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渡司考一市会議員

2002年11月19日

 11月19日、大阪市が、深刻な不況による市税収入の落ち込み、地価下落による固定資産税の大幅な減少などから、来年度900億円の財源不足に陥るとして、「財政非常事態宣言」をおこなった問題について、日本共産党の渡司考一市会議員(旭区)に聞きました。

 19日からおこなわれた2001年度大阪市議会一般決算特別委員会でも、大阪市の財政問題が大きな焦点となり、私も、「財政非常事態宣言」について質疑しました。
私は、質疑の冒頭、「何を今さら」という思いだ、とのべました。税収の落ち込みにしても、歳出の問題点にしても、大阪市の財政運営の誤りはすでに明らかだからです。
私は、過去20年間の市財政の推移を示し、80年代に比べ、90年代以降起債残高が急増してきており、この原因は大型公共事業を借金を重ねて進めてきた結果だと指摘しましたが、理事者も、公共事業の積み増しが原因となっていることを認めました。< グラフ@>
 市税収入が伸び悩んでいるのに、普通建設事業費を急増させ、そのカバーのため起債発行をおこなってきたことは明らかです。
その背景には、日米構造協議にもとづく630兆円公共投資の対米約束があります。大阪市はこれに追随し、全会計で、80年代3・9兆円だった公共投資が、90年代 8・1兆円と、2倍以上になっています。臨海部の大型開発に湯水のように公金を投入してきたのです。< グラフA>
財政悪化の原因は明らかであり、財政非常事態というなら、ここにこそメスを入れるべきです。日本共産党と市民の共同で新しい市長が誕生した熊本市、田中知事が圧勝した長野県などにみられるように、ムダな巨大開発の見直しは全国の流れにもなっています。
今回は、与党議員からも「3セクに対するこれ以上の支援は市民の理解を得られない」などの発言が出ましたが、磯村市長は私の質問に対し、「もし何も(大型公共事業を)やらなかったらどうなっていたか。まちがっていたわけではない」などと、従来の主張をくりかえしただけでした。

 決算特別委員会では、自民、公明、民主・民友の与党議員も、「財政非常事態宣言」をいっせいに取り上げました。
しかし、その発言は、「経常的経費が増え続けている。歳出を思い切って見直すべき」「間接サービスを削る必要がある。特別養護老人ホームの整備助成を見直せ」「学校給食の民間委託を。幼稚園の民営化を」「職員の給与の抑制と削減が必要だ」「職員2000人削減計画の前倒し実施と削減目標の引き上げを」など、財政危機の原因が福祉分野の歳出増にあるかのようにねじまげ、しわよせを市民と職員にかぶせるひどいものでした。
私は、生活保護費などの扶助費や人件費の歳出におけるシェアはむしろ減ってきていることを紹介。扶助費、人件費が財政危機の原因になっているという議論の誤りを明らかにしました。<表B> 

今、小泉内閣は、この10月からの高齢者医療費の増額をはじめ、介護保険料の引き上げ、失業保険制度の改悪など3兆円をこす新たな負担増を国民におしつけようとしています。 1997年の橋本内閣による9兆円負担増は、いわば、日本経済というマラソンランナーに鉄ゲタをはかせたようなものでした。当時は、それでもまだランナーに走る余力がありましたが、今はもうへとへとです。国民生活へのさらなる圧迫にとどまらず、日本経済にとっても大きな打撃になることは明らかです。
生活保護はほぼ100%消費にまわり、くらしの予算とあわせて個人消費を支えているのです。全国でももっとも深刻な大阪の景気を回復するには、市民のふところをあたため、中小企業を支援する以外にありません。
私は、大阪市みずからも、くらし・福祉優先に財政の方向を切り替えるとともに、大型公共事業中心の経済対策を改めるよう、国に対してもはっきりものを言うべきだと磯村市長に迫りましたが、市長は、「不況の時ほど安全ネット整備すべきだ」とのべるにとどまりました。
これ以上、市長と与党に、財政の舵取りをまかせるわけにはいきません。日本共産党大阪市会議員団は、市民のみなさんと力をあわせ、財政の民主的転換へ全力をあげる決意です。