて施設からの二酸化炭素の排出量を基準ケースで算定すれば年間75,000dの増加となります。しかし、事業者が排出抑制策等を行うことによって年間64,000dの増加にとどまると評価しています。

 江川議員は、経済学でいう合成の誤謬ではないが、たとえ1つ1つの事業が基準値をクリアしてセーフだとしても、それらが相合わさると大問題になると指摘しました。具体的には、大阪市全体の業務部門の二酸化炭素の排出量は年間600万dにも及ぶ中で、大規模開発事業がさらに二酸化炭素や交通渋滞による大気汚染の増加を加速することになると質し事業の再検討を求めました。

 江川議員は、緑の確保の問題や風害 、ヒートアイランドや日照権、景観、耐震問題等いろいろな懸念がある中で、環境アセスメント(環境影響評価)が本来の役割を果たすことが求められており、大阪市は指導性を発揮するとともに抜本的な環境を守る対策が必要だと強く要請しました。