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大阪市内のジェットコースター等遊具施設は安全なのか?

稲森豊市会議員が緊急質問

稲森豊市会議員

2007年5月25日

525日大阪市会計画消防委員会が開かれ、日本共産党の稲森豊議員は、ジェットコースター事故に関する質問を行いました。

55日、吹田市内にあるエキスポランドでジェットコースターの脱線事故が発生し、死者一名、負傷者34(うち乗客21)を出しました。大阪市都市整備局もUSJ、フェスティバルゲートのジェットコースターの緊急立ち入り検査をしたと報道されており、市民の関心も高く、人命にかかわる重要問題であるため、大阪市のこの間の取り組みについて質問しました。

稲森議員は、建築基準法あるいは大阪市建築基準法施行条例、大阪市建築基準法施行条例の細則において、この種の施設はどのような扱いになっており、設置者にはどのような義務が課せられているのか、大阪市ではどのように対応しているのか質問しました。

計画調整局建築指導部の葛原栄一建築確認担当課長は、「建築基準法において年一回の定期報告義務が課せられており、大阪市内では17件の該当施設があり100%報告がされている」と答弁しました。

稲森議員は、確かに制度はそうなっているが実際の運用においては今回の事故を受けて行われた国土交通省の緊急調査の結果でも施設306基中、JISで規定されている年一回の探傷試験を行っているのは178基、やっていないものは119基。このことが物語るように、今回の吹田市で問題となったように、定期報告のやり方はきわめて形式的で、特定行政庁として、その内容について責任を持って安全だと保障できるものでない。大阪市においても、これら施設の検査報告については、昨年問題になったエレベーター事故同様、近畿ブロック昇降機等検査協議会にチェックをゆだね、それを後追いで追認してだけである建築基準法によって規定されているのだから、そのとおり履行されているかどうか、特定行政庁が最終確認について責任を持つべきである。」と厳しく指摘しました。

また今回、事故を起こしたエキスポランドを所轄している吹田市は、報告されていた定期検査は当然近畿ブロック昇降機等検査協議会の「実務要綱」に基づきJIS規格に沿って検査資格者によって年に一回の探傷試験を行った上で検査報告と受け取っていました。ところがそうでなかった。今の検査報告のシステムや報告内容はそこまで確認できない不十分さを持つことが改めて明らかになり、改めて吹田市独自で条例による検査結果書類の充実を行うとともに、国に対しても、高速で走行するジェットコースター等の特異な施設を建築基準法で規定することの是非も検討することや、検査制度についても抜本的に見直すよう求めています。

稲森議員は同じ特定行政庁である大阪市として現在の検査報告や建築基準法の制度のあり方についてどのように考えているかを問いただしましたが、大阪市はこれに対してなんら見解を表明しませんでした。

また稲森議員は「今回の国土交通省の緊急調査は、軌道を走行する勾配が五度以上のジェットコースターに限ったもので、その中でも車軸の探傷検査を行っていないところが続出している。事故を起こしたエキスポランドのジェットコースターは、平成4年以来、15年間、一度も検査を行っていなかったという驚くべきことが判明し、定期検査制度がいかに形骸化されて実効のないものとなっている。公園のブランコや小規模の遊具による事故でさえも問題にされる時代である。建築基準法施行令第138条第2項第2号や大阪市の「建築基準法施行細則」で規定されているジェットコースター以外の遊戯施設、たとえば観覧車やウオーターシュート、オクトパス、メリーゴーランドなどの類似施設についても、本来正式にチェックすべきである。今回のエキスポランドの事故を教訓とし、国に対する法整備をもとめると同時に、大阪市の権限で内容に責任を持てるチェックシステム、報告書に検査箇所を具体的に明記し結果のデーターを添付させる事や、検査と報告の義務化など「大阪市建築基準法施行細目」の充実、職員の増員など指導行政の体制強化は、国の動きいかんにかかわらず、大阪市独自で制度強化を図るべきだ」と大阪市の見解を質しました。

これに対し計画調整局建築指導部の高橋賢二建築企画担当課長は「法例整備は国の動向見ながら国とも協議しながら、遊戯施設の安全確保をはかっていきたい。チェック体制は現行の体制で可能だ」と答弁に留まりました。

稲森議員は「市民が安心して利用できる施設を設置者に提供させる事が、自治体の役割である。現状がそうでないとわかったならば、最善の対策を立てるべきである」と重ねて制度改善を要請しました。