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大阪市議会特別委員会

都構想効果わずか9億円余

山中市議が試算“市民騙す暴走許せぬ”

山中智子市会議員

2013年10月11日

 橋下・維新の会が「大阪都」構想の制度設計案で最大976億円としている「財政効果」が、実は9億4千万円程度でしかないことが明らかになりました。11日の大阪市議会大都市・税財政制度特別委員会で、日本共産党の山中智子議員が試算結果を基に質問。「市民をだまして(「都」構想に)突っ走るのは許せない」と追及しました。

橋下・維新の会の大うそ追及

 地下鉄の民営化や市民いじめで

 同委員会では8月の大阪府・大阪市特別区設置協議会で示された制度設計案を審議。山中議員は、「『都』構想のうたい文句は、府市の二重行政をやめれば4千億円生まれ、暮らしが良くなるというものだったが、本当の『効果』はどれか」と切り出しました。

 制度設計案の「効果」額のほとんどは、地下鉄などの民営化(275億円)や「市政改革プラン」に基づく敬老パス有料化などの市民サービス切り捨て(237億円)など、「府市再編」と無関係なものです。

 山中議員は、府市の施設・事業を統合した純粋の削減額は、病院再編(府市で6億2千万円)大阪市信用保証協会の廃止(1億2千万円)など計9億4千万円と指摘。「これらの再編に賛成しないが、『二重行政解消』で9億円台。市民をだますものだ」と主張しました。

 「あとは野となれ山となれ」で

 山中議員は、制度設計案は大阪市を解体して設置する特別区には1132億円の裁量経費が生じるとしているが、その中には借金返済のための公債費などが含まれており、「現在の事業を継続しようと思えば、財政的な余地はない」と強調。

 特別区の財政危機を想定した貸し付け制度を設けようとしていることについて、大都市局は「一定期間、財政運営をサポートする」と説明。山中議員は「お金が浮いて、住民が施策を選択して地域が良くなるなどというのは絵空事だ」と批判しました。

 特別区間に分割される未利用地などの普通財産は、最大628億円から最少19億円と大きな差がある中で、山中議員は「(財源対策で)売るべき普通財産もない区はどうすればいいのか」と追及。大都市局が「特別区の財政は区長マネジメントの下で運営される」と答えたのに対し、「あとは野となれ山となれという答弁だ」と反論しました。

 特別区の区役所には2千億円も

 制度設計案では、特別区では新庁舎を建てずに既存の区役所を「活用」し、不足分は民間ビルを賃借するとしています。山中議員は、区によっては小学校3校分の面積の民間ビルを借りなければならず、庁舎が分散すれば住民は混乱すると述べ、「そんな自治体はあり得ない」と力説しました。

 さらに制度設計案が特別区設置のコストを最大640億円としていることについて山中議員は、最近の区役所建て替え単価を基に特別区の新庁舎建設で新たに1271億円かかり、システム改修などを合わせると最大で1939億円の初期投資が必要になるとの試算も提示。「一人前の自治体としてスタートを切ろうと思えば2千億円もいる」としました。

 また山中議員は、国民健康保険、介護保険など78もの事業を特別区ではなく、一部事務組合で処理すれば「住民に身近なことが遠ざかってしまう」と批判。「デメリットしかない『都』構想は撤回し、市民の暮らしを良くすることを考える大阪市と市議会になろう」と締めくくりました。

(2013年10月20日付大阪民主新報)