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住民を無視した阿倍野再開発の高層化への計画変更は撤回し

地域住民の参加で事業計画を

稲森議員が陳情書採択求める

稲森豊市会議員

2008年3月24日

3月24日、大阪市会計画消防委員会が開催され、日本共産党の稲森豊議員は「阿倍野再開発事業「D4−1棟」建設計画変更(27階建て)に関する陳情書」を採択するよう求めました。

阿倍野再開発地区の地権者や周辺マンション居住者は、D4−1棟は14階建て高さ43m129戸という建設計画で入居しています。ところが2004年に突然D4−1棟は、30階建て97m188戸に変更されたため、景観、日照、風害等住環境に重大な影響が出ると、計画の変更、撤回、今後地域住民の参加による事業計画を行うようH17.3月に同市議会に陳情書を提出しました。さらに2年後の平成19年9月に再開発事務所より27階建て167戸の計画変更案が示され、今回新たな陳情に至ったものです。

稲森議員は、周辺マンションのベランダ全体が5時間の日照障害が生じることや、保育園が終日5時間以上の日陰になることを示し、周辺環境を全く無視したものだと強く迫りました。

稲森議員は、従来14階建てを基調に進めてきた事業計画原案を最終段階にいたって、なぜ特定建設者制度を取り入れて、30階なり27階なり超高層住宅を建てる方針を採ったのか。14階建てと27階建てプランで施工した場合、収支上、最大どの程度の差があると見込まれるのか。阿倍野再開発事業のトータルの赤字、すなわち収支不足は、現時点で、いくらになるのか質問しました。

担当課長は「これ以上事業の収支悪化をさせないために早期収束は不可欠。計画後20年経過し、社会経済情勢が変化し民間のノウハウを活用するため事業協力者を募り30階建てのプランを採用し、その後、地元と協議し要望、意見を取り入れ周辺環境などへの配慮し27階建てに修正した案で進めたい」「手法が違うので比較できない」「2120億円以上の収支不足」と答弁しました。

大阪市は、最終案の30階から27階への変更について、建設位置の変更、駐車場や出入り口の位置変更などを行ったことを理由に地元の要望も受け入れ日照など十分周辺環境に配慮したものと説明していますが、これは重大な変更を行いながら軽微な修正でもって住民の批判をはぐらかそうとするものです。

稲森議員は事業協力者選定委員会議で、ある委員が「環境に配慮した建物を求めるなら、要綱でその旨条件として書かなければならないのでは」と述べている事を示し、今回の事業協力者の募集に当たり、日照にたいする配慮を求めていない重大な欠陥を厳しく指摘しました。

風害問題についても、大阪市は「設計が終わった時点で風害予測を行い、それを反映した事業変更を行う」と答弁し、風害予測の結果次第では、設計変更もありうる事を確認しました。

稲森議員は平松市長に「14階建を基本に、地域住民と十分協議・連携し、地域住民が求める景観や住環境に配慮したものとすることはできないのか」と迫りました。

平松市長は「事業は収束段階にきており、事業の早期収束が必要であるので、この案に基づき進めて行きたい」と、ペーパーを読み上げるだけの冷たい答弁に終始しました。

稲森議員は「自らの目や足で調査し判断を下したのではなく、理事者にとって都合の良い言い分を鵜呑みにした答弁である」と厳しく批判しました。 今回の答弁は、平松市長の公約でもある“市民の目線”と相容れない内容で、今後に問題を残すものです。