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「補助金や激安地代という形ででも異常な支援」と追及

計画消防委員会で北山市議がMDC特定調停「受諾」に反対を主張

北山良三市会議員

2004年1月28日

1月28日の大阪市会計画消防委員会で、「1月13日付で提示された三セク三社に関する特定調停条項案を受諾したい」との市長提案を受け、所管するMDC(湊町開発センター)を中心に各党の質疑が行われました。

 日本共産党からは北山良三市議が質疑に立ち、MDCでの調停案で市に求められている負担要請は、貸付金の株式化で2O4億円、追加出資で24億円、金融機関の残債務92億円に対する二次破綻した場合の担保物件処分後の不足分の損失補償となっており、それ自体大変膨大な新たな市の負担となることを明らかにしました。

 同時に、調停案の前提になっている向こう30年間の「会社再建計画」では、年間5億6千万円、合計168億円の市からの補助金が計上されており、その補助金の実態は異常なものであることを明らかにしました。

 例えば、人件費や水光熱費から掃除代まで、パスターミナル事業の運営にかかるすぺての経費からその収入を差し引いた残額すべてを、市の補助金でまかなうとなっており、会社の主体性は全く失われ、市の丸抱えという状況です。北山市議は、「これでは三セク事業として再建し、存続させていく意味合いが全くなくなる」と指摘。また「今後収益性が高まれば、その分補助金の削減は可能である」との答弁に、北山市議は「ならば逆に、今後収益性が低まれば、その分補助金が増えていくということになり、これは異常であるとともに危険な公金投入となる」と、厳しく追及しました。

 また、建物内の「公共通路」と位置づけているスペースについても、その水光熱費や掃除代、保守管理費のすぺてを市の補助金でまかなっていますが、北山市議は「本来、こういう経費はビルのオーナーが全テナントから応分の家賃や共益費をいただいてまかなうべきもので、広いフロアの中で、ポツンと一つか二つ公共的施設があるからといって、そのフロアのすぺての廊下やトイレまで『公共通路』とし、市の補助金ですべてまかなうというようなことは、他ではあり得ない」と追及しました。当局も他の委員の質問に「他にはないと思う」と答弁せざるを得ませんでした。

 さらに北山市議は、「MDCビルの底地について、所有者である大阪市は異常に安い地代でMDCに貸しており、これも形を変えた異常なMDC支援策になっている」と厳しく追及しました。

 この土地は1u当たり約660万円で大阪市が手に入れ、それをMDCに年2500円で貸しており、市が購入した金額を回収するには2640年もかかるというものです。当局の担当課長は、「購入時より地価は大幅に下がっており、施設の公共性などを考慮すれば異常とはいえない」などと答弁。これに対して北山市議は、「この土地は市の土地なので固定資産税はかかっていないが、市が徴収する固定資産税の計算式で算定すると、現在の評価額でlu当たり3915円となる。それを2500円、固定資産税相当額の6 3.8%の地代で市はMDCに貸している。通常の借地契約ではあり得ない」と指摘しました。

 そして最後に北山市議は、「追加出資は間違いなく新たな公金投入。金融機関への損失補償については、それを持ち出すこと自体が『再建計画』なるものの不安定性を示している。そして、三セク会社の二次破綻の際、損失負担を市が―手に負わなければならないという、新たな大きな公金投入のリスクを背負い込むことになる。さらに、今議論したように、再建計画における異常な補助金の投入、激安の地代。どこからみても、こんな内容の調停案の受諾に同意できるものではない。この問題の解決に当たっては、今日の事態に至った責任を明確にするとともに、平成10年の議論と結論の乖離を反省し、同じ轍を踏まないで歴史の検証に耐えうる決断を示すこと。そして具体的には、民間テナントの経営に被害を及ぼさないようにしつつ、これまでに大阪市が投入してきた公金の損失被害を最小限に押さえ込むとともに、これ以上の公金投入は行わないで解決をはかるということでなければなりません」と質疑を締めくくりました。

 なお、この日の委員会では各与党会派の態度がまとまらず、態度決定の採決は見送られました。