姫野浄市会議員に聞く
あいつぐUSJ(ユニバーサルスタジオ・ジャパン)
の不祥事はどうして?
2002年7月29日
○ 園内の飲食店で賞味期限切れの食材を使用していた問題に続いて、水飲み器で工業用水が使われていたことが発覚するなど、大阪市の第三セクターであるUSJ(ユニバーサルスタジオ・ジャパン)で、市民と利用者の健康に大きな被害を与える重大な問題が相次いでいますが、このことについて、日本共産党市会議員団として、どのように考えていますか。
○ まず、第一に指摘しなければならないのは、USJの今回の事件に限らず、大阪市としての食品衛生行政、環境衛生行政が大きく後退し、市民の命・安全を守るものになっていないということです。下の表は食品衛生監視の実施状況ですが、これからも明らかなように、国の定めた監視回数に対してさえ、毎年3割前後の実施率で、平成12年度からは重点化するということで、一気に15.3パーセントに低下しています。また、USJのなかには、監視対象施設が食堂・レストランなど69施設ありますが、ここに対する食品衛生監視の実施率も13年度は国の基準に対してわずか19.2パーセントです。24行政区に一箇所あった保健所が1保健所に統廃合されたうえに、昭和62年(1987)には199人いた監視員が、平成13年(2001)には174人にまで減らされていることが原因です。あの雪印乳業の食中毒事件のおりに、食品衛生監視業務の抜本的改善を日本共産党市会議員団が求めたのに対して、磯村市長は「企業の自主性が大事」と改善に背を向けました。こうした姿勢が今回の事件につながったことは明らかです。
年度 |
平成3年度 |
平成4年度 |
平成5年度 |
平成6年度 |
平成7年度 |
施設数 |
123,394 |
124,081 |
124,420 |
125,239 |
126,377 |
監視件数 |
372,880 |
336,100 |
366,414 |
372,300 |
372,571 |
監視率 |
33.6 |
32 |
34.8 |
35.6 |
35.3 |
検査件数 |
19,454 |
17,663 |
18,657 |
23,042 |
22,989 |
年度 |
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
平成12年度 |
施設数 |
127,224 |
127,248 |
125,903 |
125=114 |
128,924 |
監視件数 |
258,977 |
366,826 |
356,412 |
330,919 |
168,798 |
監視率 |
24.2 |
34.3 |
33.7 |
31.5 |
15.3 |
検査件数 |
20,628 |
19,607 |
21,931 |
18,961 |
24,290 |
○ 水飲み器に殺菌処理もせず、飲めない工業用水がつながっていたというのも、大変なことですね。
○ 常識では考えられないことです。いまの市の報告では昨年3月31日の開園から改善工事をしたという11月28日まで、なんと8ヶ月間も入園者は本来飲んではいけない工業用水をそのまま飲まされていたことになります。この報道後、全国各地の入園者から「あのときの激痛はこれが原因だったのか。」と改めて怒りの声が寄せられているそうです。USJが誠意ある対応をするように、大阪市として責任をもつべきです。
○ この事件は何が原因でしょう。
○ いま、大阪市はUSJ側に詳細な報告を求めるとしています。原因の徹底究明が必要なことは言うまでもありません。しかし、この点でも大阪市の市民、滞在者の命と健康を守る上での役割が非常に大きいということです。水道法では、今回のように簡易専用水道の設置者は、「年一度地方公共団体の機関、または厚生大臣の指定する者の検査を受けなければならない」と定められています。ところがUSJが実際に検査を受けたのは開園から1年以上たった今年の5月8日です。しかも新聞の報道によれば、「…飲用水の蛇口検査は一か所だけだった。検査を実施した市の外郭団体『市水道技術協会』の担当者は、読売新聞の取材に対し『会社が園内を歩き回って検査することに難色を示し、指定場所でしかできなかった』と打ち明けた。」(7月25日付け読売新聞)という、全く不充分なものでした。しかし、大阪市の保健所はこの『市水道技術協会』から「すべて良好」との報告を受けて、了としていたわけです。こうした水質検査を保健所の人員を確保して行政の責任で行うなど、これを契機に市民の健康に責任を持てる監視業務に改善する必要があります。
○ 大阪市が出資している第三セクターであるUSJで、こうした事件がおきたことにも疑問の声が出ていますが。
○ そうですね。そもそもUSJとはレジャー施設です。そこに大阪市は、400億円の資本金のうち100億円を出資して筆頭株主となり、100億円の融資も行い、周辺整備に178億円もの資金を投入し、さらに駐車場の用地も大阪市が買い取って提供するなどいたれりつくせりの公金投入を行ってきました。地方自治体の本分を全く忘れたことで、絶対に許されないことです。しかし、これだけの資金を出し、また、「ユー・エス・ジェイ」の社長の阪田氏は元大阪市港湾局長であり、人的にも大阪市が深くかかわっている施設での事件だけに、一民間施設とはちがった大阪市の責任があります。「大阪市活性化の起爆剤」と銘打って、多額の市民の税金を投入しながら、民間でも考えられないずさんな経営では、これほど市民を馬鹿にした話はありません。日本共産党市会議員団として、原因の徹底解明を求めるとともに、再発の防止と衛生監視行政の抜本的な改善を求めていきたいと思います。