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精神保健福祉法「改正」法案に反対する意見書

提出を求める陳情書の採択を求める

尾上康雄市会議員

2017年5月19日

 日本共産党の尾上康雄議員は、5月19日の民生保健委員会で陳情について意見表明を行いました。

 (要旨) 

 陳情第38号、精神保健福祉法「改正」法案に反対する意見書提出を求める陳情書について意見表明を行います。写真

 この精神障害者及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案は、今年2月に閣議決定され、その後、4月、5月と参議院の厚生労働委員会で審議されていました。先日、委員会で可決されましたが、日本共産党、民進党、社民党が反対しております。

 ご存じのように、この法改正を閣議決定した経過は、政府が、相模原市の障がい者施設での殺傷事件の容疑者に措置入院があったことを受けて、「再発防止検討チーム」を発足。改定案には、事件を受けて犯罪の再発防止ということで、措置入院の見直しや退院後の支援、警察への情報提供が盛りこまれました。

 ところが、参議院で審議途中に、改正趣旨を変更するという前代未聞の事態がおこりました。厚労大臣が、「相模原事件と同様の事件が2度と発生しないよう法整備を行う」とした改定趣旨の文章を削除するということを行い、審議途中で突如説明を変えました。

 相模原事件は精神障害者による犯罪だという立法事実が崩れるなかで、事件の再発防止という改定趣旨を変更せざるを得なかったというのが実態です。

 しかしながら、説明は変わっても、盛り込まれた内容は、事件の再発防止策であり、法をねじ曲げる法案は本来は撤回すべきです。

 この法「改正」の問題点は、措置入院者に限り退院後の支援計画の策定を自治体に義務づけることで、公務員に対し、措置入院の患者の規制薬物使用の告発など、情報提供を警察に行う仕組みを新たに設けることです。転居先の自治体にまでその情報は引き継がれることになり、精神障がい者を監視する体制を整備するというものです。警察に精神障害者の情報を提供する仕組みをつくるもので、人権侵害につながるおそれがあるという問題です。

 また、退院後の支援計画は、本人がいらないと言っても自治体に策定が義務付けられているため必ず策定されることになります。本人に従う義務はないとしていますが、当事者の思いより、計画策定が優先されることは明らかで、精神障がい者の権利擁護の視点が欠落していることも重大な問題です。

 日本の精神医療については、国連からも非人道性などが指摘され是正勧告が出されており、政府の姿勢が問われているところです。

そもそも、精神保健福祉法は、障がい者の社会復帰の促進、自立、社会経済活動への参加の促進に必要な援助を行い、精神障がい者の福祉増進、国民の精神保健の向上を図ることを目的としており、この法の目的が損なわれる恐れのある今回の法改正は断じて反対だと表明し、陳情書の採択を求めます。

(2017年5月19日)