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2014年11月6日

決算特別委員会における井上議員の

「こども教育予算」についての質疑

井上ひろし市会議員

2014年11月6日

※11月6日の井上浩市議の市議会決算特別委員会での質疑から、橋下市長のいう「子ども教育予算」のまやかしについて追及した部分のやり取りを紹介します。(これは正式の議事録ではなく事務局で独自に書き起こしたものです)


井上浩市議

 次に現役世代への重点投資について質問したいと思います。委員長、資料配布をお願いします。お配りしております資料●資料●の棒グラフの下の図の見方について、お聞きしたいと思います。この水準、多少の波はありますけれども、ほぼ横ばい、そんな大きな波はないかと思いますけれども、こういう認識でよろしいでしょうか。

 

財政局財務部・佐藤財務課長

 下の折れ線グラフ、棒グラフですが、こども青少年費、教育費についてですが、資料の各年度の係数は、各年度の当初予算ベースの係数をひろっていただいているかと思いますが、24年度以降は緩やかに増加となっていますが、23年度から24年度は減となっておりまして、その要因ですが、23年度の係数において、教育費の中に24年度以降は、別項目として整理されている大学に関する経費があることから、大学に関する経費を控除いたしますと、資料に書かれています23年度の係数2667億円が2524億円、歳出総額に占める割合15.5%が14.7%になります。また、24年度は国の制度である児童手当・子ども手当の関係で23年度に比べますと約120億円ほど減になっていることも原因と考えております。

 

井上市議

 23年度の予算資料には、大学の運営予算も教育予算の中に入っていますので、それでいっしょにこういうグラフにさせていただいたのですが、今のご答弁にありましたように2524億円ということで、26年度に比べればわずかに下がるということです。しかし、水準としては横ばいといいますか、そういう状況になっているということであります。

 この間、市政改革プラン等によってさまざまな市民施策、事業の見直しが行われたわけですが、全体のいわゆる当局のいう見直し効果額と、その中の、こども青少年費、そして教育費の効果額についてお答えください。全体のもあわせてお願いします。

 

市政改革室・松井事業再構築担当課長

 市政改革プランにおきまして、施策・事業の聖域なきゼロベースの見直しと再構築の対象とし、削減効果額を見込んでおりました一般会計における一般財源ベースで1億円以上の施策や事業に対する平成26年度の削減効果は211億1800万円と見込んでおります。

 このうち、こども青少年局、教育委員会に関するものにつきましては、1歳児保育特別対策の見直しや、弁天町、城北市民学習センターの廃止など総じて28億8700万円の削減効果額を見込んでいるところです。

 

井上市議

 相当な削減をやったわけですが、資料の上のグラフは予算資料の中に出てくるグラフです。26年度予算についてというなかに出てきます。この上のグラフは、これだけ、いまご答弁にあったようなさまざまな事業についての見直しを図って再構築をした結果だと認識してよろしいでしょうか。

 

政策企画室企画部・大西政策企画担当課長

 厳しい財政状況の中、市政改革プランにおける施策・事業の見直し・再構築による削減額を含めまして、いっそうの選択と集中を全市的に進め、予算編成全体において産み出された財源を効果的に活用して活力ある大阪の実現にむけた現役世代への重点投資を行っているところです。

 

井上市議

 この市政改革プランなどで、さまざまな市民の大切な施策を削って市長のいわゆる肝いり政策といわれるところに投入したと言えると思います。10月25日に橋下市長がタウンミーティングでこんなことを言っているんですね。「大阪の現役世代の重点投資。もう大阪都構想というものは維新の会でいまどんどん進めていますから例えばこれをみてください、平松さんのときにはたった教育予算67億円、たった67億円、ところが維新の会、もう大阪府と大阪市が一体となっていま政策をすすめています。教育予算は370億円、その額にして6倍です。そこまでもう増やしています」。

こういうふうに教育予算だと言っているんですね。これは25日のタウンミーティングだけではなくて、同様の趣旨であちこちでこうった演説をされているという状況であります。

 一般質問のとき私がこの問題を市長に質問しましたら、市長はこれについて「今回は、重点投資として新しい施策を展開した、特に議会からの要望の高かったものをしっかりと展開したということを示したまでです」と10月23日にはおっしゃりながら、25日には、そういう施策の積み上げではなく、教育予算だと、教育予算を増やしたんだと、こういう表現をされているわけです。

つまりこのグラフというのは、「子ども教育予算」がこういう推移していると思わせるようなグラフなんですね。ご覧いただければわかるように、なんの但し書きもない、どの事業が増えてこうなったのかという、あるいは、どの事業が削られてこうなったのかという、そういうことが何も書かれていない、「都」構想の効果額のグラフと同じじゃないかと思います。

 委員長、資料の裏面●資料●なんですけれども、再構築した事業の中身についてでありますが、この中で地方交付税措置されている事業はどれか、それぞれの基準財政需要額とあわせてお答えください。

 

財政局・佐藤・財務課長

 総務相の資料により措置されていると考えられる基準財政需要額についてですが、表の上から7段目の、妊婦健康診査、こちらが32億7700万円、3段下の中学校給食の実施、こちらで12億円です。また、その下の小中学校の普通教室への空調機設置については事業費に対する起債額について後年度で元利償還金で交付税措置が一定される、ということになっています。

 

井上市議

 先日、本委員会で市長は妊婦検診にも22億円もつぎ込んでいるんですよということをおっしゃっていましたけれども、基準財政需要額32億円と、これだけ交付税措置されているということであります。妊婦検診、給食、クーラーは、交付税措置の対象だということであります。

 低年齢児保育実施保育所看護師雇用経費助成なんですが、これは市政改革プランのもと、保育所関連の施策事業の見直しを進め1歳児の保育士配置基準を国基準並みに切り下げた。この配置基準を定める条例を議会で議決するさいに、児童の安全確保を求める付帯決議が付されて、1歳児保育特別対策事業の廃止と同時に、平成25年度から低年齢児保育を実施している保育所に看護師または保健師の雇用経費を助成する事業として開始されました。

この看護師雇用助成事業は「現役世代への重点投資」の施策として位置付けられておりますが、平成25年度の当初目標数と実績はどうなっているでしょうか。

 

こども青少年局・工藤保育企画課長

 本市では厳しい財政状況の中、限られた財源を、待機児童対策を初めとした子育て施策の充実に活用するため平成25年度から1歳児の保育士配置基準について「児童5人につき1人」としていた基準を、国と同等の「児童6人に1人」の配置とすることといたしました。

この保育士配置基準を定める大阪市児童福祉施設の設備および運営に関する基準を定める条例を市会で議決いただいたさいに、保育を受ける児童の健やかな成長と安全の確保を最優先に取り組むことが付帯決議されたことから、平成25年度から低年齢児保育を実施する保育所に看護師雇用経費を助成しているところです。

本助成事業は乳児が9人以上入所する保育所を対象としておりまして、平成25年度は対象施設数を100カ所と見込んでいましたが実績がありましたのは16カ所となっているところです。

 

井上市議

 100カ所にたいして16カ所ということであります。当初の目標に対して実績が二割にも達していないんですね。当初予算2億1500万円に対して決算額は2200万円ということで予算と決算の乖離がはなはだしいという状況です。

現役世代への重点投資と位置付けているにもかかわらず実効があがっていない。これは保育士の配置基準「5対1」にもどすべきだということをあらためて申しあげておきたい。保育所なんですから、保育士さんが必要なんですよ。それは、看護師さんもいればそれにこしたことないですけれども、まず保育士さんですよ。当たり前の話です。ですから「5対1」の事業に戻すべきだというその必要性がこの数字にも表れていると思います。

 塾代助成についてなんですが、この事業をわれわれは全面否定はいたしませんが、いま教員が不足しているというようなことがありますし、教員の確保とか、公教育の充実こそ優先するべきだと申しあげておきたいと思います。

 ICTなんですが、平成24年7月の文教経済委員会で私これを質問させていただいているのですが、学校維持運営費で以前にパソコンを購入したことをお聞きしましたが、平成18年度から平成22年度までの5カ年で何台のパソコンを購入したでしょうか。

 

教育委員会事務局・山本給与システム担当課長

 学校維持運営で購入いたしましたパソコンですけれども、耐用年数経過などにより使用できなくなったものにつきましては、随時廃棄処分を行っており、現在約2400台保有しています。

 

井上市議

 それだけのパソコンがあって、またICTでさらにパソコンを導入してということですね。私この文教経済委員会でも申しあげたんですけれども、校務支援事業の趣旨は理解はしますけれども、優先課題としてどうなんですかと。パソコンのネットワークよりも人のネットワークが求められているんじゃないですか。パソコンの数より人の数がいま足りないんじゃないんでしょうか。ですからそういう点では重点施策といってパソコン、パソコンといって相当な金額ですが、これはあまりにも優先順位が違いすぎるということも申しあげておきたい。

 これらの事業をみると非常に目立つ施策、バウチャーとか、クーポン券を配るわけですよね、非常に派手派手しいといいますか、目立つ施策ですね。相当インパクトが強い施策。しかし事業はいろいろあります。地味な施策もある。

私は乳児院の問題でも以前に質疑をさせていただいたことがありますが、なんで幼児虐待が増え続けるこの時代に乳児院の予算を、補助金を削るんだという議論をさせていただいたことがありますが、社会の最底辺を支えている予算ですよ。派手な事業じゃないですよ、地味な事業ですよ、そういうところはどんどんどんどん、まさに重箱のすみをつつくように削って削って削ってかきあつめてバウチャーだ、パソコンだ、こういうところに重点投資しているというのがこのグラフではないかと思います。

 ですから、やっぱりいろんな事業があるわけでして、もうたくさんの人が泣いているわけですよね、削減されて。それを重点投資だと、市長の肝いり施策だと積み上げてこういうグラフができたということを申しあげていきたい。

 こういう資料を、どの事業を積み上げて、こういう推移になったのかが、まったく書かれていないということを申し上げました。これは市長が誰であれ、どんな人が市長になろうが、こんな不正確な資料はつくってはあかんと思うんです。まして、市長はこれを材料に、教育予算を増やしました、教育予算を増やしましたと、やっているわけでしょう。「重点政策を積み上げました」でしょ、正確には。こういう資料はおかしいと思いますし、改善すべきだと思うがいかがですか。

 

政策企画室・大西課長

 委員お示しの棒グラフにつきましては、委員お示しいただきました資料の「現役世代への重点投資」の数字を掲載させていただいておりまして、新規あるいは拡充して重点的に取り組みを進めております事業の事業費推移を簡潔に棒グラフに示したものです。今後とも資料作成にあたりましてはより市民の皆さまがわかりやすいものとなるよう努めてまいりたいと思います。

 

井上市議

 いや、わかりやすく努めるのは当然のことなんですけれども、誤解を招いていますよということを申しあげているんです。もうぜんぜん、そういう事業の積み上げだというふうには、具体の事業の中身が書かれていないわけですから、これは不正確だ、改善を速やかにはかっていただきたい、ということを申しあげておきたいと思います。