オリンピック招致 予算も不明でいいのか

日本共産党 市議がただす

(しんぶん赤旗 2000年6月29日)

 大阪市議会のオリンピック招致特別委員会が6月26日に開かれ、大阪市が国際オリンピック委員会(IOC)に提出した「予備審査への回答書」(8月末にIOCは、立候補表明した一〇都市の中から「正式立候補都市」を決める予備審査を開催する)について大阪市五輪招致局から報告がされ、日本共産党の姫野浄瀬戸一正渡司考一市会議員が出席して招致反対の立場で質疑しました。
 姫野浄市会議員は、「日本共産党は招致特別委員会の設置には反対したが、本会議で設置が決められたので、出席して市民の立場から意見を述べる。日本共産党としては、99年7月に意見表明したように、市議会で招致が決議された94年当時から経済情勢が一変している、巨大開発推進のてこになっている、市財政が圧迫され市民の暮らしが犠牲にされる、などの理由で、2008年五輪招致は断念すべきだと言う意見だ」と述べ、「五輪開催のための関連公共事業、競技施設にどれだけの予算がかかるのか、その全容を明らかするべきだ」と要求しましたが、当局は「北港テクノポート線や夢島住宅建設は既存の街づくり計画であり五輪のためにやるのではない。五輪スタジアムと五輪プール以外の競技施設建設も、五輪開催のためのものではない。それぞれの予算は建設段階にならないと分からない」などの答弁に終始。姫野議員は「国と地方合わせて六四五兆円もの借金になっている巨大開発そのものが批判されている時に、予算規模も明らかにしないで五輪招致を進めようとしている大阪市のあり方に市民は大きな疑問と批判を持っている」と指摘しました。
 瀬戸一正市会議員は、「回答書の市民世論の項目で、『五輪招致を公約に掲げた磯村市長が65%の得票を得た』、『97年の国内候補地決定直後の世論調査で賛成97%反対9%』などをあげているが、断念を掲げた井上候補が30%の得票、九九年三月の読売新聞の世論調査では、招致賛成50%反対40%だ。回答書は大阪市にとって都合のいい数字だけをあげて、市民の意見を正確に反映していない」と指摘、さらに「IOCが反対意見を詳しく述べよと注文している項目の中で、『大阪オリンピックいらない連』の反対意見も記述するなどと説明していたのに省略して反対意見の字数を半分近くに削り、大阪市の反論に半分近くのスペースを割いている」、「回答書の中で日本共産党の反対意見を紹介する際に、私たちは『数千億円規模の巨大開発、人口島には大量のダイオキシンやPCBが含まれている』との文言を入れるように要求したのにこれらを記載しなかった」、「日本語文回答書では、『大阪湾の人工島でのオリンピック開催計画が、新たな鉄道アクセスやトンネル道路建設、選手村としてその一部を利用する住宅建設などの巨大開発を伴う計画になっており、大阪市の財政が破綻しかねない無謀なものである』となっている部分を、英文回答書では『新しい施設やインフラの建設が、過度の財政負担をまねきかねない』と訳している。これでは反対意見が何を問題にしているのかまったく分からない英語回答書になっている、IOCへの回答書の中で、世論をごまかし、反対意見をねじまげるようなやり方は、五輪精神やスポーツ精神が求めるフェアなものではなく、こんなやり方をする大阪市には五輪開催の資格はない」と指摘しました。