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第21回法定協での

「協定書案」採決に対する山中議員の発言

山中智子市会議員

2015年1月13日

まず、今回のやり方、手法について申し上げます。12月30日の法定協議会では、まるでどさくさ紛れのようにして、市会と府議会で否決された「協定書案」をそのままとりまとめるとの採決をしたわけですが、これは、民主主義を踏みにじるものであると同時に、特別区設置法に照らしても、暴挙としかいいようがないと思います。

言うまでもなく、特別区設置法では、住民投票にかけるには、議会での、協定書の承認を必要としています。第6条にうたわれている通りです。

ですから、いったん議会で否決され、存在しなくなったはずの協定書を、ほぼ無修正で、再度提案することは、この法の趣旨を真っ向から踏みにじっている。いわば、「闇とりひき」という裏ワザを使って見かけだけのものにしてしまい、事実上、議会の承認という段階を、消し去ったに等しいと思います。かぎりなく脱法的な手段だと言わざるを得ません。

私たちは、否決された以上、キッパリ断念すべきだと思いますが、あくまで大阪市解体、特別区設置にこだわるのであれば、今回のように、住民投票ありき、日程ありきではなく、もう一度、一から議論を尽くし、新たな協定書を練り上げるのが本当だと思います。 

にもかかわらず、市長などは、どうしても、この協定書案で住民投票に持ち込みたい、ということのようですが、本当になりふりかまわないといった格好であり、このようなやり方では、後ろめたすぎるのではないでしょうか。

公明党の皆さんも、協定書は反対、されど住民投票はやむなし、賛成。また住民投票になれば反対する。こういう大変に矛盾したことを表明せざるを得なくなっています。ああ、結局、裏取引があったのではないか、とかいろいろ言われることになるのはいかがなものか、と思いますし、

何より、こんな大事なことが、闇とりひき、密室談合という最悪の形で決まり、何が起きたのか真相がわからないなんていう状況は、市民の皆さんにとっても到底、承服できない、あってはならないことです。

また、常々、情報公開だ、フルオープンだ、とおっしゃっている橋下市長がとるにふさわしい手法とも思えません。

そんな手法ではなく、4月には地方選挙があるわけですから、そこで、正々堂々、論戦を闘わせて、両議会で、維新の会、が文字通り過半数を制してから、議決なりなんなりされたらいかがかと思います。 

手法について申し上げましたが、否決された協定書は、内容的にも看過できません。

何よりも、特別区は、住民サービスを、良くするどころか、悪くせざるを得ないことは火を見るよりも明らかです。もともと、都構想で4000億円浮く、住民サービスを良くする、といううたい文句でしたが、浮くお金なんてほとんどないということは明らかなっています。それどころか、立ち上げの際、庁舎建設などで600億円もの初期コストが必要であることや、事務費等のランニングコストの増加により、恣意的に職員数をカットした大都市局のシミレーションでも、特別区を合計すると5年間で1071億円もの収支不足となる。土地という土地を売却し、財政調整基金も概ね取り崩し、新たな借金までしたうえに、府からの貸し付けまで受けざるを得ない、という惨憺たる有り様です。

市長自身が、「効果額の議論なんて意味がない」「住民サービスを良くするとかいうものじゃない」と、はっきりおっしゃっていますね。 

同時に、特別区が、自立できない半人前の自治体に成り下がってしまう、ということです。財源、権限、財産を取り上げられるうえに、埋めがたいほどの財政格差ができてしまい、無理やり、その差を埋めるための財政調整をしなければなりません。歳入が多くて、財源をもっていかれる特別区からは不満がでるし、歳入の少ないところは肩身の狭い思いをしなければならない。どちらにとっても、自立した自治体とは、とても言えません。100を超える事務を担うというとんでもない一部事務組合が必要となることも、しかりです。もろもろ自立した自治体とはいいがたいからこそ、東京23区では「都区制度」の廃止を求める声が澎湃として起こっていりことは衆知の通りです。明治22年以来の大阪市をつぶし、こんな特別区に分割するなど、到底、認められません。 

そのうえ、庁舎建設が必要とされている「東区」「中央区」「南区」について、いったいどこへ建設するのか、そんな土地があるのか、まったくメドが立っていません。この間の議論でもリサーチすらしていないと答えておられます。肝心なことがサッパリわからない。これでどうして住民投票だ、住民への説明だなんてことがいえるのか、あまりにも無責任であり、乱暴であると思います。市長はあちこちで「車を買う時にエンジンの仕組みなんて知らなくていい」とおっしゃったそうですが、まさにその言葉通り、白紙委任を求めるのに等しいものです。 

このように、徹底的に大阪市をつぶすことを主な目的にしながら、その一方で、私たちはまやかしに過ぎないと思っていますが、「広域行政の一元化」ということもさかんに言われています。

大学、高校、病院、大阪城、鶴見緑地など大規模公園、動物園、長居競技場、美術館、博物館、港湾、消防、下水、バス、地下鉄などなどを、府に移管するとされているわけですが、こんなことをして、どうして、大阪経済が活性化するのか、さっぱり説明がつきません。

市長や維新の会は、カジノの夢洲への誘致や、なにわ筋線の鉄道建設などをよく口にされますが、もとより、これで大阪の経済が良くなるとは思えませんし、これしかない、というのであれば、市民にとってまことに寂しい限りだと思います。

いつかきた道を繰り返すだけのことだと思いますが、またぞろ、このようなムダな大型開発を、本気で考えておられるように見受けられます。そうなると、その財源づくりのために、市から移管した施設などを、統廃合したり、売却したりというようなことを目論んでいるのではないか、と心配する、危惧する声が出るのも、無理のないことだと思います。

いずれにしましても、大阪市の解体、特別区設置にしても、カッコつき広域行政の一元化にしても、大阪都構想、いや府構想なるものは、市民にとって、まったくプラスにならないものだと申し上げておきます。 

最後に、この協定書案は、もともと、維新の会以外の委員を一方的に排除するなど、違法・脱法を積み重ねて作成したものであり、両議会で無効の決議が上げられたものです。それでも、両議会に上程されて以降、委員会・本会議などで真摯に議論して、あらためて、市民にとって百害あって一利なし、ということを明確にした上で、両議会が否決という判断をしたものです。それを、闇とりひきでよみがえらせて、賛否を問う、などということは断じて認められない、ということを重ねて申しあげ、発言を終わります。