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第7回法定協議会での山中議員の意見表明(要旨) |
山中智子市会議員 2018年1月30日 |
第7回法定協議会での山中議員の意見表明(要旨)
これまでの質疑等を踏まえて、日本共産党の意見を述べさせていただきます。発言の骨子を提出していますので、ご参照していただけたらと思います。
1.大阪市廃止・特別区設置は何を意味するのか まず、都構想、特別区の素案の意味するものは、言うまでもありませんが130年もの歴史を持つ政令市・大阪市を廃止し、これまでの広域行政に加え、旧大阪市域内に関してだけは市町村の責任である消防など一部基礎自治体としの役割まで担うという“大大阪府”を立ち上げるということです。 早くから都区制度の必要性を提唱し、東京特別区の自治権拡充運動に理解を示しておられた鈴木俊一元東京都知事は、副知事だった1965年ですけれども、「東京の抱える問題を困難にしている原因は『都の二重性格』だ。市の性格も併せ持つことだ」と指摘されるとともに、「大阪の府と市の関係が望ましい」と言われていますけれども、そういう“大大阪府”をつくる。 そしてその一方で、権限も財源も、一般市町村にも遠く及ばない半人前の自治体である4〜6の特別区に分割するというもので、地方分権の流れに逆行する時代遅れ、時代錯誤の最悪の制度いじりだと最初に申し上げておきます。
2.「“広域機能”の一元化」と「大阪の成長」に因果関係はない そして、この最悪の統治機構の改変によって、大阪経済が大きく前進するかのように素案でもうたわれていますし、これが最大の眼目でもあるというふうにされているわけですけれども、これは元より何の根拠もありません。いわゆる「広域機能」を一元化しても、広域インフラが進むわけでもないし、大阪の成長が図られるものでもないことは、この間、申し上げてきたとおりです。 何か知事と市長が同じ方向を向かなきゃならない、向かなきゃならない、とおっしゃいますけれども、問題はそういうことではなくって、何をするかです。大阪の成長にとっては制度いじりではなく、何よりも政策の中身が問題であり、私たちは、インバウンドなど外需頼みではなく、中小企業対策や賃上げ、社会保障の充実などで市民や働く人の懐をあたためて、家計消費など内需を拡大する政策こそ必要だと考えています。 それで、今、知事と市長が同じ方向を向いて、何をしようとしているのか。つまるところ、カジノ・IRです。ギャンブル依存症問題がいっそう深刻になることは間違いないし、何より損をするのは大阪周辺の一般市民であり、利益を上げるのはカジノ資本です。これでは大阪の経済は良くならないし、府民の多数も反対しています。去年11月の読売新聞の調査では、賛成が33%、反対が52%など、どの調査をとっても反対が多いわけです。府民の賛同を得られない政策では、指揮官が1人だろうが2人だろうが関係ないし、良い結果も得られるはずはありません。同時に、1人の指揮官になれば何でも出来ると考えるのは大きな間違いで、二元代表制の下、議会の意思というものも当然あるということも申し上げておきます。
3.「特別区設置」で「基礎自治機能」の充実はまやかし 次に、素案の総論で、特別区設置の意義としてあげられている、基礎自治機能の充実についてです。この点では、市長は常々、270万人自治体を1人の市長がマネジメントすることには限界があると言われていますが、それを聞くたびに、いったい、区長や局長など所属長や幹部職員等を信頼していないのかと思います。さきの総選挙の際、テレビ討論で、日本維新の会の幹事長さんが、東京都の知事が国政政党の代表を兼ねることについて意見を聞かれて、「まったく問題ない。首長というのは大きな方向性を出せばいい。具体的なことは職員がやるんだ」というようなことをおっしゃっていて、面白く聞かせていただきました。首長と国政政党の代表の兼務の是非はともかくとして、その点は一理あると思いました。人口が多いからといって、分割すれば目が届きやすくなる可能性はあるかもしれませんが、80万や40万で1人の首長でマネジメントできるはずはありません。まして政令市の廃止・分割は、それ以上に失うものがはるかに大きいわけです。戦後、あまた合併はあるけれども、分割は皆無たるゆえんです。ニアイズベターのためには、区政会議を地方自治法にもとづくものに発展させるなど、住民の声が届き、住民が積極的に市政に参画できるよう、大都市における自治の仕組みづくりに全力をつくすことが至当であると考えます。 ともかく、特別区は財源においても権限においても、半人前の自治体である上に、イニシャルコスト、ランニングコスト等、膨大なコストを要する、さらに、立ち上げに3年〜7年も必要とするなど、気の遠くなるような話で、職員の労力といい、何よりも市民の負担といい、まさに壮大な浪費であることは明らかです。そうして大騒ぎしてつくられる特別区たるや、市民サービスは悪くなりこそすれ、良くなる道理はありません。特に6区案では赤字続きで、財政調整基金も遠からず底をつき、未利用地売却に頼らざるを得なくなりますが、その未利用地とて、売りにくいものが残っているのが現実で、結局、住民施策に大ナタを振るわざるを得ないことは、火を見るよりも明らかです。 それでは4区案はといえば、A案第1区85万人、第3区でも70万人と、政令市並みで、いわゆる人口規模にこだわった皆さん方の“ニアイズベター”、これも看板倒れ。いまバージョンアップというのぼりまで作って街頭でやっておられるようですが、バージョンアップどころか、前回否決された5区案と比べても、なお悪いもので、結局、大阪市分割は、まったく不合理だと言わざるを得ません。
4.市民施策の拡充は、大阪市存続でこそ 今、大阪市の財政は、公債費などの支出が徐々に低減して、少し明るさが見え始めていると言って良い状態です。表を付けておきましたけれども、2017年2月版の粗い収支概算に見込まれていないプラス要因を加味し、同じく盛り込まれていない大型開発などをしないものとすれば、2021年度から2030年度までの10年間でみても、大阪市全体の収支不足累計598億円が、逆に586億円の黒字となるわけで、大阪市存続の方がよっぽど、市民のための施策の拡充が図られうるというものです。 以上、どこから考えても、大阪都構想、大阪市の廃止、特別区への分割には、いささかの道理もないばかりか、まさに“百害あって一利なし”だということを申し上げて、発言を終わります。 |